概要
「県立地球防衛軍」とは、安永航一郎原作の漫画である。
月刊少年漫画雑誌『週刊少年サンデー増刊号』(小学館)に1983年5月号から1985年9月号にかけて連載された。単行本は小学館:少年サンデーコミックスより全4巻。また、2013年12月より完全版・全4巻が刊行された。
安永初の連載作品。怪獣映画やヒーローものなど特撮作品のパロディを基盤に置いたギャグ漫画。そのサブタイトルは、『ウルトラセブン』から取られている。
1980年代当時の「少年サンデー」漫画テイストが色濃く反映された作品の一つで、1986年にはOVA化もされた。
単行本化の際に著者の手で加筆・改変されているエピソードも存在する。連載終了後も、同人誌に後日談が描かれた。また、番外編としてファミコン通信のマンガ特集で、本作のキャラクターが登場する「どっこい大作戦」という読みきりを発表。
あらすじ
九州某県。その県議会は「電柱組」を名乗る者たちから、地球征服の宣言を電話で受けていた。この県を選んだのは「まず手始めに地方から」という理由から。
そして、時を同じくして、県立病院から逃げ出す患者……サイボーグ化されたインド人留学生。
事態を重く見た県議会は、満場一致で県立地球防衛軍を結成。県立今津留高校の、暇を持て余した野球部にその任を与えた(丸投げしたとも言う)。
かくして、県立地球防衛軍、および電柱組の、しょうもない戦いが始まったのだった。
登場人物
カッコ内の声優は、OVA版のもの。
県立地球防衛軍
もとは、県立今津留高校の野球部およびその部員たち。暇を持て余しているため、県庁の県知事が、面倒な地球防衛軍の任を丸投げし押し付ける事で結成された。
当初は断ったが、「防衛予算が出る(=金が入りどんちゃん騒ぎができる)」と聞いて掌返しして引き受ける。
しかし毎回予算不足のままで、コスチュームはタンクトップ(冬でも)。ろくな装備および支給品がないまま、電柱組との戦い(?)に身を投じる事になる(移動の際にはバスや電車など、一般の交通機関を用いる)。
ちなみに野球部自体は、後輩たちが主体となって活動している。当然ながら盛田たちの事はあまり重視されておらず、むしろ厄介者扱いしている。
※上記画像の三人が、県立地球防衛軍の三人。ただしこのコスチュームは、OVAのOPのもので、盛田の夢オチである。
- 盛田弘章
(CV:古谷徹)
上気画像の中央。
主人公(一応)。今津留高校野球部のピッチャーだが、才能も人望も無い。口車の名人で、なんだかんだで口先で敵を丸め込む事が多い。アホでスケベでセコイ。バラダキと恋仲になり、『ラブコメ男』呼ばわりされる。
周囲のキャラたちが濃いため、相対的にやや目立たなくなってしまっている。連載当時のハシラにも「名ばかり主人公」と書かれていた。
野球に関しては、あまり真面目に練習する様子を見せていなかった。劇中で行っていたのは「甲子園の決勝戦で優勝した時のため、劇的なリアクションを行う練習」であった(他に「色紙にサインする練習」もしていたらしい)。とはいえ、甲子園には行きたかったらしい事をあき子にもらしている。
実家は提灯屋で、原始時代から提灯を作り続けている。本人はこの仕事をものすごく嫌がっており、後を継ぎたくないと考えている。
英語の果たし状を読む事が出来るが、成績は最悪。また、腕っぷしもそれなりに強く、口車が通用しない相手には物理でぶん殴っていた。
劇中で卒業はするが、浪人してしまう。
- 武井助久保
(CV:玄田哲章)
上気画像の右。
野球部キャッチャー。ガタイが良く、盛田同様にアホかつスケベでセコイ。猪を素手で捕まえる事が出来るらしい。盛田とは似た者同士で、下宿では同室。女性にはまるでモテず、猪上裕子が二人になった時にナンパしようとして、する前から振られてしまった。「ぬりかべ男」と盛田から突っ込まれたりも。盛田同様に、腕っぷしも強い。
ヤカンでインスタントラーメンを作り、食い終わった後に洗わずそのまま放置するような怠惰で横着な一面を有する(それに気づかないまま、冷蔵庫の製氷室からはがした氷と水を注ぎ入れ、インスタントコーヒーを作ってしまった)。
卒業後、盛田とともに浪人してしまう。
- 伊福部あき子
(CV:深見梨加)
上気画像の左。
野球部マネージャー(らしい)。黒髪のロングヘアで、見た目は普通の女子高生だが、筋肉フェチ。筋肉質ならば、どんなに変態的な人物(というか、本作に登場する人物の多くがそうだが)でも、「いい男♪」とときめかせる。しかしなぜか助久保に対してはあまり関心を向けない。
- カーミ・サンチン
(CV:鈴置洋孝)
インドからの国費留学生。バラモン教の僧侶になるため留学したが、交通事故に遭い、病院でサイボーグ化された。パワーは八千馬力、両肩にミサイルポッドを内蔵しており、電柱組との戦いで用いている。病院を脱走後、炉縁に拾われて彼のアパートの部屋に同居するように。
炉縁から「(サイボーグに改造したのは)おそらく電柱組の仕業だろう」と言われ、電柱組に対し敵意を向ける。以後、なし崩し的に防衛軍に参加。メンバーに。
見た目は褐色肌の美少年で、当初はそれなりに落ち着いた性格だったが、盛田らと行動しているうちにギャグキャラになっていった。ギャグマンガのキャラゆえ、シリアスな思考になると脳の回線がショートする。盛田らからは「インドと言えばヨガとカレーと坊主だろ」「そんなこっちゃ立派なレインボーマンになれないぞ」などと言われたりも。
真船により、一時的に元に戻るが、その際に女体化した(全裸で鏡の前でポーズを取ったりもしている。後に真船を脅して元のサイボーグ体に戻る)。
OVAでは、梅昆布茶は嫌いで、ウーロン茶が好きとの事。
盛田らと同様に、留年し浪人に。
最終回ではアメリカにて、ゲイたちに追われて退場する。
- 炉縁俊幸
(CV:田中秀幸)
今津留高校の数学教師で野球部顧問。その立場から、県立地球防衛軍の隊長になった。
髭がトレードマーク。
行き倒れていたサンチンを拾い、自宅アパートの部屋に住まわせている。また、電柱組の作戦で、バラダキとデートし、関係を疑われた(そのせいで「生徒に手を出した」「インド人の美少年と同棲」「両刀使い」などと、色々噂を立てられた)。
- 真船
(CV:戸谷公次)
今津留学園の物理の教師。猪上博士の友人で、サンチンをサイボーグに改造した一人。サンチンにミサイルを取り付けた張本人らしい。後に(サンチン本人の承諾無しで)リモコン装置の取り付けや、パワーアップと称したミサイルポッドの増設をしている。さらに、欠損部分の細胞を増殖する装置で、サンチンおよび猪上裕子をサイボーグから人間に戻したが、その際に性別を変更。サンチンを女性化させた(普通に戻したら面白くないという理由から)。
OVAではサンチンが逃亡した直後、もっともらしい事を口にしつつ、PCでゲームしていた。
- 県知事
九州某県の県知事。電柱組に宣戦布告されたため、防衛軍を設立した。しかしそのうちに厄介ごとや面倒ごと全てを防衛軍に押し付けるようになる。しいたけヨーグルトの在庫処分も、防衛軍に押し付けた。
- 大山みゆき
(CV:潘恵子)
県知事の秘書。美人でおっとりしているが、しっかり者であり常識的な人物。電柱組および木曽屋の情報収集のスパイ活動を行い、成功するが、その方法は「正面から木曽屋を訪ね、チルソニアからインタビューをして情報を引き出す」というものだった。
OVAでは、冒頭部に知事からの仕事を終えて書類を提出していたが、その内容は「すけべ同人誌のリスト作り」であった。なぜかバニーガール姿の写真が存在する。
- 県警特殊部隊
文字通り、県警察の特殊部隊。県知事が肝いりで結成した特殊チームで、隊長は中東で活躍した元傭兵。メンバーたちも、自衛隊からの引き抜きで構成されたエリートたち。
全員、地肌にロゴが入ったシャツ、および半パンツに警帽といった姿をしている。冬場でもその格好だが、「鍛え方が違う」と豪語している。
シャツのロゴは、隊員は「けーさつ」、隊長は「たいちょお」。筋肉質で足はすね毛だらけなため、若干見た目は変質者チック。
毎回、改良人間たちの前には初陣で惨敗するといった、防衛軍の前座として扱われる事が多い(対トロロ男戦では全員がトロロ化。対グリコーゲンX戦では、還元剤を打ち込み二日酔い状態にするものの、アイアンレバーの力でアルコールを酸化され、反撃を受けて全滅した)。
電柱組
材木問屋「木曽屋」の下部組織で、本作において世界征服を企む悪の秘密結社。
「世界征服をするには、まず地方から」という方針から、地方の県から侵略活動を実行し始めた。
電柱組自体は木曽屋の副業。「世界征服には破壊活動が付き物であり、その復興に材木の需要も高まる。そこで材木を売りつける事でより儲ける」という方針を、昔から行っているらしい。
改造人間ならぬ改良人間を擁するなど、それなりに戦力は有するが、やってる事は「農家から芋を超能力を用いて盗む」「海に肥溜めの中の糞尿をまく」など、せこいものばかりである。
- 原瀧龍子(バラダギ)
(CV:鶴ひろみ)
電柱組幹部。今津留高校の一年生で、盛田たちの後輩。苦学生で、電柱組はバイトで入っている。
詳細は当該項目を参照。毎回いまいち運が無く、貧乏くじを引いてしまう。最終回では、まっする日本にあき子と間違われて連れ去られてしまった(同人誌版では、後に帰還した様子)。
- 木曽屋=チルソニアン=文左衛門=Jr.
(CV:池田秀一)
電柱組首領にして、材木問屋「木曽屋」の若旦那。
毎回しょうもない作戦を立てては、防衛軍にそれを阻止される。一応見た目はイケメン。
市役所の秘書から、スパイ活動(という名のインタビュー)をされた際に、「秘密をぽんぽんばらしていいんですか?」と聞かれ、
「私は無理やり探られると、嫌でも教えたくなくなるが、面と向かってインタビューされると、どうも隠し事ができないタチでして」と答えている。
木曽屋の日本支部の部長も兼ねているが、その営業成績は最低レベル。
OVAでは、毎日牛乳を飲んでいるらしい事をインタビュー時に答えていた。
- 下っぱ
電柱組の雑兵。当初は黒地の全身タイツ姿で、顔に白文字で「下っぱ」と書かれたデザインだったが、後に「ほっかむりに白地の仮面に黒字で下っぱ」といった姿に改められた。理由は「まっする日本に黒下っぱが全滅させられたから」らしいが、実際は「ベタに白抜きの文字が面倒だったから」らしい。
- 岩崎
下っぱの一人で、今津留高校の男子生徒。役職は下っぱ六号。結構イケメンで女子生徒にモテる。
- ボルチモア・ブラザーズ
マイケルとデヴィッドの兄弟。電柱組ボルチモア支部に在籍している幹部で、筋肉質の身体を有する。毎回盛田に口車で丸め込まれるため、難しい日本語が通じなければ通用するだろうとチルソニアが召喚した。
チルソニアの事を「ブンザイモーン」と気さくに呼ぶため、チルソニアのフルネームが明らかとなった。
筋肉フェチのあき子を拉致(というか彼女の方から付いていった)した後、盛田と助久保、サンチンを呼び出し対決。難しい日本語が通じないため、盛田のいつもの口車が通じず、物理で殴りつけ彼らを叩きのめそうとする。実際、確かにパワフルなため、防衛軍側も一時的に圧倒されていた。
しかし盛田たちもまた、予想外に腕っぷしが強かったために反撃され、逆に叩きのめされる結果に終わった。
(なお、あき子は騒動が終わった後も、二人の筋肉目当てでしばらく電柱組に留まり続けていた)。
- パメラ・サンチン
カーミ・サンチンの姉で、貿易商社に勤めるキャリアウーマン。サンチン同様の褐色の肌を持つ美女。木曽屋に対し、材木の取引目的で来日した。
有能かつ多才な女性。弟がサイボーグにされた事を知っても、さして動じず冗談もかましていた。また、腕っぷしも強く、サイボーグ化されたサンチンと戦っても敗北寸前にまで追い詰めていた。
幼少期から、受けた屈辱を忘れず、必ず倍返しするらしく、サンチン曰く「絶対に逆らいたくない相手」。
小学生の頃に、同級生のガキ大将に自身のスカートをめくられ(その後でパンツすらもめくろうとした)たため、自身の小遣いをはたいて「その相手名義で、エロ本の通信販売」を片っ端から申し込んだ。
そのせいで相手のガキ大将は三週間後、届いた荷物の中身を親に見られて殴られ、顔をぼこぼこにされた状態で登校。翌日に失踪し、未だに行方不明らしい。
改良人間
- マーカライト=ファーブ
電柱組改良人間。テレキネシスを持ち、それを用いて芋農家から芋を盗んでいた(しかし芋を盗むためだけに能力を用いていたため、芋以外に効かなくなってしまった)。全身タイツで、サトイモ呼ばわりされる。後に仙人の元に弟子入りし、修行してトマトを操れるように。サンチンすらも倒すが、その仙人によりサーカスに売り飛ばされる。
- スコープ鶴崎
(CV:青野武)
電柱組改良人間。目元をゴーグルで覆っており、オプションで赤外線ゴーグル、ウルトラ透視スコープを有しており、場合によって付け替える。見た目はハゲの中年男性。
周囲と比べてややまともな性格だが、OVAではかなりエキセントリック。
- 食通(タイガードラゴン)
(CV:佐藤正治)
電柱組改良人間。見た目は恰幅の良いハゲたおっさんで、額にマルの中に「通」と書かれている。食堂に入って、多くの料理を注文し食すが、何を食べても「うまい」「最高」しか口にせず、しかも「キミはTV番組を見た事が無いのか」「食い物の代金を払わないのが食通の常識」という理屈で代金を支払わない。
しかし無駄な食通のプライドを盛田に煽られて、過剰在庫のまずい「しいたけヨーグルト」を全部食する事になる。
実際に食通かどうかは怪しいところだが、普通の食物ならば何でも喜んで口にする(ある回で電柱組に豆腐が大量に入って来た時。周囲は毎日豆腐でうんざりしている中を、一人だけ喜んで平らげていた)。また、料理店の店主は「タイガードラゴンと言えば、入った店の後には割りばし一つ残らない」という噂を聞いている。
一年365日全てを正月にしようと目論む改良人間。額に日の丸の扇子を装着、全身に正月関係のアイテムを装着している。
出現時の口上は「あけましておめでとうございます!」
「初詣ビーム」を額から発射し、人間を強制的に正月気分にさせる(しかしサンチンなど外国人には通用しない。のちに「ハッピーニューイヤービーム」も出せるように)。盛田の口車で「正月のままだとお盆が来ない、お盆が来ないとご先祖様に済まないと思わないのか」と言われ敗退。一時期「盆と正月が一緒に来た仮面」を名乗る。
後に電柱組の地下に幽閉され、除夜の鐘で復活。乗り込んできたまっする日本と対決させられる。
- トロロ男
電柱組怪人見習い。改良人間ではなく、トロロ芋嫌いが高じて呪われ、身体がトロロになってしまった男。以後、街に出てバイトしてもその身体のために長続きせず、途方に暮れているところを電柱組にスカウトされた。その正体は助久保の幼馴染の五郎。受けた者の肌をトロロと化すトロロ光線を発射する。
一応怪人としての実力は髙く、都知事が招集した自衛隊上がりの特殊部隊を敵に回し、その全員をトロロ光線で返り討ちにしていた。
助久保にトロロ芋を食べさせられ、食わず嫌いが直った事で呪いが解けて普通の身体に戻り、田舎に戻った。
- メカ盛田
改良人間ではなく、猪上博士に電柱組が作らせた、盛田そっくりのアンドロイド。ただし顔に筋(機械の継ぎ目らしい)がくっきり出ており、あっさりと見分けがつく。
盛田に成り代わり、様々な悪行を行って、その罪を盛田になすりつけ、ひいては防衛軍の評判も落とす……という作戦のために作られた。
なお、実行した悪行は「食堂で食い逃げ」「公園の砂場で幼児たちが作った砂の城を壊す」「銭湯の女湯を覗く」「シルバーシートをお年寄りの前で占領」「歓楽街で堂々とストリップを見に行く」といった、色々な意味でセコいものばかりである。
その能力も全てが本物の盛田と同じだが、家業を継がせようとやってきた父親に、本物と思われてそのまま連れていかれた。以後、家で父親とともに提灯張りをしているらしい。
その他
- 猪上年男博士
(CV:宮内幸平)
医科大付属病院所属の、医師兼科学者。
普段は優しく温厚らしいが、趣味は人体実験で、サンチンをサイボーグ化したその人。
サンチンを「ついうっかり手を滑らせたため」サイボーグにしてしまったという。サンチン曰く「バカでスケベで変態趣味で、どうしようもない異常性格の中年のおっさん」。
自分の娘も、電柱組に脅迫されたため(という体で)改造し、同様のサイボーグにしてしまった。この時も「すまんすまん、ついうっかり調子に乗ってな」などと言っている。
OVA冒頭でも、サンチンが逃亡した際。ついうっかり手が滑ってサイボーグ化したと言っている。その事を同僚らしき人物に責められると「おめーだってスティーブ・オースティンよりスゴイの作るって言ってたじゃないか」と責任転嫁していた。
また、自分そっくりのロボットを作り、チルソニアに電撃のスイッチを持たせて電気を浴びさせ、娘を脅迫させていた。
しかしスイッチが壊れてしまい、電撃を受け過ぎて爆発。「スイッチに改良の余地があったか」と直後にひょっこり現れる。その後でチルソニアともども、娘からのミサイルを受けて吹っ飛ばされた。
- 猪上裕子
(CV:藤田淑子)
猪上博士の娘。父親の手により、サンチンに対抗するためのサイボーグにされてしまった。
当初は嘆いたが、父親にミサイルを直撃させて叩きのめした後に開き直り、サンチンに戦いを挑む。
サンチンに(コマ外で)いろいろされた際に敗北。原作ではその直後に「あんな奴に負けっぱなしじゃいられないわ!おとーさんどんどんパワーアップしてちょうだい!」と再改造を受ける。
後に元に戻されるが、父親に「いつ家出されても良いように」と、クローンで二人に増やされる。
- まっする日本
自称「正義の味方」のモヒカン頭で筋肉質の大男。作中最強にして最悪の存在であり、電柱組の黒下っぱが全滅したのは彼が原因である。劇中では誰も彼を倒せず、敵わなかった。
名前の元ネタは、コーヒー飲料会社の「ネッスル日本(現:ネスレ日本)」
悪事を感知する超感覚「まっする感覚」で、辺り構わず正義を執行する。当初、電柱組の連中を叩きのめしていたため、バラダギもその写真を手にして「これって盛田か助久保が変装してるんじゃないか」などと勘違いしていた。
後に、行き倒れていた所をあき子に拾われ、そこから防衛軍と電柱組を相手に立ちまわる。
曰く「私は戦いがキライだ、だから戦おうとする奴を見ると無性に腹が立つのだ!」
この理屈で、防衛軍および電柱組両方を単身で叩きのめす。その実力はかなり高く、サンチンが相手でもパンチ一発で返り討ちにするほど。
後に、世の中の悪が減らない事を憂い、正義の為なら手段を選ばず行動。ロールシャッハテストで、悪と断定すると天誅を下すようになる。
ちなみにそのテストは、具体的には「鼻水をティッシュでかんで、それを見せ、その答えで人の善悪を勝手に判断する」というもの。この答えによっては、「性格判断ランクD」=悪人と見なされ叩きのめされる(鼻水と答えた者は悪人扱いされてボコられたが、気の弱い一般人が恐る恐る「蝶々」と答えたら、善人と判断された)。
この際、『戦闘まっする』に改名するが、直後に正月仮面と戦った際には『まっする日本』と名乗っている。
後に、正月仮面と戦いながら渡米。ロサンゼルスで『バトルマッスル』という変態ギャング団のボスの座に就く。
ちなみに英語は分からないらしく、終始日本語で通していた。
正月仮面率いる『ニューイヤーズ』、および同じく渡米した防衛軍と三つ巴の戦いを繰り広げるも、ケツの色云々という恥ずかしい秘密の暴露などでなんだかんだあって、うやむやのうちに解決。安息を求め、あき子とともに南の島に旅立つ。
……筈だったが、あき子とバラダギが途中で入れ替わってしまい、バラダギとともに南の島に辿り着き、そこで暫く生活していた。
筋肉フェチのあき子には慕われ、彼の方もあき子を憎からず思っていた様子。上記の鼻水のロールシャッハテストでも、あき子が「鼻水」と答えると「正直でよろしい」と返していた。
現在は帰国。
諸事情(名前の元ネタの改名)のため、現在は「マスレ日本」と名乗り、無職住所不定で、市民に飯をたかっている。
- グリコーゲンX
花見や酒場などに現れ、下戸に酒を強いるものへ飲み比べを挑む怪人。桜が満開になる「満開バスター」、聞くに堪えない歌を流す「超音波カラオケ」などを装備している。見た目は同鎧を装着したカイゼル髭で筋肉質のオッサン。「鉄の肝臓(アイアンレバー)」を内蔵し、どんなに酒を飲んでも全く酔わない。
かつては下戸のサラリーマンだったが、飲み会で飲酒を強要され、帰り道に酔いつぶれて瀕死の状態の所を、高名な科学者に助けられた。その際に改造手術を受け、アイアンレバーを得る。以後、桜前線の北上とともに日本を移動し、下戸に酒を強いる者達を成敗している。
当初は超音波カラオケを盛田に聞かせようとするが、レパートリーが演歌しか無く「演歌には興味がない」という盛田により撤退。
後にレコード店でアイドルソングなどのカラオケカセット一式を強奪した後、TVで生放送している素人のど自慢大会に乱入。その強烈な殺人的歌声を電波に乗せ、放送を見ていた各家庭のTVを破壊するという大騒動を起こした(ちなみに盛田がそれに対抗したが、同様の歌声だったため、被害が拡大してしまった)。
- 盛田準
盛田の妹。ショートカットで、盛田の三歳年下。しっかり者かつちゃっかりしており、兄のみならず父親すらも手玉に取るほど口が上手い。受験で私立高校を受けろと与えられた資金で、チェッカーズのLPを購入している(私立は受けて合格しても、入学金などが払えないために最初から受験するつもりはなかった。最初から今津留高校に進学する予定だったらしい)。
再登場した際には、持ち帰ったメカ盛田が父親とともに提灯作りをしている事を知らせ、「兄貴がいないと家庭が落ち着く」などと言っている。
盛田をあおり、バラダキとデートさせ、それに同行。二人がキスするところも目の当たりにしている。
その他
- しいたけヨーグルト
県庁が、健康食品ブーム、およびヨーグルトブームに便乗して、地元の名産品であるシイタケを、生のままヨーグルトにただ混ぜ込んだだけの食品。いわく「しいたけはじじむさいイメージがある。ナウなヤングにはいまいち受けが悪いため、流行りに便乗して儲けようとした」ものらしい。
しかし当然ながら非常にマズく、しかも全く売れずに返品の山に。県はその処分に困り、防衛軍にその在庫を押し付けた。
ただ捨てるのももったいないからと出来ず、処分に困っていたが(鼻から食べようともしていた)、電柱組の食通(タイガードラゴン)を盛田がうまいこと煽り、食べさせることに成功する。
ちなみにその食通すらも、「むちゃくちゃまずい」と思うほどだった。
- ポン酢
「ぽんず」ではなく「ぽんす」と読む。
劇中で良く用いられるフレーズ。調味料のポン酢を指すだけでなく、どこかすっとぼけた響きから、劇中でアホな事をした時に用いられている(ドジこいたスコープ鶴崎に、バラダキが「ポン酢かお前は!」と言いはなつ、など)。
劇中でわざわざ作者からの注釈がある。「ぽんず」では、「ぽん」という言葉に「ず」と濁った響きが来ることで台無しになっているが、「ぽんす」では、「す」と濁らない事で、すっとぼけた響きになるらしい。
- 猿人殺法
劇中に出て来る町中華の食堂。上記食通(タイガードラゴン)の回や、メカ盛田が食い逃げした際に登場している。名物は「酢豚定食」と「焼きちゃんぽん」らしい。
主人は、中華の料理人であるにもかかわらず、「本場ふらんす仕込みの包丁さばき」を身に付けている。
同作者の別作品「陸軍中野予備校」にも、同名の中華料理店が登場。本作よりも店舗が大きく広くなっていた。
サブタイトル
上述の通り、そのサブタイトルは「ウルトラセブン」のそれをもじったパロディになっている。
第1巻
サブタイトル | セブン元タイトル | |
---|---|---|
なさけなき挑戦者 | 姿なき挑戦者 | |
カレーの国からきた男 | V3から来た男 | |
楽しい隣人 | 怪しい隣人 | |
県立地球防衛軍、海へ | ウルトラ警備隊、西へ | |
ひとりぼっちのインド人 | ひとりぼっちの地球人 | |
プロジェクト・ピンク | プロジェクト・ブルー | |
サイボーグの脚線 | サイボーグ作戦 |
第2巻
サブタイトル | セブン元タイトル | |
---|---|---|
魔の店へ飛べ | 魔の山へ飛べ | |
驚異の超変人 | 恐怖の超猿人 | |
栄養は誰のために | 栄光は誰のために | |
家庭教師を追え | 海底基地を追え | |
散歩する迷惑 | 散歩する惑星 | |
元旦がきた | 円盤がきた | |
海中からの挑戦 | 水中からの挑戦 |
第3巻
サブタイトル | セブン元タイトル | |
---|---|---|
摂氏34度の退屈 | 零下140度の対決 | |
アンドロイド0大作戦 | アンドロイド0指令 | |
盛田対メカ盛田の決闘 | ダン対セブンの決闘 | |
消された記憶 | 消された時間 | |
みどろの恐怖 | 緑の恐怖 | |
貧民牧場 | 人間牧場 | |
勇気あるお誘い | 勇気ある戦い |
第4巻
サブタイトル | セブン元タイトル | |
---|---|---|
あんたはだまれ | あなたはだあれ | |
地方最大の侵略 | 史上最大の侵略 | |
グリコーゲンXを倒せ | 地震源Xを倒せ | |
親睦する縁者たち | 侵略する死者たち | |
豆腐を配れ | 明日を探せ | |
まっする君、応答せよ | マックス号応答せよ | |
別世界の県立 | 月世界の戦慄 |
単行本未収録
ゼンブ暗殺計画 | セブン暗殺計画 |
OVA
1986年に東芝映像ソフトからVHS・Betamaxビデオソフト、VHDビデオディスク、その後遅れて東芝EMIよりLDも発売された。DVD、BDは未だ発売されていない。
アニメ制作はスタジオぎゃろっぷ。OVAは三話構成で、第一話原画では田村英樹(野球シーン担当。他OP作画)、菊池通隆(中盤のサンチンのアパート破壊シーン担当)が参加している。
二話内の破壊シーン(サンチンが誤解から、炉縁や盛田たちをミサイル打ちつつ追いかける)では、モブの中にガルビオンが登場していたりする。
また、本アニメとは関係ないが、当時のアニメーターでファンの人が多かったらしく、他アニメ(うる星やつらなど)の作画のお遊びシーンで本作キャラが多々登場していた。
- スタッフ
監督:早川啓二
脚本:伊藤和典
キャラクターデザイン・作画監督:青嶋克巳
企画・制作:宇佐美廉
音楽:羽田健太郎
- 主題歌・挿入歌
S.F.(忌野清志郎、Johnny、Louis & Char)
プライベート(忌野清志郎、Johnny、Louis & Char)
かくれんぼ(忌野清志郎 & Char)
関連タグ
大分県 某県と伏せられてはいるが、本作の舞台。