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自動連結器

じどうれんけつき

鉄道用連結器の一種。(対義:手動連結器-ねじ連結器・ピンリンク連結器など)
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鉤形の連結器で、連結器同士を押し当てるだけで自動で連結が完了する。略して自連とも呼ばれる。

アメリカの発明家イーライ・ジャニーが発明。アリゾナ州が連結手の安全確保のために自動連結器と自動空気ブレーキの採用を義務化して以降急速に普及し、1893年には連邦全体でも自動連結器と自動空気ブレーキが義務化された。

自動連結器は仕組みが簡単なのも然ることながら、連結器に22mmの隙間が作ってあるので発車時に徐々に動力車へ負荷がかかることから、動力集中方式では有利なものである。
この利点から編成重量が大きい列車に使いやすい為、貨車に多用される。
但し旅客列車では乗り心地の点で不利で、密着自連が普及する前はアメリカ・中国のようなセンターバッファー付き貫通路で互いを押し合う構造にしたり、高価な油圧緩衝器に頼ったり、相互互換性を諦めて密連に取り替えてしまったりと様々な工夫が必要だった。

なお、ヨーロッパ・イギリスでは分割併合のある車両については未だネジ式連結器が主流のため、ロクに調べ物をせず連結器を日本型の自動連結器で描くと赤恥をかくので要注意。(日本の漫画では良くこの非常に恥ずかしい描写がみられるが、逆に欧州圏の作品ではCGでも自連の車両をネジ式で描いてしまうことがままある。お互いさまと言ったところか)
機関車から貨車まで運用の固定されている重量鉄鉱石列車などでは、日米中(ジャニー式)のものではない(SA3系)にせよ自連(スウェーデン・ノルウェー)や密着自連(ドイツ・棒連結器併用)を使っているケースがある。勿論ねじ連結器ではもはや列車重量が支えきれないほどに重くなっているからであり、また牽引機も往年と異なり電気機関車なので、引き出し不能に陥るリスクが減っていることもスラック・アクションのない連結器を使う素地になっているのであろう。

日本では機関車客車の編成端・貨車に使われ、気動車客車の中間連結部には自動連結器よりも密着度合を高めた密着自動連結器が使われている。1925年7月にネジ式連結器から一斉交換された。
電車でも東急電鉄つくばエクスプレス東京メトロなどで非常時の救援用と割り切って先頭部の連結器は自動連結器としている例も多く見られる。

主な自動連結器

ジャニー式(AAR形)

最も初期以来の物。先述の発明家イーライ・ジャニーが名前の由来。
アメリカ鉄道協会(Association of American Railroads;AAR)がこれを標準型として規定している。
旧ソ連圏以外の大半で「自動連結器」はこの系統が導入されているおり、編成重量3万トンを超す世界最重量列車は、この連結器によって組成されている。東北・東南アジアの自連採用国はロシア(旧ソ連)規格であるモンゴル以外すべてこれ(但し、中国国鉄所属のロシア方面国際列車用客車の編成中間は、中国国内においてもSA3になっているようである。国内車と完全別運用のため、取替作業の最少化(両端車両のみ交換で済ます)が理由と考えられる)。日本の「並型」もこのグループ。
幹線鉄道で用いられるものは全てAARの300ポンド型ナックルの輪郭を原型にしており、ロック部分の機構差で型名が変わっているが(シャロン・アライアンス・マルコーなど)ジャニー式同士であれば相互に連結可能。大半の国の標準取付高さは空車時850mm~880mmに中心が来るよう設定されることが多い。

並形

日本でよく見かけるタイプ。系統としてはジャニー式に連なる。ロック機構の差異でシャロン式・アライアンス式・柴田式その他に細分され、柴田式自動連結器の開発者は柴田式密着連結器開発者とは兄弟の関係である(並型自連:柴田兵衛-兄、密連:柴田衛-弟)。
日本ではヤード長さに規定されて列車最大重量が1200tのため、強度規格は一世代前のグレードCでとどまっている。中国・アメリカ・南アフリカなど編成が短くとも3000tを超える鉄道では強化されたグレードEを用いている。

密着自動連結器

当該項を参照。アメリカでは1930年台に開発され1935年特許出願・1939年公開。
並型同様の半自動形が大多数だが、イギリスの電車や名鉄のような完全自動形となっているものもある。
日本では採用されていないが、密着自連に似ていながらスラックアクションのための隙間を有する「type F」も存在する。復心機能は要するものの機能上は並型自連の仲間になる。密着自連同様の位置決めの突起は、連結器の破壊によらない脱落防止のためにある。
アメリカの石油タンク車など、列車分離が重大な問題になりうるもので、かつ積空差がtype Fの許容量以上に大きくなりかねないものには、並型連結器の上下に外れ止めを設けたダブル・シェルフ・カプラーが用いられる。

SA3型

ウィリソン式(英国で開発された)の系譜上にある自動連結器。ロシア旧ソ連を構成する各国での採用例が多い。ジャニー式やその系統のものとは見た目は似ているが構造・連結原理が全く異なり、ナックルが回転して連結するのではなく連結器の胴はホゾを切った棒で、そこにクサビを打ち込んで抜けなくしている。
連結部に回転部分が無いため、-50℃極寒地でも動作実証済みという利点はあるものの(ドイツメーカーの記載値。但しAAR・SA3とも製造販売する中国メーカーの動作保証値はどちらも-34℃までとしている)、最大荷重が試されていないこと(実験場所がなかったため)から旧ソ連の周辺でしか使われていないに等しい。旧ソ連での列車の最大単位は6000t、これを導入したスウェーデンノルウェー間のオーフォート鉄道の鉄鉱石列車でも8000tにとどまる。従って、1万t超えの超重量編成に耐えうるかどうかは実証されていない。
ジャニー式と互換性がまったくないため、中蒙・中露間国境では台車交換に合わせて連結器そのものを交換する(鋳物製アダプターはあるが低速でしか走れない)。
現在既に中国~西欧のコンテナ列車が試験的ながら運行されており、しかも軌間可変車軸が存在するにも関わらず旧ソ連圏の出入り口で積み替えという一見甚だ不効率なことをやっているのは、位置的にも中国の自連とこのSA3という別種の自動連結器が干渉するため、軌間だけ変えてもその先で走れず、編成全車の交換となると膨大な時間を要するためである。※
非常に不便な結果となっているが、そもそも当時のソ連の独裁者スターリンはこれを意図して全く違う自動連結器にした経緯がある。
導入時期は1932年頃~の約20年間(それまでに、豪州・日本が取り替えていた)。その間は両用連結器として異種連結を可能にしていた。
標準取付高さは大陸本土が1060mm、サハリンが960mm(台車交換で100mm車高が下がるため。なお戦前日本領だった関係で、サハリンの鉄道連結器は戦後30年間はジャニー形(大半は柴田式)であったが、間宮海峡を横断するフェリーの開通で貨車が直通する直前の1976年に気動車用以外のものを取り替えている)。
ただし日米などのジャニー式と異なり、連結器の胴の中心線という意味では上述の1060mmになるが、連結部分の中心が下にオフセットした構造となっており、噛み合いの中心高さとしてはせいぜい950mm程度まで下がる。
床面が元々高いロシアの鉄道車両ではそうした構造でもなお連結部で桟板が持ち上がっており、ジャニー式の標準上下幅11インチ(280mm)どころではない垂直寸法があるものと推測される。
当然ながら重量も大きめだと考えられる。
UICが欧州標準としたこれの並型相当がAK69e、密着自連相当が次のC-AKvである。
※仮に固定編成の単純な往復と限定し、中国側でのみ編成両端の連結器のみ取替または控車の挿入という形であれば、ねじ・SA3自連両用連結器としてコンテナ貨車ごとの直通も一応可能であるが、固定編成化した貨車の帰属国や車検が問題になる。

C-AKv形

欧州UIC標準ねじ式連結器を置き換える目的で設計されたウィリソン型の完全自動式連結器。SA3型がベースで、密着自動連結器の一種である。⇗画像リンク
標準高さは1040mmに設定されている。

イギリスの自連(ネジ式と併用)

まったくもって謎なのだが、これが導入される以前から、イギリスの第三軌条区間やベルギーの電車ではジャニー式系統の連結器(バックアイ・カプリング)が使われており、特にイギリスではユーロトンネル開通後増備の大型貨車でもジャニー式が選択されており、連結器を変更するつもりはサラサラないようである。
なおイギリスでは客車の連結器は両用連結器になっており、機関車と連結する面のみねじ連結器を出すようAAR形自連を格納、編成中間はアメリカの様にセンターバッファー付き自連として連結している。※勿論、機関車も自動連結器装備車であれば自動連結器で連結する。


取り付け高さはEU(1040mm)と異なり中心で3フィート(914mm)程度。なお、ねじ連結器の標準高さは1020~1025mm程度である。
※機関車の場合は縦ではなく横に首を振って切り替えるタイプも多い。

アフリカ大陸

また、地中海を挟んで向かい合うアフリカ大陸ではSA3型を使っている国も一部あるものの、ジャニー式のほうが圧倒的に多く、アフリカ鉄道連合ではジャニー式(AAR形)を標準に提唱している。
全世界的に見れば圧倒的にジャニー式のほうが多く、EUメーカーはSA3押しであるものの、中国・アフリカなどと相互に直通しだしたら不便が露見するのも、EUの連結器切り替えが全く進まない理由の一つと推測される(表向きには「時期が選べない」とされるが、10~20年で交換した豪州やロシアがあるため)。

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