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リニア実験線

りにあじっけんせん

リニアモーターカーの走行実験・試験を行うための路線。現在の所在地は山梨県。
目次 [非表示]

概要編集

現在試験走行が行われているのは将来的に中央新幹線の本線の一部となる予定の山梨県大月市から都留市に至る全長42.8kmの山梨リニア実験線。

試験は鉄道総合技術研究所JR東海が共同で行っており、山梨に実験線が出来る前は宮崎県で行っていた。


宮崎実験線編集

当初、リニアモーターカーの走行試験は国分寺の鉄道技術研究所(現在の鉄道総研)の構内に短い試験線を敷設して行っていたが、本格的な試験走行を行うに際してより大規模な実験線を建設することとなり、宮崎県の日向市から都農町に至る全長7kmの実験線が建設された。実験線の建設に際して全国で何箇所か候補地が挙げられたが、リニア研究者の1人が地方が良いと希望したことで宮崎が選ばれ、実際に地元から多大な協力が得られたという。


当初の実験線はML500が走行することを前提に、逆T字型のガイドウェイを採用していた。この形状のガイドウェイで時速517km/hの速度記録を達成したが、人間が乗車できるスペースが確保できないため、1980年にU字型のガイドウェイに変更された。

U字型ガイドウェイになってからの試験車両は車内に座席が設置され、有人での試験走行も行えるようになった。


しかし宮崎実験線は単線で距離が短く、カーブも非常に緩いものが1箇所あるだけでトンネルや勾配もないため、より様々な実験が可能な新しい実験線が必要とされるようになっていった。

1996年、宮崎実験線は山梨実験線へと役目を引き継ぎ、閉所された。跡地は東北大学のエアロトレイン試験線、メガソーラー発電所、太陽熱を利用したマグネシウム還元実験施設として活用されている。


試験車両編集

  • ML500

全長13.5m、幅3.7m、高さ2.9mのセダンを流線型にしたようなデザインの試験車両で、逆T字型のガイドウェイに跨る形で載っかっている。

走行試験終了後1981年から2014年まで大阪の交通科学博物館で展示されていた。閉館後は国分寺の鉄道総研で保存。


  • ML500R

ML500に液体ヘリウムの冷却装置を取り付けた改良型。ML500より全長は短く、高さが高くなったややずんぐりとした外観となっている。

ML500Rは試験終了後に廃棄されたために実車は現存せず、模型がリニア・鉄道館で展示されている。


  • MLU001

実験線のガイドウェイがU字型に変更されてから最初に導入された試験車で、将来の長距離大量輸送を念頭に客室を備えた箱型車体の車両。

3両編成だが、当初は1号車のみで試験走行を行い、連結面にあたる部分へは流線型のカバーを装着していた。

1989年に一旦試験を終了したが、1992年に試験走行へ復帰。宮崎実験線閉鎖後も現地に保管されている様子。


  • MLU002

MLU001をベースにより客室を広く取ったもので、体験乗車も考慮して空調が設置されていた。

国鉄が製造した最後の試験車だったが、1991年に実験走行中に補助車輪のパンク再現機構が誤作動したことでタイヤがロックされ、牽引車で引き上げ作業中に摩擦熱で出火し焼失。


  • MLU002N

MLU002をベースに難燃化とディスクブレーキ・空力ブレーキなどを追加した改良型。

宮崎実験線閉鎖後も現地にて保管。


山梨実験線編集

宮崎実験線で得られたデータを元に、新しい実験線は時速500km/hで最低3分間走行可能で急勾配やトンネルが設置でき、将来的には営業線として使用できるという条件の新しい実験線の計画が持ち上がった。


1989年に、実験線候補地として名乗りを上げた全国18の道府県から北海道・山梨・宮崎の3府県に絞られ、最終的に山梨へ決定した。

北海道は将来の新千歳空港アクセス鉄道への転用と積雪・寒冷地試験が可能、山梨はトンネル走行実験と中央新幹線への転用が可能というメリットが有り、大規模な需要が見込める山梨が選定された。


当初は実験線42.8kmを一気に使用開始とする予定だったが用地買収に難航し、中間部分の18.4kmを先行して完成させる形で1996年より山梨実験線での試験を開始した。


山梨実験線は複線で建設されていることから離合試験も可能となり、相対速度1000km/hでのすれ違い試験やトンネルでの試験も行われている。


2013年に工事が遅れていた部分の工事が完了し、全長42.8kmの区間で走行実験が行われている。


試験車両編集

MLXー01 マグレブさん

宮崎実験線で得られたデータを元に、浮上コイルが車両側面に設置された山梨実験線に対応する試験車両。3両編成と4両編成が1本ずつとバラの2両の合計9両が製造された。

実用段階に向けた最終実験として本格的な客室が設けられており、体験乗車などで活用された。

先頭形状はダブルカスプ型とエアロウェッジ型の2種類が当初用意され、後に超ロングノーズ型も追加された。

車体長は先頭車で28m、中間車は21.6mと24.3mで連接車となっている。車内サービス電源はガスタービン発電機か誘導集電で賄われる。

第1編成は一足早く走行試験を終え、先頭車のMLX01-1は愛知万博会期中はJR東海のパビリオンで展示され、名古屋市港区で耐食試験に供されてリニア・鉄道館で展示。

もう片方の先頭車であるMLX01-2は山梨県立リニア見学センターで展示されている。

中間車のMLX01-11は解体された。

第2編成のMLX01-3は国分寺の鉄道総研で保存されている。


リニア

JR東海が発表した営業仕様の車両で、試験開始後には時速603km/hのスピードレコードを達成している。

2編成が存在し、第1編成はサービス電源にガスタービン発電機を使用。第2編成は誘導集電を利用してサービス電源を確保するためにガスタービン発電機が搭載されなくなっている他、様々な違いがある。

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