概要
互いに逆回転するプロペラを2つ組み合わせた推進装置。
通常のプロペラでは不可能な高性能を実現できる他、高出力エンジンのパワーを受け止めることが可能(プロペラ2つにエンジンのパワーを分散させるため)であり、高性能プロペラ機で使用される場合がある。
一方設計や製造が難しいなどの問題点もいくつかある。
旧ソ連→ロシアや、イギリスの航空機など独特の技術的系譜を有する機体に使われることがあるため、ロシア機やスチームパンク世界の架空機などのような「異質な技術」を表すために使われることもある。
特徴
- プロペラ機離れした高性能を実現可能
プロペラが2段になっているということで単純に空気に伝えられる推進力が増える上に、後段のプロペラで前段のプロペラが発生させた乱気流を「整流」する作用もあり、一般的なプロペラ機では考えられないような高性能を実現できる。
例えばTu-95は900km/h以上での飛行が可能という、ジェット機に迫る性能を有することで有名である。
- 反トルク打ち消し用の設計が不要
プロペラといえども回転するものには違いないため、動かしていると反トルクが発生して機体にプロペラと逆回転するような力が働く。
これは意外と馬鹿にできるものではない。
このため、一般的なプロペラ機では反トルクを相殺するために機体が微妙に左右非対称に設計されていたり、あるいは自動的に舵を切ってトルクを打ち消すように設計されている。
ブローム・ウント・フォスの妖怪?あれはやり過ぎ。(同機は機体を露骨な左右非対称とすることで、「搭乗用キャビンの重さで」自動的に反トルクを打ち消すという意図もありあんな形になっている)
しかし二重反転プロペラは互いに逆回転するプロペラを2つ組み合わせているため、そんな設計は不要となる。勝手に反トルクが打ち消されてしまう。
- 設計・製造に高精度化が必要
一方で、駆動機構を見ると互いに逆回転するということは駆動軸においてはお互いの軸が相対的に2倍の速度で回転しているということでもあり、高精度な設計・製作が要求される。
ただ、カナディア社が開発した空飛ぶTENGA…ゲフンゲフン、UAV・CL-227のようにギアを使った非常にシンプルな方法で二重反転プロペラ(ローター)を実現させる方法もあるにはある。(こちらのページの2枚目の画像参照)
- 独特の騒音が出る
二枚一組のプロペラの動作により、独特の唸り音が出る。
これも結構見逃せない弱点。
- 重量増加
プロペラを互いに反転させる機構を設けるということは、その分重量も増加することを意味する。