概要
ジャイロジェット・ピストルとは、1960年にアメリカMBA社が開発した、ロケット弾を使用する拳銃型のロケットランチャー。
本体や弾丸の見た目、使用用途は拳銃そのものであり、兵器としての区分も小火器に該当するが、銃弾が火薬による燃焼ガスの圧力ではなくロケットモーターによって飛翔するため、便宜上は世界初の片手で打てる超小型のロケットランチャーである。
性能
通常の拳銃に比べて発射音が小さい、反動が少ない、高威力という利点があり、登場直後は非常にセンセーショナルな話題となる。
しかし、射程に関して大きな問題が露呈する。
通常の銃弾は発射直後の弾速が最高だが、ジャイロジェット・ピストルの弾丸はロケット推進であり、徐々に加速し最高速度に達すると言う代物であった。
発射した時点では殺傷能力が出る速度に到達しておらず、最低でも20~30メートル飛翔しなければ相手に十分なダメージが与えられない。
50メートルを超えると推進剤が尽きて命中精度がガタ落ちするため、安定して使用できるのは20メートル以上50メートル未満という有効範囲が非常に限られた武器になってしまった。
MBA社もジャイロジェット・シリーズとしてライフル型やカービン型の構想もしたようだが、上記の欠陥や弾丸の値段が非常に高いということがネックになり、早々と市場から姿を消した。
登場作品
- 映画『007は二度死ぬ』
日本の公安が採用した最新の銃器「ロケットガン」として登場。
公安のトップ・タイガー田中がジェームズ・ボンドに忍者の訓練施設を紹介する場面では、テーブルの上にライフル型やカービン型を含めたジャイロジェット・シリーズが揃えられており、田中が手にしたのは全身銀色のピストル型。
訓練所で行われた試し撃ちでは、標的の藁人形を炎上させている。
全身金色のド派手なカラーリングの銃も用意されていたが、使う場面はなかった。
さらには「ベイビーロケット」という名の煙草に仕込む弾丸も登場、ボンドはこれを気に入って携帯し、思わぬ場面で活躍することになる。
秘密基地での戦闘では忍者部隊がライフル型を使用。
田中も銀色銃を携帯していたが撃つ瞬間に弾き飛ばされてしまったため、敵の銃を強奪して戦っていた。
- 漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
単行本9巻収録の「亀有ガンガン!?の巻」に登場。
警察拳銃射撃大会に備えて中川圭一が用意した銃の一つで、中川は「拳銃といえるかどうか」と評して「ピストル」と呼ばず、一貫して「ジャイロジェット」と呼んでいた。
両津勘吉は「白くてきれい」と評しており、銃の側面に「Serial No.007」と刻印されていることから察するに、007に登場した銀色銃をイメージしているらしい。
派出所内で試し撃ちをした両津は発射後の弾丸を視認できたらしく「タマが火をふきながらとんでいった」と喜んでいたが、ロッカーに至近距離で跳ね返されて不良品呼ばわり。
中川から銃の理屈を解説されるも理解できず「そんな複雑な銃いるか!」と放り投げてしまった。
- ゲーム『バイオハザードヴィレッジ』
隠し武器「ロケットピストルMk1」として登場。
着弾地点で特撮じみた小規模爆発を起こして周囲の敵を巻き込む、所謂無限ロケットランチャーポジションの規格外兵器となっている。