概要
アメリカ陸軍が使用する歩兵戦闘車。搭乗員数は9名(6名が兵員)、主砲はM242 25mm機関砲とTOWミサイルを装備する。
ほぼ同一仕様の騎兵部隊向けM3ブラッドレー騎兵戦闘車も存在する。
新型戦闘車両開発の流れ
1965年、アメリカ陸軍は新たな戦闘車両の開発を開始した。1950年代にフランスは兵員輸送車に20mm機関砲を搭載した車両を開発し、西ドイツは世界初の歩兵戦闘車HS.30を開発した。これの後追いではあるものの、アメリカでも歩兵支援・輸送目的に新型車両の開発を始めた。仕様要求に基づき、国内メーカーが試作車を製作したが、アメリカ空軍次世代輸送機C-141に搭載できないことが判明し採用は見送りとなる。
1967年、当時の敵国ソ連がBMP-1を公開、73mm低圧砲と対戦車ミサイル搭載し、NBC防護能力を持つこの車両に軍関係者は驚いた。俗にBMPショックと呼ばれるソ連の新型車登場にアメリカの歩兵戦闘車開発計画は大きく舵を切り替えることになる。
1972年にFMC社は試作車XM723を開発した。しかし当時の軍上層部から機関砲の口径大型化と対戦車ミサイルの搭載の要求がだされ、再設計することに、さらに1975年には、当時同時進行中だった騎兵部隊向け新型装甲偵察車開発計画と開発計画が統合されることになり、歩兵戦闘車と共に同系の騎兵戦闘車も開発することとなった。
そうした道のりがあって1977年ようやく試作車XM2およびXM3が登場したが、アメリカ議会はこれらの車両の能力に疑問を抱き、一時的に予算を差し止めた。だが陸軍は、コストと開発期間の不足を訴えてXM2/3計画の推進を主張し、1978年10月、議会は陸軍の主張を受け入れた。
1979年12月、XM2/3は最終試験に合格して制式化され、1980年2月1日、量産が認可された。
オマール・N・ブラッドレー元帥の名を冠して、ブラッドレー戦闘車と命名されたM2/3は1981年からアメリカ陸軍/海兵隊に配備され現在でも運用されている。
そのころソ連ではBMP-1の後継となるBMP-2の開発が完了しており、開発計画の遅延は深刻であった。(最初の歩兵戦闘車開発計画の開始から10年以上は経過している。)