曖昧さ回避
概要
スコットランドの戦士たちが愛用した剣だが、同名ながら形状・年代ともに異なる刀剣が2つ存在する。どちらもスコットランド・ゲール語で「大きな剣」を意味する「claidheamh mór(クラゼヴォ・モル)」を名称の由来としている。
一方は15世紀生まれで、大剣・両手剣の代表格のひとつとして認知されているものである。メイン画像はこちらを再現したもの。
こちらは全長1.2~1.4m、刃渡り1~1.2m程度と両手剣としてはやや小ぶりだが、この寸法が却ってほかの両手剣にはない機動力を生み出し、扱うものに高い戦闘力を与えることができたという。
寸法の近い先の時代のバスタードソード(ロングソード)と形状を比較しても
- ブレード(刃)が薄くテーパーが緩い(切っ先が幅広い)
- 上記に加えてポメル(柄頭)が小さいため、重心がやや先端寄り
という特徴を備えており、従来品よりも一撃の切断力を重視した構造であると考えられる。
また、ほかの両手剣と区別する際の特徴として、左右の鍔の先にクローバーの葉のような三つに連なった小さな輪が存在する。
中世イングランドでは、この剣を振るうスコットランド高地人の戦士たちを、丘陵の多い地形になぞらえて『ハイランダー(丘の人)』と呼んで恐れたという。
シンボリックな形状からか知名度の面でも圧倒的にこちらが上で「craymore sword」で検索すると見事に両手剣の画像が立ち並ぶ。
もう一方は18世紀に生まれたブロードソードの一種で、籠型の護拳を備えた刃渡り80~85cmほどの標準的なブロードソードである。前述の両手剣と区別するため「Basket hilt Claymore」とも呼ばれる。前者に比べて外見上のインパクトやネームバリューは劣るものの、第二次世界大戦ごろまでスコットランド出身の兵士たちが好んで用いたらしい。
「マッド・ジャック」ことジャック・チャーチルが腰に帯び、戦場で用いたのもこっちの方。