解説
SBD(Scout Bomber Douglas)は、ダグラス社が設計・開発し1939年に実用化、太平洋戦争中のアメリカ海軍などが運用した急降下爆撃機・偵察機で、愛称は「ドーントレス」(Dauntless:恐れ知らず、勇敢な、我慢強いなどの意)。
ミッドウェー海戦の際、日本海軍の第一航空艦隊を撃滅したことで有名。
敵艦を相手に穴開きダイブブレーキを上下に開いて急降下、爆弾投下の姿勢に入る姿はイラストや漫画、映像作品でもたびたび描かれている。
特徴・戦史
九九式艦上爆撃機 | Ju87 |
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当時の他国における急降下爆撃機、例えば日本海軍の九九式艦上爆撃機や独ルフトヴァッフェのJu87は着陸脚が旧来的な固定式となっていたのに対し、SBDは主翼内に脚を引き込むことにより空気抵抗の大幅な削減を可能とし、結果として速度、航続距離、搭載量のどれをとっても優秀な性能を発揮した。
加えて、空荷の状態での運動性能はかなり良好で、3型以降は機首部に強力なブローニングM2重機関銃×2挺を搭載することもあり、急降下爆撃機でありながら相当数の日本軍機を撃墜する戦果も挙げている。
急降下爆撃機ゆえの鈍足を除けば現場での評価も非常に高く、SBDをもじって『Slow But Deadly』(鈍重だが致命的)と呼ばれたとか。
1943年からは後継機としてSB2Cの実戦投入が始まるも、この機体は安定性の不足をはじめとする多数の問題を発生。SBDの運用は以降も継続された。
ちなみに、アメリカ陸軍航空隊・アメリカ陸軍航空軍向けに空母向けの装備を取り外したA-24「バンシー」攻撃機(SBD-3A)も多数生産され、1948年に陸軍から独立したアメリカ空軍でもF-24として1年ほど運用された。
余談
- 坂井三郎とSBD
台南海軍航空隊のエースとして知られる坂井三郎は、SBDの編隊を後部銃座のないF4F戦闘機と誤認、不用意に後方に接近して後部銃座による集中攻撃を受け、片目をほぼ失明する重傷を負いつつも何とか帰還した。
坂井本人はTBFに撃たれたと回想しているものの、後に米軍の戦闘記録などと照合した結果、これはSBDであったと判明している。
SBDの後部銃座は7.62mmと小口径ではあるものの、3型以降は連装機銃化されており、日本軍戦闘機を脅かす危険な存在となった。
登場作品
太平洋戦争の緒戦における大活躍から、この時期の海戦を扱った小説・漫画・映画・ゲームなどでは確実といえるほどによく登場する。
- 連合艦隊西進す
横山信義の架空戦記。日本海軍に配備され三式艦上爆撃機という制式名を与えられた。
米軍の艦上爆撃機として登場。ミッドウェー海戦で日本海軍の空母に大打撃を与える。
攻撃シーンの映像は後発の東宝戦争映画に多く流用されている。
前述の坂井三郎が片目をほぼ失明した逸話をモデルにした場面で登場。
空母「ワスプ」の艦載機として登場。海上自衛隊の護衛艦「みらい」を攻撃するが反撃を受け全滅してしまった。
「音速雷撃隊」に登場。偵察を行っていたが零戦に見つかり撃墜されてしまった。
艦上爆撃機としてSBDとSBD-5が実装されている。
航空隊ユニット「SBD-3」のスペシャル版として、空中戦の能力がない代わりに攻撃力が通常の2倍もある「SBD-3 マクラスキー隊」が登場する。
『戦艦少女』と同様に空母特効スキルを持った金品質の爆撃機「SBD(マクラスキー隊)」登場する。
このマクラスキーことクラレンス・マクラスキーはミッドウェー海戦を戦った実在のアメリカ海軍のパイロット。
空母「エンタープライズ」を母艦とする第6航空群の司令として「GC」の表記がある司令専用のSBDに乗って陣頭指揮に当たり、リアルチートではなく、運と努力を伴う自らの指揮によって海戦の行く末を書き換えてしまったのである。