自動連結器を改良し、連結時の隙間を極力小さくしたもの。隙間は0.2mm~最大値で約1.6mmと、乗り心地上は隙間なしといいうる程度になっている。密自連や密着自連とも呼び、英語圏では"tightlock coupling"と呼んで密連の仲間に入れている。
ベースになったのは並型自動連結器で、密着自連と相互に連結できる。
並型ではナックルの旋回中心であるピンと、L字に曲がったナックル噛合部の折れ点に13mmのずれがあり、これと内法・外法の前後長とで22mmの遊間を稼いでいるが、密着自連ではピン中心とナックルの折れ目は上から見たとき前後方向で同一面になるよう作られている。
原開発国はこれもアメリカで、1930年代前半に開発。1935年に特許が出願され、公開は1940年である。
日本では1953年以降製造が開始された。
並型自連と異なり、ツメ部分先端が尖っており、ナックルピンの横にツメ部分を受け止めるガイド枠が設けられている。
これは密自連同士では連結状態の連結器が上下にずれないことから、垂直方向のズレは車体側に設けた継ぎ手で連結器を上下方向にも振らせることで対応しているため、その突合面の中心線を合わせる必要があるからである。
主に12系以降の客車や気動車での採用が多く、電車でも自動連結器の車両との相互連結を考慮した末に採用している例がある。
日本の国鉄の場合、電車のみ密連に切り替わったのは、まだ密着自連が登場する前に一旦並型自連に切り替えており、長編成化で衝撃が問題になったため。
気動車の場合は車種自体が戦後の普及であり、それまでにアメリカで密着自連の原型ができていたため、国鉄時代の気動車はほぼ全てこれで統一されていた。
かつて自動連結器を多用していた私鉄電車が乗り心地の改善を意図して連結器の密着化を進めていったうち、1960年代においてはこの密着自連を採用するところが多かったのは、一斉交換が難しく、長期間の過渡期でも支障がないためである。
電気連結器の採用でさらに密着連結器に移行した社も多い(京急・近鉄など)が、密自連と電連を使う名鉄や、そうこうしている内全列車目いっぱいの長編成になってしまい、交換するまでもなくなった東急のような社もある。
また国鉄→JRの場合、原則として電車はすべて密連であるが、機関車牽引が運転の前提になっている場合、例外的に密着自連を装備しているケースもある(169系を用いた小海線直通列車「葉ッピーきよさと号」、485系に属するシルフィード、E655系の前頭部・・・など)。機関車牽引用であるため、客車で用いる大型のものが使われている。
小型密着自動連結器
気動車と電車に搭載される密着自連は正確にはこのタイプで、機関車牽引列車ほど連結器に多大な負荷のかからない動力分散方式の車両には連結器の肉厚を薄くして軽量化し、小型化したこのタイプが搭載されている。
並型自連・普通サイズ密着自連との互換性の関係上、ナックルは前端部は通常型に近い上下幅を持つが、そこから後ろ、ナックルのピンあたりからは軽負荷相応の小型部品となる。