概要
うたわれるものの世界で、大いなる父(オンヴィタイカヤン)の支配から、ヒトを開放した神として崇められている存在。
逆にオンヴィタイカヤン信仰の強いクンネカムンやヤマトでは、人々を楽園から追放した悪神として忌避されている(※実際には両方とも間違いで、ウィツァルネミテアはヒトの開放には直接関係していない)
…そして本編の主人公であるハクオロと、ラスボスであるディーの本来の姿でもある。
その正体は明確には語られておらず、どこから来た何者なのかは自身さえ把握していない。
痕のエルクゥやFilsnownのラルヴァとの関係も囁かれたり、地球人類の誕生に関わっているともされているが、これは他者の推測が多分に交じっているため詳細不明。
その真の能力としてどんな願いも叶える力を有するものの、行使するには願いと同等の代償が必ず伴う(後述の『黒のウィツァルネミテア』を参照)。
その姿はヒトでは到底抗えないような巨体。筋肉質の肉体に尾、両腕、正面を除いた胴体、両脚が外骨格で覆われた異形の姿をしている。両手は四本指になっていて両腕の外骨格からは太く突出した杭のような外骨格が突き出ている。白と黒に分裂している状況では外骨格の色が白と黒と色が異なっている。
(筋肉の部分は共通で青)
元々は『謎の化石』と考古学者が融合した状態(アイスマン)であったが、創世記以降は後述の要因で二体にわかれている。
白のウィツァルネミテア(空蝉)
空白期~本編にかけてハクオロ(白の皇)と名乗っている。人々からは善神として崇められている。考古学者の肉体を保持しているため、アイスマンとしての人格が強いが、ウィツァルネミテア(謎の化石)の邪悪な心はしっかりと受け継がれており、本編では記憶喪失の為に温和であるが、大戦期にはもっと冷酷であったらしい(本編でもエルルゥに契約を迫った際や、ウルトリィとカルラが争っている際にその片鱗が見られる)。
黒のウィツァルネミテア(分身)
空蝉がアイスマンの肉体を使っている為に、こちらは思念だけの存在。そのためか『謎の化石』の意志が強く、『自らと同等の存在』を求めるがために(争いを起こすことにより、ヒト達に成長や進化を促すため)戦乱を起こす。
精神だけの存在であるため、活動期には地上の生物の肉体を乗っ取り器とする。人々からは邪神として恐れられている。また彼の叶える願いは悪意的(前述の願いの代償に相当する)な物が多く、大抵の場合は願ったものを破滅させる。
例:不老不死→代償:『姿』『知性』 単純で強靭な不死身の単細胞生物化
全知 →代償:『自我』 貴様を自分が乗っ取れば全知を得られるだろう?
だが、クーヤを守る為に死を覚悟で挑んできたゲンジマルに対し「友を殺したくない」と説得したり、その死を以て果たされた忠義に免じて本来曲げる事の無い契約を破棄したりなど、アイスマンの優しい心もまた受け継がれている。
本編ではオンカミヤムカイの学者ディーの肉体を乗っ取って活動している。
来歴
古代(現代)
化石化した状態で発掘され、とある機関によって隠蔽されていたが、保管場所を訪れた考古学者(『上司』の「万の神などと巫山戯たことをぬかしている黄色い猿」との言動からして日本人、少なくとも日系出身)が、『上司』に銃撃された際の血液を浴び覚醒。発掘所は崩落を起こし、考古学者の肉体を取り込み眠りにつく。
創成期(人類文明崩壊後)
地上が人の住める環境で無くなった為に、地下のシェルターで暮らしていた人類によって発掘され、「アイスマン」と名付けられて、人類が地上へ帰還する(環境汚染こそ解決したものの、人類は地上への適応力や免疫力を喪失していた)ための研究「アイスマン計画」の要として日本の研究所で秘匿されていた。その一環で誕生したのがアイスマンのDNAを元に製造された人造生物たる亞人(デコイ)である。
その後、アイスマンは紆余曲折を経て実験体の一人であったミコトと共に地上で暮らしていたが、人類によって捕らえられてしまい、アイスマンとの子を宿していたミコトは貴重なサンプルとして解剖され死亡、その肉体は標本となった。
人類の愚行とエゴに絶望、激怒したアイスマンはウィツァルネミテアとして覚醒。手始めに日本研究所の人間の願い(強い躰、死なない肉体)を叶えることによって不死身のスライム状の生命体(後の世でタタリと呼ばれる)に変異させてしまう。
また、その異常を察知した海外の勢力が日本の研究所を攻撃すべく、気象管理衛星アマテラスの照準を日本へと向けた際、自分たちが切り捨てられようとしていることを知った研究者の「(攻撃指令を出した海外勢を)殺してやる!」との叫びを聞き、それも『願い』として認知。
叶える形でアマテラスの攻撃を強制的に停止した上、大陸へ甚大な被害を齎した(詳細は不明ながらも、日本の研究員が映像機器の故障を疑った程の規模。ただしユーラシア方面には無事な所もあった模様)。
その後もタタリ化の呪いは世界中に広まり、生き残った人類は互いに疑心暗鬼になりながらの殺し合いを繰り返し、争いで死ぬかタタリと化すかで結局滅亡した。
しかし、その中で人類が滅びゆくのを望まない元々のアイスマンの理性は、狂気に飲まれ暴走する自分を止めるべく『死』を望む。肉体の無い思念体のみの実験体の一人・ムツミは衛星アマテラスのレーザー砲で介錯を計るが、それでも死ぬことは叶わず、止む無く封印される。
この時、人類への怒りから全てを憎悪する黒のウィツァルネミテア(分身)とアイスマンの人格を色濃く残す全てを愛する白のウィツァルネミテア(空蝉)に分かれ、お互いを否定しながら地上の獣人達に代理戦争を起こさせ(両者は可能な限り直接対決を避け、代理戦争によってヒトの進化を促そうとする性質がある)、文明を加速させていった。
敗れた方のウィツァルネミテアは一定期間休眠し、その間は勝った方のウィツァルネミテアが主導して現世に干渉する。また勝った方のウィツァルネミテアも一定期間活動すると休眠に入る。
大戦期(本編数十年前)
空蝉はハクオロと名乗り、トゥスクル、ワーベ、オボロの祖父ザンセツと祖母アマナらを率いた白き同盟、分身はゲンジマルやカルラの父ラルマニオヌ皇らを率いた黒の楔、両勢力は日本列島を二分する大戦争を繰り広げる。
戦いは黒の楔が勝利しハクオロは眠りに就き、オボロの祖父は失脚、ケナシコウルペ皇はインカラの父に乗っ取られた他、トゥスクルが自分の息子にハクオロの名前をあやかって名付ける。
空白期(本編数年~十数年前)
分身はギリヤギナ族治めるラルマニオヌ国の圧政に苦しめられていたシャクコポル族の王(クーヤの父)と契約し、生体兵器「アヴ・カムゥ」を提供、更にシャクコポル監視の為にゲンジマルを送り込み眠りについた。
ギリヤギナ王はゲンジマルに討たれ、アヴ・カムゥの圧倒的な力でラルマニオヌは壊滅し、ギリヤギナ族は殆どが死に絶える。
本編直前
オンカミヤリュー族の学者であるディーが、分身の冬眠場所を訪れた事で覚醒し、彼の肉体を乗っ取り復活。
それに呼応して空蝉も覚醒、復活場所の付近に居た為に重症を負ったアルルゥを救いたいと願うエルルゥと契約するが、復活の際のダメージのせいか記憶を喪失してしまう。
本編
記憶を失った空蝉は、嘗ての部下であったトゥスクルの元で再びハクオロの名を受け、新国家トゥスクルの皇表舞台に立つことになる。分身はディーとして暗躍して、互いにヒトの戦乱を煽っていくこととなる。
この時代の戦いは結果的にハクオロの勝利となり、ディーが眠りにつくはずであったが、延々と続く運命をハクオロは拒否。2つのウィツァルネミテアが直接激突することになった。戦いの結果、2つのウィツァルネミテアは再び一つに戻るが、分かたれた心までは戻らず不安定だった為に、ハクオロは自らウルトリィとカミュに封印される。
二人の白皇
オンカミヤムカイの最奥にて現在も封印されている。だが、封印の地に直接行けば会話する程度ならば可能。白の方は封印を受け入れているが、黒の方は最も繋がりが強いある人物へと執拗に干渉してこの世に出ようとしている。
ウィツァルネミテアの血族
前述の通り、本編に登場する亞人達はアイスマンから採取されたDNAサンプルから作られた人造生物の子孫にあたる。
その為か始祖であるウィツァルネミテアが本気を出すと、動きを封じられる等の現象が起こることがある(※偽りの仮面の亜人達の大半は、ヤマトの帝が盗用したデータから作ったコピー品の子孫でありDNAサンプルは使用されていない可能性が高い)。
以下代表的な直接血族
ムツミ(カミュ)
アイスマン計画の製造番号No63。製造段階で危険とされたた為に解体処分となって、残骸がカプセルに補完されていたが、その状態でもテレパシーやコンピュターへのハッキングを行えるという、ウィツァルネミテアの能力を高レベルで受け継いでいる。オンカミヤリュー族は彼女を元に生み出された物で、始祖として敬われている。本来の肉体は失われているので分身同様に思念として存在しており、子孫であるオンカミヤリュー族の肉体に宿って代々過ごしている(当代の器がカミュである)
白き同盟と黒の楔の大戦争時代における器はカリーティであった。
エルルゥ一家
アイスマンと実験体No3510(ミコト)との直系の子孫。かなり長期間代を重ねている為か、ムツミのような超能力は見られないが、アルルゥやトゥスクルの姉など一部の者は、森の母(ヤーナ・マゥナ)という動物と心を通わす特殊能力を持って生まれる場合がある。
ある人物
その人物が茫然自失の末に激昂した時は肉体こそは変化しなかったが、影がウィツァルネミテアと酷似したものと化し、人体発火、人体凍結、人体腐敗などの力を行使した。
これはその人物の出生がわかればある種当然の帰結といえる。
最終局面では力を求めてしまったその者を媒介にして顕現。黒の部分のみの顕現だったとはいえ、その力の規模は十数年前よりもはるかに上回っており形状が若干変化している。再びの大封印においては、前と違いカミュとウルトリィだけでは敵わず、鎖の巫の二人も加わってようやく成功した。
ウィツァルネミテアの複製品
散りゆくものへの子守唄
分身がシャクコポル族に付けてゾンビのようにした死体兵となったもの、日本方面の研究所の旧人類がアイスマンの仮面を解析して自分達の身体能力を高めるために作り出した二種類の複製品がある。
偽りの仮面
明言はされていないが、ヤマトにおいて仮面(アクルカ)を賜った4名の仮面の者(アクルトゥルカ)のうち、オシュトルとヴライが力を開放して変化した姿がこのウィツァルネミテアと酷似しているものと化した。
オシュトルの変化後は全身が白く、水のような青白い光の線が体を走り、両腕の外骨格からは2本の爪が突き出ている形状をし、氷や水を操る。
ヴライの変化後は全身が黒く、シュモクザメのような頭、炎のような赤い線が体を走り、両腕の外骨格からは三本の突起が突き出ているような形状をし、炎熱を操る。
帝のある関係者が過去に日本方面の旧人類の研究所へハッキングして得たデータはウィツァルネミテアの仮面も含んでいて、その計画は対外的には「真人計画」を発展した「アイスマン計画」と呼ばれていた(ハッキングした彼からすればほとんど別物と言う他ないが)。
ここから考察するとこの仮面(アクルカ)はウィツァルネミテアの仮面のデータを元に作った劣化コピーだと言える。アニメ版では仮面は与えられた4人の分だけでなく多数が試作されていた。ウィツァルネミテアの仮面との相違点としては着脱が可能なこと、力を使いすぎると魂を喰われた果てに塩の塊と化して死亡してしまう。ウィツァルネミテアそのものであるディーが作り出した複製品、過去に日本方面の研究所にいた旧人類が作り出した仮面よりも、命が削られるリスクがあるが戦闘能力の向上性・鎖の巫による非常時の封印など、完成度が一番高い。
仮面を被ってこそはいなかったが、何者かによってハク達へと差し向けられたウズールッシャの兵士の死体を使った死体兵は戦闘後に塩の塊と化して崩れ去った。
二人の白皇
物語を象徴する壁画には5体のウィツァルネミテアないし、「仮面の者」の変化後の姿が描かれている。
中央の個体の両腕と青い筋肉質の肉体は他の4体よりもウィツァルネミテアに酷似している。
残り4体中2体はヴライ、オシュトルの変化後の姿。
右下の個体はミカヅチの変化後の姿で土色の外骨格、頭部中央から長く突き出た一本角に、両腕の外骨格はウィツァルネミテアに近い形状だが突き出ている杭状の外骨格がウィツァルネミテアよりも短いのが特徴。
最後の1体は現時点では未確認の存在だが、状況証拠としてはムネチカが変化すればそうなるかと思われる。両腕の外骨格が巨大なナックルの形状が特徴。二人の白皇本編では変化後の姿の開示は無かったが、ロストフラグにおいてはある仮面の者の変化後の姿として登場した。
帝が作り出した仮面(アクルカ)は全部で5つ存在し、表に出ている4つはかつて大惨事を起こしたプロトタイプよりも意図的に機能を分散されリミッターをかけられている。
ある人物は作成者の帝にとって想定外であった怪物への変化を積極的に研究して、仮面の者よりも若干弱いレベルではあるが量産型「仮面の者」とも言えるグトゥ・アルダルを大量に作り出したりしている。
プロトタイプは未調整時には通常の「仮面の者」が4人がかりで犠牲にならないと抑え込むことができないという危険性があった。ただでさえそれなのに、調整された後のプロトタイプを付けた者は力の規模、存在意義など全ての面においてオリジナルであるウィツァルネミテアと完全に同じ位階の存在と化してしまった。かつての人類が変貌させられたタタリにあたる存在の亜人版とも言えるノロイという怪物へと周囲の亜人から片っ端に変貌させたり、願いを悪意ある方向に曲解してかなえたり、極め付けには変貌後の形態の肉体の色と頭部の形状が僅かに違うだけでかつてのウィツァルネミテアとほぼ全く同じ形状となっている。
欠片たち(フラグメンツ)
ロストフラグにて登場。
ウィツァルネミテアの継承者となったマシロの眷属達である神眷達が行動する目的の一つである。
かつてのウィツァルネミテアの分裂における白と黒だけでなく、どちらかの性質に寄った欠片へとさらに分裂して多数存在するらしく、アクタに宿ってるのはアクタの父の姿を借りて『解放者』と名乗り、宿主であるアクタは本能的に白であるハクオロと居続けてはいけないと自覚してることから黒に寄っている。
アクタに宿ってることによって、ムツミは父=ウィツァルネミテアだと認識している。