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概要

主な路線はスイス東部、グラウビュンデン州にある。事実上同州の公営鉄道であり、株式の大半を州政府とスイス連邦政府が保有している。線路幅はJRの在来線と同じ狭軌(幅は1000mmで日本の1067mmより少し狭い。)で、運行する全路線が電化されている。景色の美しさは有名で、観光列車ベルニナ急行が運行されているほか、氷河急行も乗り入れる。

社名について

「レーティッシュ」という名称は、かつてスイス東部に居住していた先住民族のラエティア族、並びに同地を含むスイス・イタリアオーストリアドイツリヒテンシュタインに跨るエリアに存在したローマ帝国ラエティア属州に由来する。

ドイツ語ではRhätische Bahn、イタリア語ではFerrovia retica、ロマンシュ語ではViafier retica。車両のロゴ脇の社名は、沿線で主に用いられるこれらの3言語のうち1つで書かれている。なお英語ではRhaetian Railwayとなる。

沿革

開業~戦前まで

レーティッシュ鉄道の起源は、1888年に設立されたラントクアルト・ダヴォス鉄道である。当初はラック式の採用やスイッチバックを主体とする案もあったが、最終的に粘着式・スイッチバックは最小限(クロスタース駅の1箇所のみ・1932年に解消)という線形を採用。「粘着式、スイッチバックは最小限」は以降の路線建設の基本方針となる。1895年に社名をレーティッシュ鉄道に変更。1897年にはグラウビュンデン州の州営鉄道となって、州内に路線を拡充していく。このころ過度な競争を防ぐため主要な私鉄の国有化が決まり、1898年にスイス連邦鉄道(スイス国鉄)が誕生するが、鉄道会社の中では後発組で競合する会社もなく、狭軌であったレーティッシュ鉄道は国有化の対象とはならなかった。第一次世界大戦前後には保有路線を交流11000Vで電化している。

しかし1930年代後半には、世界恐慌の影響による不況のため、経営が難しくなった。スイスの他の私鉄も状況は同様であったため、1939年には経営困難となった私鉄に対し国が資金を援助する私鉄援助法が成立し、レーティッシュ鉄道もスイス政府からの支援を受けることとなる。この法律は小規模な私鉄を大手の会社に統合することも目的にしており、レーティッシュ鉄道はクール・アローザ鉄道、ベリンツォーナ・メソッコ鉄道、ベルニナ鉄道の3社を吸収することになった。

経営難

戦後は道路交通との競争が激しくなったことで再び経営が苦しくなっていくが、1958年に鉄道法が施行され、連邦政府から新たな補助金が得られるようになった。その後、発電所の建設に伴い貨物輸送量が増加し、旅客輸送も好調に推移したが、1960年代後半には伸びが鈍化。人件費の高騰もあり、1970年には赤字に転落してしまう。国からさらに補助金を得るには、国鉄への統合が求められた。

再建への道

レーティッシュ鉄道は自力再建の道を選んだ。普通列車のバス転換、孤立路線だったベリンツォーナ・メソッコ線の廃止などのコスト削減策を講じるとともに、観光列車としての魅力を引き出すことで経営の立て直しに取り組んだのである。ベルニナ急行が設定されたのもこの時期である。1980年には旅客輸送量が2億人キロの大台を突破。2001年には3億人キロ、2009年には3億8300万人キロに達している。貨物輸送量もおおよそ4500万~6000万トンの間で安定して推移している。1999年には久々の新路線としてフェライナ線が開通し、カートレインの運行を開始した。

現在のレーティッシュ鉄道

レーティッシュ鉄道は今も州政府から運賃収入と同程度の補助金を得て経営を支えている状態であるが、重要な交通インフラであることは確かであり、増発や複線化などの設備増強が実施されている。一方で赤字削減の努力も続けられており、人員削減のほか、固定編成列車を大量に導入することで車両運用の効率化を図っている。

また2008年にはアルブラ線・ベルニナ線が世界遺産に登録された。

箱根登山鉄道との姉妹提携

箱根登山鉄道は、鉄道線(箱根湯本~強羅)建設の際、スイスの登山鉄道を視察している。その際ラックレールなどを使わず、急斜面を縫うように走るベルニナ鉄道に注目し、同様の設計を取り入れた。その後、箱根登山鉄道開業60周年を迎えた1979年、旧ベルニナ鉄道を受け継ぐレーティッシュ鉄道に、姉妹鉄道の関係を申し入れ、箱根湯本~強羅間の開通日にあたる6月1日に姉妹提携を結んだ。

2009年、姉妹提携30周年を記念して、箱根登山鉄道と小田急電鉄の車両の一部がレーティッシュ鉄道と同じ赤色に塗装変更された。提携35年目には、箱根登山鉄道にレーティッシュ鉄道のABe 8/12 3501-3515系と同じ「アレグラ」の愛称をもつ3000形が登場している。

マスコットキャラクター「のぞみ」

レーティッシュ鉄道

沿線のダヴォスで開かれた日本文化のイベントのためにレーティッシュ鉄道も協力して作られた萌えキャラ「のぞみ」が、その後実際に公式マスコットキャラクターになった。公式サイトの説明はこちら


(参考)編成/車両番号の付番法

Wikipedia等でスイスの鉄道車両を調べると、謎のアルファベットと数字の羅列が出てきて驚いた経験がある人もいるだろう。この節では車両形式について簡単に説明する。

全般的な説明

スイスの車両形式は、車内設備や車両の種類、動力方式を表すアルファベット+軸数表記(日本の「クハ」等に相当)と車両番号の組合わせで表される。

しかしスイスの車両は、違う形式でも番号を連番でつけることが多かったので、形式をどのように表記するかが問題となる。機関車の場合、動力方式+軸数の部分が共通だが違う形式の場合、軸数の後ろにⅠ、Ⅱ、Ⅲ、…とギリシャ数字を加えて区別するのであるが、電車や客車ではこのようなことはしない。電車や客車形式の表し方には主に以下の2つの流儀がある。

  • 機関車の区別法を準用し、「ABe 4/4 Ⅲ」のように書く。
  • その形式に属する車番の範囲を動力方式+軸数の後ろに示し、「ABe 4/4 51-56形」のように書く。

Wikipedia日本語版では2つ目の表記法を採用している。

なおレーティッシュ鉄道は、2007年以降の新造車からは車番が「ABe 4/4 35101」(351に下線が入る)のように形式が明確化されたものに移行している。

番号のつけ方

  • 固定編成電車の編成記号

「車内設備を表す記号、動力方式(電気)を表す記号"e"、駆動軸の数/全軸数、編成番号」

例:ABe 8/12 3501

  • 固定編成客車の編成記号

「車内設備を表す記号、編成番号」

例:ABi 5701

  • 電車の動力車の車両記号(2007年以降)

「車内設備を表す記号、動力方式(電気)を表す記号"e"、駆動軸の数/全軸数、形式番号(下線)、通し番号」

例:ABe 4/4 35001(350に下線)

  • 電車の動力車の車両記号(旧方式)

「車内設備を表す記号、動力方式(電気)を表す記号"e"、駆動軸の数/全軸数、車両番号」

例:ABe 4/4 51

  • 電車の付随車と客車の車両記号(2007年以降)

「車内設備を表す記号、形式番号(下線)、通し番号」

例:Bt 52801(528に下線)

  • 客車の車両記号(旧方式)

「車内設備を表す記号、車両番号」

例:A 1223

なお、さらに昔には全軸数も表記する方式であった。

  • 機関車の車両記号

「粘着式の狭軌の機関車を表す"G"、動力方式を表す記号、(ギリシャ数字)、車両番号」

例:Ge 4/4 Ⅲ 641

  • 事業用車の車両記号

「事業用車を表す"X"、用途を表す記号、動力方式を表す記号、車両番号」

例:Xrot m 9214

(ロータリー式除雪車)

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