概要
変態村(原題Calvaire)は、ベルギーの監督ファブリス・ドゥ・ヴェルツが製作・脚本を担当したホラー映画。
売れない歌手の青年が迷い込んだ狂気の潜む村が、彼の存在によってさらに狂っていくさまを描く。
原題の”Calvaire" はキリストが十字架に架けられた“ゴルゴタの丘”、転じて“受難”“殉死”を意味する。
流血描写は控えめで、生理的嫌悪感を感じるシーンが多い。村人の様子は「変態」よりも「狂人」の方が相応しく、主人公マルクに神のようなものを認めて猟奇行為に走る。
2004年・第57回カンヌ国際映画祭批評家週間正式出品。2005年・アムステルダム・ファンタスティック映画祭グランプリ受賞。同年、ジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭審査員最優秀賞、国際批評家賞、プレミア観客賞受賞。
キャスト
マルク・ステヴァンス 演:ローラン・リュカ(日本語吹替: 咲野俊介)
バルテル 演:ジャッキー・ベロワイエ(吹替: 渡部猛)
ロベール・オルトン 演:フィリップ・ナオン(フランス語版)(吹替: 藤本譲)
ボリス 演:ジャン=リュック・クシャール(フランス語版)(吹替: 檀臣幸)
ストーリー
ベルギーの老人ホームでクリスマスの慰問ライブを終えたキャバレー・シンガーのマルクは、次の訪問先への道に迷った上バンを故障させてしまい、雨の降る夜の森に立ち往生してしまう。
そして、近くの小さな村のはずれの元ペンションに住むバルテルに出会い、宿を借りる。元コメディアンの彼は同じ芸人であるマルクに好意を示し、車の修理も請け負う。
翌朝、散策に出かけたマルクは、古びた納屋で家畜とセックスをする村人たちを目撃。驚いたマルクは一刻も早くこの地を去ろうとするが、車の故障を理由にバルテルに強固に引きとめられる。
その夜、バルテルは、かつて自分を捨てて男と蒸発してしまった妻グロリアのことをぽつぽつと語り始める。そして突如、マルクにかつて妻が自分にしてくれたように自分のための歌を歌うよう強要する。翌朝、マルクはバルテルが車の中を荒らし、あまつさえバンを破壊しているところを目撃し、彼に問いただす。しかし正気を失ったバルテルは、マルクを失踪した妻と思い込み、マルクを拘束、かつて彼女が着ていた服を着せて強姦し、再び逃げられないよう監禁する。
クリスマスの日。隙を見て、満身創痍のマルクは脱走を図るが失敗。ついには納屋で十字に磔にされてしまう。
また、バルテルは村人たちが集うバーに行き、「俺の女房の手を出したら殺す」と警告し立ち去る。
グロリアを愛していたロベール率いる村人は、グロリアがいるという妄想に駆られ、「彼の妻を、正当な権利を持つ自分達のものにするため」乗り込み、バルテルを痛めつけ、マルクを輪姦する。
その混乱のなか、マルクは決死の脱走を計るが、村人たちは執拗なまでに彼を追い詰めていく。