概要
クライヴ・バーカーの短編小説『禁じられた場所』が原作。
タイトルの「キャンディマン」は「飴売り」、転じて「甘い言葉で惑わせる色男」や「麻薬の売人」を意味するスラング。
本作では殺人鬼が生前に受けた蜂蜜での拷問に由来するが、前者の意味も多少はある。
あらすじ
主人公のヘレンはイリノイ州の大学で院生として都市伝説の研究を進めている。夫のトレヴァーは同大学で教授として教鞭を取っているが、最近は美しい院生のトレイシーに気もそぞろ。最近の夫婦仲は良いとは言えない。
論文の共同執筆者であるバーナデットと共に都市伝説に関する調査を行っていたヘレンだが、学生の間で語られる「キャンディマン」という怪談を耳にする。曰く、切断された右手に鉤爪をつけた男が現れ、「鏡の前で5回名前を言う」儀式で呼び出した相手を惨殺するのだと。最初は笑い飛ばすヘレンだったが、そこに掃除婦が声をかける。
「キャンディマンは実在する。黒人居住区のスラムに住んでいて殺人を繰り返し、住人はみな怖がっている」
事実スラムではたびたび死体が見つかっている事を新聞で知ったヘレンは、危険な地域に足を踏み入れる。そして「キャンディマンを呼び出す儀式」を戯れに行った事から、彼女は計り知れない恐怖に襲われていく……
キャンディマン
本名:ダニエル・ロビテイル。
毛皮のコートを着た黒人男性の姿をしている。
右手は切断されており、そこに大きな鉤爪をつけ、儀式で呼び出した相手を切り裂いて殺害する。
またコートの下は腐乱して骨が露出し、蜂が巣を作って甘い蜜の匂いをまき散らしている。
物理的に制限がなく、神出鬼没。いつでもどこでも姿を現し、凶行を繰り返す。
元は19世紀に元奴隷の息子として生まれた普通の人間。一代で富を成した父の存在もあって、当時の黒人としては珍しく上級の教育を受ける。
絵の才能があり、画家として人気を博したが、ある時地主の娘の肖像画を製作するよう依頼される。そこで二人は禁断の恋に落ち、娘は彼の子を妊娠してしまった。
激怒する地主によって捕らえられ、右手を切り落とされた上、全身に蜂蜜を塗られた状態で放置。無数の蜂に刺されて死亡した。死体は焼かれ、その灰が撒かれた場所が、事件の舞台となる黒人居住区である。
それ以来、都市伝説の超常的な存在「キャンディマン」となり、現在に至るまで語り継がれてきた。人の「恐怖」がなければ存在し得ず、その為に定期的に殺人を繰り返している。
いわゆる一般の殺人鬼ジェイソンやフレディと違い、意外にも紳士的な振る舞いを見せる。作中ではヘレンを従わせる為に赤子を誘拐したが、母親は傷つけず、また赤子自体も無事だった。
自分を呼び出したヘレンにつき纏い、死ぬ事で永遠の存在になれると「誘惑」しつつ、ヘレンを孤立させる為に周囲の人間を惨殺していく。そもそもヘレンが、かつて自分が愛して地主の娘と瓜二つ(生まれ変わり)だった事も執着する理由の一つ。
終盤、夫からも見捨てられ、殺人犯扱いされて絶望するヘレンと共に炎の中で心中しようとするが……
原作ではヘレンは死を受け入れ、いずれ自分が「キャンディマンに殺された被害者」として都市伝説になる未来を予測しながら焼死する。
映画ではキャンディマンの誘惑を振り払い、命がけで赤子を救出して死亡。ヘレンの死を悲しむトレヴァーが鏡の前で5回名前を呼んだ途端に姿を現し、新たなる「怪物」としてトレヴァーを惨殺した。
シリーズ一覧
原題 | 邦題 | 公開 | 監督 | |
---|---|---|---|---|
1 | Candyman | キャンディマン | 1992年 | バーナード・ローズ |
2 | Candyman: Farewell to the Flesh | キャンディマン2 | 1995年 | ビル・コンドン |
3 | Candyman 3: Day of the Dead | キャンディマン3 | 1998年 | トゥリ・マイヤー |
4 | Candyman | キャンディマン | 2021年 | ニア・ダコスタ |
2021年版は第1作と同じタイトルだが、リメイクやリブートではなく第1作の続編であるため注意。
作中で第1作の事件についても解説されるため、観ていなくても話の筋は理解できるが、旧三部作を観ていたほうがより楽しめる。
関連動画
予告編
キャンディマン
キャンディマン2
キャンディマン3
キャンディマン(2021年)
余談
関連タグ
ラストサマー…鉤爪の殺人鬼が登場するホラー映画繋がり。
シャーロット・ペロスペロー…キャンディマン繋がり。