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概要編集

アメリカ北東部から中西部に多くの路線を有した鉄道会社である。かつては世界最大の株式会社であり、数多くの会社を傘下に収める巨大グループでもあった。

キャッチフレーズの"Standard Railroad of the World"(世界標準の鉄道)からもわかるように、コストを下げるための規格化、標準化を強力に推進したことで知られる。車両の鋼体化、灯列式信号機、車上信号など、新技術を積極的に導入した。幹線の電化も進め、MP-54型やGG-1型(トップ画像左側の機関車)のような独自の電車や電気機関車を多数保有した。

しかし標準化を旨とする経営方針は、やがて組織の硬直化につながってゆく。これにモータリゼーションと航空網の発達による需要減少も相まって、戦後に急激な経営悪化を経験することになる。

最終的に1968年、常に競合関係にあったニューヨーク・セントラル鉄道と合併し、ペン・セントラル鉄道となるが、1970年に破綻。1976年にコンレールとなったのち、1999年にノーフォーク・サザン鉄道とCSXトランスポーテーションに分割吸収された。かつてのペンシルバニア鉄道の路線のうち、ニューヨーク~ワシントンD.C.間は主に全米鉄道旅客公社(アムトラック)、ニューヨーク~シカゴ間は主にノーフォーク・サザン鉄道が所有しており、今日でも重要な幹線となっている。

路線網編集

路線は大まかにいうとニューヨーク~ワシントンD.C.間(現在の北東回廊の一部)とニューヨーク~シカゴ間に広がっていた。このうちニューヨーク~シカゴ間では、同じくアメリカ北東部を営業範囲としたニューヨーク・セントラル鉄道と競合していたが、ペンシルバニア鉄道の路線はニューヨーク・セントラル鉄道のものよりも南寄りを通った。これはペンシルバニア鉄道がもともと社名の通りペンシルバニア州が設立した会社で、州内を東西に貫く幹線を建設することを目的としていた名残である。

線形を比較すると、ニューヨーク・セントラル鉄道の路線は遠回りではあるが、ニューヨークを出て五大湖岸に至るルートはもともと運河に並行しているため、全体として勾配は緩やかである。一方でペンシルバニア鉄道の路線は距離が短い代わりにアパラチア山脈やアレゲニー山脈を直接超えることになり、急勾配となっている。勾配を少しでも緩和するために、1854年の開業時にペンシルバニア州アルトゥーナ(ペンシルバニア鉄道の車両工場がおかれた町)の西に設けられたホースシュー・カーブは文化財(National Historic Landmark)にも指定される名所である。

有名な列車編集

ブロードウェイ特急(Broadway Limited)編集

1912年、ニューヨーク・セントラル鉄道の20世紀特急(20th Century Limited)に対抗してニューヨーク~シカゴ間に設定された。名前はニューヨークのブロードウェイとは特に関係なく、路線が複々線=広い路線(Broad way)であったことに由来する。その後旅客輸送量の減少の波を耐え抜き、アムトラックに引き継がれて走り続けたが、1995年に廃止となった。

メトロライナー(Metroliner)編集

現在のアセラ・エクスプレスのもととなったニューヨーク~ワシントンD.C.間の列車。もともと新型電車(トップ画像の右側の車両)を用い、時速200キロで運行するアメリカ初の高速鉄道となるはずであったが、初期不良の頻発で断念。高速化はアセラエクスプレスまでお預けとなった。

有名な車輛編集

GG-1編集

トップ画像左側の電気機関車。レイモンド・ローウィの手による流麗なデザインで知られる。

高速旅客列車と貨物列車の両方の牽引に活躍(当然だが歯車比は旅客仕様と貨物仕様で変えてある)した。アムトラックでも活躍したが80年代には引退した。

有名な駅編集

ペンシルバニア駅(ニューヨーク)編集

1910年、ハドソン川を越えてマンハッタン乗り入れを果たした際に設けられたターミナル駅。初代の駅舎は1963年に多くの反対を押し切って解体され、現在はスポーツアリーナであるマディソン・スクエア・ガーデンが駅ビルとなっている。この解体がニューヨークのもう一つのターミナルであるニューヨーク・セントラル鉄道のグランドセントラル駅の保全が実現するきっかけになったといわれる。

長らく、ボストンやワシントンD.C.方面の長距離列車、およびロングアイランド方面の通勤電車の発着駅であり、メトロノース鉄道運行のニューヨーク北部方面の通勤電車はグランド・セントラル駅を使用してきたが、ロングアイランド方面の線路とグランド・セントラル駅を結ぶイースト・サイド・アクセスの建設によりペンシルバニア駅の線路容量に余裕ができるため、メトロノース鉄道の一部列車が乗り入れることが決まっている。

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