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アムトラック

あむとらっく

1971年に発足したアメリカ合衆国の旅客鉄道会社。連邦政府の出資による国営企業である。
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曖昧さ回避

  1. アメリカ合衆国の国営旅客鉄道会社。本ページで説明する。
  2. アメリカ海兵隊が第二次世界大戦当時運用していた水陸両用装軌車LVTの愛称。後継となったLVTP-5AAV7も同じ愛称で呼ばれる。詳細は各記事を参照。

概要

民間で維持が出来なくなった旅客輸送の救済を目的に、国家主導で設立された鉄道会社である。

詳細は以下に記す。


発足とその時代背景

1950年代、特に後半に入ると、アメリカの鉄道網は猛烈な逆風下に置かれるようになった。

航空機の大型化やジェット機化による長距離旅客の転移、地方のハイウェイ整備に伴うモータリゼーションの進行、さらに設備の老朽化などが追い打ちをかけた。

当然、鉄道側も運行経費のかかる蒸気機関車ディーゼル機関車に置き換えたり、会社の合併になどによる競合路線の統廃合などの合理化を進めたが、次第に経営体力を奪われていった。

特に旅客輸送は(インターアーバンなどの都市間・近郊輸送や、路面電車も含めて)壊滅的なダメージを被り、この時期数多くの鉄道会社に於いて旅客輸送の全廃・大幅な縮小が行われている。(倒産・廃業した会社も少なくなかった)

また連邦政府の航空会社寄りの施策の結果、空港整備費などを各鉄道が負担する羽目になり、旅客輸送に関してはもはや自助努力のしようがない状況に置かれていた。経営改善しても、結局は競争相手を援助する資金に転用されるためである。

1960年代末になると、ほとんどの鉄道会社で旅客輸送は既に全廃、ごく一部の長距離列車や大都市近郊の通勤列車が細々と運行されているだけの有様であった。

このような状況下、政府としてもこれ以上の旅客輸送の衰退を放置できなくなり(遅きに失したと言う方が正しいが)、各社の旅客鉄道部門を国営企業として吸収する形で維持することになった。それがアムトラック(Amtrak)である。


現在まで

1971年の発足後現在に至るまで赤字続きであり、これまでにも補助金の打ち切り(大規模な事業縮小・廃止を意味する)が政治の場で俎上に上がったこともある。

運行初期にはサービスも大幅に低下して、元の運行会社から列車名の変更を求められたり、一時期(1980年頃)には食堂車の食器が紙皿になった時期もあった。

また、逆に積極的な経営を試みることも少なくなく、数度に亘る新車の大量導入や、1990年代にはロードレーラー(トレーラーの荷台に鉄道用の台車を付けたもの)や専用貨車を使って、旅客列車に連結する形で貨物輸送も行われた。さすがに線路を貸し出す「貨物」鉄道会社からクレームがついたらしいが・・・

しかし貨物輸送は、列車の大幅遅延につながったこともあり、21世紀になると廃止されている。

また、サンフランシスコ郊外など一部の地域では、自治体の補助を受けて中・近距離の都市間輸送も行っている。


路線

経緯が経緯だけに全米を広くおさえているが、これまでに数回大幅な運行路線の改廃やスケジュールの見直しが行われている。ちなみに、アムトラック自前の路線はボストンニューヨークワシントンD.C.間(北東回廊線)のみで、その他の路線は貨物専業になった会社の路線に乗り入れる形態がとられている。(日本でいえば、JR貨物と旅客会社の関係が正反対だと思えばよい)

この大幹線区間が自前で保有できているのは、元々ここを運営していたペン・セントラル鉄道(戦前の超大手私鉄ペンシルバニア鉄道とニューヨーク・セントラル鉄道の2社が合併したもの)が経営破綻し、その鉄道資産を引き継げたためである。


乗車と注意事項

北東回廊を除く長距離路線はほぼ観光需要のためであり、ビジネス目的の路線としては実用的ではない。そのため長距離列車の運転の頻度は1日1本程度(路線によっては週3本)の本数になっているため、乗りたい方は事前のチェックを忘れずに。また、数時間程度の遅れは「よくあること」なので、自らのスケジュールにもそれなりの余裕を持ちたい。

そもそもアメリカの鉄道システムは日本や欧州、中国のような細かなダイヤを策定してそれに従って運転するという形式ではなく、随時運転指令所から列車交換箇所の指定などをその都度指定するという方式(トレイン・オーダー・システム)であり、臨機応変ではあるが単位時間あたり運転本数や定時運行はごく限られるためである。

そのため、車掌などの乗務員ですらも目的地に何時何分に着くと断言できない。

なお、現在は西海岸~東海岸を直通する列車(車両)は設定されておらず、東西を乗り通すには1回以上の乗り換えが必要である。(もちろん接続の保証は無い)

また寝台車利用の場合、様々な身の回りのサービスを提供してくれるアテンダントへのチップを忘れないように。(下車するときにまとめて渡せばよい)

さらに余談ではあるが、大都市の大規模駅であってもその周辺は環境が悪い所も少なくないので、駅の外を無警戒に歩き回るのは禁物である。


線路設備の老朽化が著しく、保安装置も前近代的のものが多いこともあり、頻繁に踏切事故、時には(滅多にあることではないが)死傷者を伴う脱線事故も発生している。特に鉄道に乗りたいというこだわりがなければ、普通に空路を利用するか、国際免許証を申請してレンタカーで移動するのが吉。


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