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概要編集

鉄道のレール上を鉄の車輪で走行するため、摩擦係数が少なく(蛇足だが摩擦係数が少ないため、少ないエネルギーで走行することが可能である)一般的に急勾配に弱いため、通常はトンネルループ線などの勾配を緩和する線形を採用して迂回する。

しかし、どうしても急勾配になるルートを通さなければならないときは、超えるための補助としてラックレールを使う。

この方式を採用した鉄道は「ラック式鉄道」と呼称されることがある。


方式編集

日本国内では、営業線で唯一採用されたアプト式が有名であり、同方式がラック式鉄道の代名詞または唯一の方式として説明される場合が多いが、実際は次のような種類が存在する。

なお、ほとんどの方式がスイスで開発されており、これは同国は山国であることから登山鉄道が多々敷設されたことによるものである。


アプト式編集

スイス人技師のカール・ローマン・アプト氏によって開発された。2-3枚の凹凸のあるレールを線間にずらして敷設し、そこへ車体下部中央に複数枚の歯車を備えた車両の運転を行う方式。

数ある方式の中でも、本方式が一番多く採用されているという。

複数の歯車の位相がずれていることで、必ずいずれかの歯車がかみ合うため安全性が向上しているほか、駆動力の円滑化や歯の長寿命化も行っている。また、後述のリゲンバッハ式などのはしご状のラックレールよりも、維持コストが低いというメリットがある。


リゲンバッハ式編集

スイス人技師のリゲン・バッハ氏によって発明された。線間に浅いコの字型の鋼材に台形断面のピンを合わせたはしご型のラックレールを敷設し、車両との噛み合わせを確実にした方式。

アプト式に次いで採用されているという。


シュトループ式編集

スイス人のエミール・シュトループによって開発された。電気機関車電車の普及で振動が低減し、ラックレールが1本の簡易な構造でも安定して使用できることが見込まれたため採用された。線間に頭頂部に凹凸を付けたレールを敷設し、これをラックレールとしている。

世界では3番目に多く普及しているという。


フォンロール式編集

スイスの電機メーカーのフォンロール社によって開発された。シュトループ式の改良型であり、こちらはラックレールの幅が広くなっている。構造が単純なため、シュトループ式やリゲンバッハ式から本方式へ置き換えられた例があるほか、新規開業した路線に採用された例もあるという。


ロヒャー式編集

スイス人技師のエデュアルト・ロヒャーによって開発された。ラックレールの歯が軌条側面に付いており、車両側の歯車で両側から挟み込む形で使用する。歯車の下部には浮き上がらないようにするための円盤が付いており、ラックが浮き上がらないようになっている。急勾配にも対応しているとされ、スイスのピラトゥス登山鉄道では480‰の急勾配が存在する。


このほかにも様々な方式が考案されているが、本項では割愛する。


関連タグ編集

鉄道 登山鉄道


その他の急勾配対策

スイッチバック トンネル ループ線

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