概要
二次創作コミュニティのスラングで、恋愛ゲーム『Kanon』の主人公・相沢祐一を手前勝手に超人化させたものの総称。
転じて、書き手の過剰な願望や欲望を付与され、原作の性格・スペックとかけ離れた超人にされてしまった魔改造原作キャラクターを指す場合もある。
要するに、版権作品の既存キャラクターを改造して生み出したメアリー・スーのこと。
「相沢祐一」が二次創作内で「U-1」と化すまで
原作『Kanon』は、1999年に発売された美少女ゲームである。2000年代初頭にかけて男性ファンを中心にブームとなり、当時ネット上でも多くの二次創作が発表された。
戦闘力も超能力も持たない、ごく普通の男子学生である主人公・相沢祐一が学園生活の中で出会う5人の少女との純愛を描いたゲーム……であるにもかかわらず、何故か
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俺は相沢祐一
祐一「俺は相沢祐一、17歳、人間の男。使用武器は神剣ラグナロク。属性は無。
二つ名は輝く聖剣士(シャイニング・セイント・ソルジャー)で、ランクはSSSより強いMだけど面倒なのでB」
名雪「何を一人で言ってるんだおー。今はランク測定の練習試合中だおー」
祐一「ぐはっ、また口に出してしまった」
祐一「いきなり決めるぜー。最上級魔法「テラフレア」」
Aランク「うわー。Bランクのどこにこんな力がー」
女性「祐一さん・・・ぽっ」
オリキャラ「そんな下らん試合なんてしている場合じゃないぞ。SSランクの魔族が攻めてきたぜ」
祐一 「SSランクか。暇つぶしにはなりそうだぜ。戦闘だ!」
「大図解!これがUltimate Yuichiだ!」編
鈍感で、朴念仁。思った事を無意識のうちに口に出してしまう精神障害。ぐはっ。
絶世の美男子な中性的容姿。髪の長さと色は自由自在、目の色も自由自在、翼の出し入れも自由自在、漆黒、蒼銀、白銀、鮮やかな赤、輝くような金、その他もろもろなんでもござれ。
名前変化、恐怖の眼力、威圧的オーラ、悩殺スマイル、相沢流格闘術、封印された力などの特殊能力。頑張れば歴代ライダー最強レベルのシャドームーンにも素手で勝てる。
ハクオロ以上の神だとか、アムロ以上のニュータイプだとか、国崎以上の法術だとか、耕一以上のエルクゥだとか、海原雄山以上の料理人だとか、藤原拓海以上のダウンヒラーだとか、冬弥以上のへたれだとか他の作品のフンドシを借りてるくせに、その作品のキャラを見事に踏み台。
作者憑依、料理の鉄人、薬草学、ハーレム構築、全属性魔術、改造人間Ω、元傭兵。
俺理論全開の俺様哲学。ランク申請は面倒だからしないとカッコつける。何の伏線もなしに隠してた力とやらを解放。伏線など飾り、設定集を読まない人にはそれがわからない。
珍走団斃湶の名前を叫んで繰り出される必殺の技、魔法。魔法剣、刀、ピアノ線でカッティング、音速を超える指弾等の黒猫真っ青のユニークスキル。
ビル下逸も真っ青な大金持ち相沢家当主、もしくは次期当主。
恒例行事は転校時の自己紹介にっこりフォーリンラヴ。
読んでいるこっちが何故か無性に恥ずかしくなる二つ名、あだ名、通り名(天使、悪魔、神話関係の名詞と色の組み合わせ)。
「おやくそく」編
文章は稚拙の極み。どこかで見たような設定と誤字脱字が満載状態。BBSは痛々しさ100%で構成された人外魔境。
前書き、後書き、感想への返信の決まり文句は「私は、Kanonについては二次創作でしか知りません。」「私は、主人公至上主義です。よってとにかく祐一がかっこいいです。」
特大フォント、色違いフォント、ルビを多用しつつまれに縦書。無意味に開いている行間。
読者としては興味も関心も無いような事項をしつこいぐらい親切に解説、SSの方にその情熱を振り向けろと思える設定集。
Kanonヒロインズは白痴化。オリキャラはアレな名前でおまけにコレな性格。
オリキャラの声優までも指定済だったりする。
「相沢祐一という名前の人間」がいるというだけでKanonSSだと主張することもある。
作者は作中のキャラに己が思想に関してひたすら熱く語らせる。
キャラの抱えるトラウマ、悩み等がちょっとした説教と頭なでなでだけでお手軽に解決しちゃう。ばんざい。
後書きというお題のオリキャラと作者のどつき漫才。
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(以上、ニコニコ大百科:「U-1」について語るスレ レス番号9、15-16 より引用)
のような内容の小説群が、「かのんSS-Links」などの『Kanon』二次創作コミュニティを席巻したとされる。
このように、本来の原作ではごく普通の男子学生に過ぎない相沢祐一をトンデモ超人化させた二次創作を、『Kanon』二次創作界隈では「Ultimate One(究極の一)」と「祐一(ゆういち)」を掛けてU-1と呼んだ事例に倣い、男性投稿者・男性閲覧者が多い二次創作コミュニティでは、書き手の過剰な願望を付与され魔改造超人と化した原作キャラクターを、ローマ字アルファベット大文字表記で表す場合が多い。
ネット黎明期・90年代の二次創作にもこれらの傾向が見られる作品群は存在しており、U-1勃興以前は『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公・碇シンジを超人化させた「スパシン(スーパーシンジ)」が代表例として挙げられる。