ビジュアルノベルスゲーム『痕(きずあと)』に登場する謎の存在。
概要
形式上では鬼とされる存在。
あらゆるものを斬り裂く爪、風の如き疾走、大気を震わす雄叫びなど圧倒的な戦闘能力を誇り、見るものを凍てつかせる凶悪性を放つ。
ネタばれ
実はエルクゥは元々地球上の生命体ではなく、地球時間で500年ほど前に「山神様」によって地球に連れてこられた所謂異星人の末裔である。
山神様は鯨の数百倍はある真っ白い流線型の身体を持ち、宇宙空間を航行して一生を送る雌雄同体の知的生命体である。
体内は人間の様な消化器官はなく大きな空洞になっており、あらゆる環境を再現可能。内部に他の生物を収納して宇宙船の様に惑星から惑星へ航行が可能である。
心の声により、同族は勿論他の知的生命体とも距離や言語の違いを問わず意思疎通が可能。
データベースの様に人間の一生分の記憶を保存し、他の人間にコピーする事も可能である。
地球時間で一万年ほど前に宇宙の果てで誕生した。
ある時山神様はある惑星で自分と同じく心の声で意思疎通を行い、宇宙船で他の惑星へ航行可能なほど高度な文明を持つ知的生命体と出逢った。
しかし、宇宙空間での活動に適応して心の声で会話できる「新人類」はごく一部であり、彼らはその超能力故に能力を持たない「旧人類」に怖れられて徹底的に迫害され滅亡寸前にまで追い込まれた。
この時膨大な時間を孤独な旅に費やしてきた山神様は意思疎通のできる友を渇望していたため、迫害されていた新人類を受け入れた。そして、旧人類への復讐を誓い力を欲する「新人類」達の求めに応じ、彼らの遺伝子を改造して旧人類を駆逐出来る強大な力を与え、旧人類の死に性的快楽を得られるようにすることで旧人類への憎しみを子々孫々に受け継ぐことの出来る様にした。
つまり、地球で鬼と呼ばれているエルクゥは山神様によって造られた改造生命体だったのである。
エルクゥ達は旧人類を駆逐し、いくつかの集団に分かれると山神様が産んだ子供達に乗って別の宙域に逃げた旧人類を追っていった。
世代交代を重ねるうちにエルクゥの旧人類に対する復讐心は狩猟本能へと変化し、彼らは自らを「狩猟者」と称し旧人類狩りを続けていった。
多種族間の争いに安易に干渉した自らの軽率さを後悔する山神様だったが、エルクゥの中にも人間であった頃の他者を思いやる心を持つ者が現れた。それが、エルクゥの中で唯一山神様と直接交信が許された皇女リネットである。
その頃山神様に二度目の出産期が訪れた。しかし山神様の種族にとって二度目以降の出産は生命の危険を伴う行為だった。出産をすれば死なないまでも宇宙空間を航行する力を失い体内に共生するエルクゥ達を故郷へ帰す事が出来なくなってしまう。
彼等を無視して自分だけの都合で出産をする事が許されるはずもなく、山神様は二度と子供を産めない身体になることを承知で出産を断念しようとした。
そんな山神様をリネットは説得し、銀河の外れにある惑星すなわち地球の衛星軌道上まで山神様を導くと出産をさせてくれた。その甲斐あって山神様は五人の子供を産んだが、その代償に宇宙を航行する事が出来なくなり地球の重力に引きずられ、以降地球に留まることを余儀なくされてしまった。
今から地球時間で五百年ほど前の出来事である。
ちなみに柏木耕一達柏木家の人間はリネットの末裔であり、エルクゥの力を受け継いでいる。