ビジネス機
びじねすき
飛行機のうち、企業の要人輸送や連絡などの「旅客輸送以外の用途」に使われるもの。
その特性から旅客機を小型化したような機体の場合がほとんどである。
(フライトプランさえ提出していれば)定期便のダイヤに縛られずに自由に飛ばせることや、飛行中の機内を「関係者以外完全にシャットアウトした空飛ぶ会議室」としても使用できるなどのメリットが多いため、空港利用料の安価な欧米においては割とありふれたものとなっている。
また企業の社用機だけでなく、個人の自家用機や急患輸送機として使用されることもある。軍でも要人輸送はもちろん広い機内を活かして偵察などの特殊用途に改造されて使われることが多い。
その性格上、「小さい旅客機」的な機体となる場合がほとんどである。
このため、ボンバルディアチャレンジャー→CRJのようにビジネス機の機体を延長して旅客機にでっち上げた例もある。逆にボーイングのBBJ(ボーイング・ビジネスジェット)のように、比較的小型の旅客機をベースとしたビジネス機もある。
エンジンはかつてはレシプロエンジンやターボプロップエンジンが多かったが、現在中・長距離ではターボファンエンジンが主流で、ビジネスジェットと呼ばれる。また、あまり大きなエンジンでなくても済むため、(高出力エンジンを作ることが難しいが燃費に優れる)ギヤードターボファンエンジンを採用する機体も増えてきている。
ジェット機の場合は「低翼式の主翼・リアエンジン2発・T字尾翼」というスタイルがほぼ基本となっており、長距離用ともなればジェット旅客機をしのぐ巡航速度や航続距離を持つことが多く、「旅客機に乗るより速く行ける」事がウリのひとつになっている。
乗客はそれほど多く乗せなくてよく採算を度外視した機内仕様にできるため、座席は旅客機のエコノミークラスよりゆったりしており、会議ができるようテーブルを挟んで向かい合わせに設置される。長距離用では機内スペースの大半を会議室やゲストルーム、ベッドなどに当てている。
欧米では割とありふれたものとなっているビジネス機だが、日本では採用する企業は非常に少ない。
これには、
- 空港利用料が諸外国と比べてバカ高い場合が多い
- 飛行機に関する税金も他国ほど安くない
- フライトプランの提出の締切期限がやたら早く、「今から飛行機飛ばすけど」というわけにいかない
- そうでなくても日本は道路も鉄道も国内線航空路も…とにかく公共交通が異常とも言えるほど発達しており、わざわざ自前の飛行機を用意しなくても済んでしまう場合がほとんど
という理由があるためと言われている。
ただし化粧品メーカーのノエビアのように、自前のビジネス機を保有しCMなどにも出している企業もある(というより同社の出発点は航空機のパーツ輸入を行う商社であったので、その延長とも言える)。
また自衛隊や海上保安庁といった官公庁は例外で、大型機向けの練習機、連絡機、要人輸送機、海洋監視機などとしてビジネス機を使用している。