概要
リニアモーターを搭載した地下鉄のこと。
地下鉄路線を新規で建設する際、トンネル掘削作業のためにどうしても建設コストが大きくなってしまうため、トンネル断面を小さくした「小断面地下鉄」を開発するようになったのがきっかけ。トンネル断面が小さいながらも乗車空間を確保する必要性から、床下空間の縮小を迫られることになり、最初のリニア地下鉄事業者である大阪市交通局(大阪市営地下鉄、現在のOsakaMetroの前身)は、この箇所に「リニアモーター」を採用することで見事に解決させた。
この鉄輪式リニアモーターカーは、車両の台車側に搭載したコイルと、地上の軌道間のリアクションプレートの間で駆動力を発生させている。車両側の駆動装置(カルダン駆動、ツリカケ駆動など)は搭載しなくて済むので保守が容易であるほか、車輪・レール間の粘着力を利用しないため急勾配や急ブレーキでも空転や滑走が起きず安定しているのが特徴。
なお、車両そのものはレールの上を浮いているわけではなく、またリアクションプレートに電気は流れていない。
ただし、単位輸送量あたりの消費電力が通常に比べて大きいほか、路線規格が通常の鉄道規格と大きく変わるため他社・他路線との相互直通運転ができないというデメリットもある。
21世紀に入って全線開業した東京メトロ副都心線は通常の鉄道規格であるほか、京都市営地下鉄東西線は「小断面地下鉄」ながら京阪電気鉄道京津線の電車の乗り入れの関係で一般のカルダン駆動となっている。
路線営業開始順
営業開始年 | 路線 | 使用車両 |
---|---|---|
1990年 | OsakaMetro長堀鶴見緑地線(※1) | 70系、80系30番台(※2) |
1991年 | 都営地下鉄大江戸線 | 12-000形、12-600形(※3) |
2001年 | 神戸市営地下鉄海岸線 | 5000形 |
2005年 | 福岡市営地下鉄七隈線 | 3000系 |
2006年 | OsakaMetro今里筋線 | 80系 |
2008年 | 横浜市営地下鉄グリーンライン | 10000形 |
2015年 | 仙台市地下鉄東西線 | 2000系 |
(※1)開業当初は「鶴見緑地線」。1996年路線延伸に合わせ改称。
(※2)80系30番台は今里筋線からの転属車。2019年運行開始。
(※3)12-600形は2012年運行開始。
関連項目
大阪市営地下鉄・OsakaMetro 都営地下鉄 神戸市営地下鉄 福岡市営地下鉄 横浜市営地下鉄 仙台市地下鉄(仙台市営地下鉄)