概要
暗黒進化とはデジモンシリーズに登場する邪悪な進化である。大抵の場合は暗黒進化したら制御できなくなって暴走したり、最悪の場合デジヴァイスが壊れたりデジモンが死んだりする。
暗黒進化はそのデジモンやパートナーとなる人間が焦りや怒り・憎しみ等のネガティブな感情に捕らわれて発動する事が多く、フジテレビ系列日曜朝9時台で放送されるシリーズでも、人間とデジモンの在り方を見つめ直す一種の通過儀礼のような役割も担っている。
原作ゲームにも天使型デジモンが堕天したり、ウィルス種に感染して変異したデジモンなどそれに該当する進化は随所に見受けられる。
ちなみに歴代作品内の選ばれし子供の中で、天使型を暗黒進化させていないのは高石タケルのみである(一応、李小春もケルビモンに進化し得るロップモンがパートナーだが、究極体に達しないまま物語が終了した)。
作中での暗黒進化
デジモンアドベンチャー
敵が強力になっていく中で八神太一が焦りを感じ、間違えた勇気(無謀、蛮勇)とされる行動をしてしまい、グレイモン(アグモン)をスカルグレイモンに進化させ暴走させてしまった。
デジモンアドベンチャー02
デジモンカイザーがグレイモン(アグモン)を操り進化させる行為を暗黒進化と呼んでいる。イービルリングでは力不足だったため進化させてもスカルグレイモンになってしまったが、後に強力な力をもつイービルスパイラルを作りメタルグレイモン(ウィルス種)へ進化させることが可能となった。
また、前述のタケルがデジモンカイザーに怒りを爆発させ殴るシーンもあるのだが、そのシーンが一部のファンから「タケルの暗黒進化」とネタで言われる。
なお同作の主人公である本宮大輔は、『無印』~『セイバーズ』までの主人公で唯一、パートナーデジモン(ブイモン)を暗黒進化させなかった。ただし、仲間を思いやる気持ちが強すぎるあまり、暗黒進化させられたメタルグレイモンへの攻撃を躊躇い、フレイドラモンをブイモンに退化させてしまった事はある。なお、設定上ではインペリアルドラモンのウィルス種版(邪悪な力に飲み込まれて暗黒進化した姿)が存在するほか、ドラマCDではむしろ彼本人が暗黒進化してデジモンカイザーになった(流石に似合わないと酷評され、プッチーモンのハートナービームで元に戻った)。
また、明言されてはいないが、劇場版ゲストのウォレスのもう一人のパートナーであるチョコモンが進化したウェンディモン系統は暗黒進化であった事が窺える。ラスボスであったケルビモン(悪)の登場から一転、物語のクライマックスで本来の進化系と思しきケルビモン(善)が現れている為であり、運命が違えばトゥルイエモンから進化するルートもあり得たのかもしれない。
デジモンテイマーズ
松田啓人(タカト)がベルゼブモンに仲間のレオモンを殺された事で怒りを爆発させ、メガログラウモン(ギルモン)をメギドラモンへ進化させ暴走させた。
その時、タカトのデジヴァイス(アーク)は力に耐えられず砕け散っていったが、後に真なる究極体デュークモンに進化した際に新生した。
その暗黒進化の引き金を引いてしまったベルゼブモンも、元はと言えばチャツラモンによって心の闇につけこまれたインプモンがスーツェーモンとの契約によってタカトたちを抹殺することを条件に力を与えられた(彼も後にパートナーとの絆を取り戻して真なる究極体への進化を果たす)ものであるため、ある意味暗黒進化の連鎖と言えなくもない。とはいえ、見方を変えればベルゼブモンは暗黒進化を使いこなした珍しい例とも解釈できる。
ちなみに放送当時はテリアモンやレナモンにも黒い進化系譜が存在したが、そちらはあくまで単なる色違い(レナモン系譜には黒い方は修行中、黄色い方が一人前というような詳細な設定がある)という扱いでウィルス種でもなんでもない存在であった。
デジモンフロンティア
明確に暗黒進化したキャラクターとしてはケルビモンに洗脳され、ダスクモンと化した木村輝一がいる。
また主人公の神原拓也も、自信を喪失してフレイモンに退化したり(これは先述の、『02』で大輔がフレイドラモンをブイモンに退化させた一件に似たようなケースでもある。)、拓也・輝二・純平・友樹のビーストスピリット(ビースト進化)による暴走(厳密には闇堕ちではなく、野生の本能を制御しきれなかったことによるものだが)など、暗黒進化に近いものはある。
デジモンセイバーズ
大門大が仲間を裏切ったトーマ・H・ノルシュタインへ怒りを感じ(実際は裏切りではなく、妹を救うためかつ、敵を欺くための演技であった)、黒い「憎しみのデジソウル」を発生させ、それを注入した結果シャイングレイモン(アグモン)を不完全なバーストモード(ルインモード)へ進化させた。その後「これまでに死んでいったデジモン達やメルクリモンに命を持って詫びろ」「消え失せろトーマ!!(英語字幕では「Die TOMA!=死ねトーマ!」と直接的な表現で言っている)と大らしくもない暴言を吐きながら戦わせられたことでシャイングレイモンは力を使い果たし、デジタマに戻ってしまった。
デジモンストーリー
超究極体デジモンであるクロノモンはパートナーとなる人間の心の有り様によって姿を変えるとされる。
善人がパートナーだと白い翼を持つホーリーモード、悪人がパートナーだと真紅の破壊神デストロイモードになってしまう。第1作ではバッドテイマーズのリーダーであるケインの歪んだ心を読み取ってデストロイモードとして復活、主人公に倒されて本来のホーリーモードの姿に戻った。
デジモンネクスト
トレイルモンを削除部隊に殺された乾ユウが怒りのデジソウルを暴走させ、ガオモンを通常よりも巨大なブラックガオガモンに暗黒進化させてマミーモンらを惨殺した。その後、力を使い果たしたガオモンはワニャモンにまで退化するほどのダメージを負ってしまった。
デジモンクロスウォーズ(漫画)
ダークナイトモンの策略により、自らの影にシェイドモンを植え付けられていた天野ネネがダークナイトモンの非道な所業に加担させられていたことを知らされて絶望し、その絶望の心を吸収したシェイドモンが羽化。
この出来事は後に工藤タイキが、そのシェイドモンを弟であるダークナイトモンに託した張本人であるバグラモンに対し、ネネの絶望の心を糧にした暗黒進化というべきものだと指摘している。実際、仲間や妹の説得によってネネが希望の心を取り戻した時…
デジモンアドベンチャーtri
戦いに心を痛める八神ヒカリの悲しみのエネルギーがテイルモンに流れ込み、オファニモン:フォールダウンモードにワープ進化させた他、メイクーモンが本編で見せた姿は暗黒進化と解釈出来るものであった。(本来ならメイクラックモン→ラジエルモンとなる所が、劇中ではメイクラックモン:VM→ラグエルモン→オルディネモンとなっている。)
デジモンリアライズ
主人公のパートナーであるエリスモンがスパイラルから誕生した為に、スティフィルモンの進化後にスパイラルに過剰反応した結果、ラセンモン激昂モードに暗黒進化してしまった。
のちに本来のラセンモンに進化してスパイラルを撃破するも、ラセンモンには大きな負担となってしまい、しばらくの時をデジタマとして過ごすことになった。
デジモンアドベンチャー:
第24話で太一共々瘴気に侵食され暴走したメタルグレイモンが、ゼロ距離で発射したギガデストロイヤーで吹き飛ばしてしまった太一をダンデビモンに食われたショックでムゲンドラモンに進化し、襲い掛かった。
ムゲンキャノンが存在しない不完全な状態だったこともあってか、ダンデビモンに対しては一時的に追い込みこそすれど決定打まではいかなかったが、精神世界でエンジェモンの呼びかけにアグモンが自我を取り戻し、ウォーグレイモンへと再進化を果たす。
デジモンサヴァイブ
この作品では様々な人が暗黒進化させてしまっている。
第5章でロップモンが役に立たないとシュウジが蹴って虐めているとロップモンから黒いモヤが出て、ウェンディモンに暗黒進化。パートナーだったシュウジを食べてそのままボス戦になる。勝利後は黒い手に飲み込まれ、消滅する。
相互不理解の果てにテイマー・パートナー双方が死んでしまうという、歴代の暗黒進化の中では間違いなく最悪の結末に至ってしまったケースである。
これを乗り越えるにはどうしても周囲の協力が必要であり…、以下は第8章の分岐による暗黒進化の話である。
デジモンゴーストゲーム
第13話にて仲の良かった協力者のボコモン先生がシールズドラモンに殺されてしまい、その悲しみと怒りに囚われたガンマモンがグルスガンマモンに暗黒進化。
その後第21、42、59話でも窮地の中で進化し、その度に敵デジモンを(上の世代であろうと)一瞬で倒す力を見せつけた。
しかし、残忍な人格なれど明確な意思と知性を持って行動しており、パートナーを案じたり試すかのような言動を見せている等、理性のないケダモノばかりな他の暗黒進化とは一線を画す存在として描写されている。
元となったガンマモンの特殊性も含め、この点には本作の核心的な謎が絡んでいた。
その他、第39話ではリュウダモンがギュウキモンに襲われ、同じギュウキモンへ望んでいない進化をしていた(これを暗黒進化と言えるか分からないが)。その後はガンマモンによってなんとか退化できた。
備考
新しい作品になるほど高い世代で暗黒進化していたが、ゴーストゲームでその流れは絶ち切られた。
(無印:完全体、テイマーズ:究極体、セイバーズ:バーストモード、新無印:究極体、ゴーストゲーム:成熟期)
アドベンチャー最終話にて、ウイルス種を嫌ったような発言に対しゲンナイより「スカルグレイモンに暗黒進化したことを間違った進化と呼んだが、それは選ばれし子供達の目的(世界を救うこと)から外れるためにそう言った」「進化そのものに正しいも誤りもない」とウイルス種デジモンに進化することへのフォローがされている(この発言はある意味で滅びてしまった種(袋小路に迷い込んでしまった種)へ進化してしまった者たちの集合体である物語のラスボスへのフォローだとも解釈できる)。
その発言を裏付けるかのように「テイマーズ」や「ゴーストゲーム」では主人公のパートナーにウイルス種が抜擢されたり、リブート作「アドベンチャー:」やゲーム「サヴァイヴ」ではアグモンがウイルス種に正常進化したりということが行われている。
どんなに聖なる力を持っていても、その力で悪意を持って罪のない人間やデジモンを攻撃すればそれはただの暴力であり
逆にどんなに邪悪な力でも、誰かを守るために扱えばそれは正しい力である
結局のところ、進化によって得た力を制御出来るか・どう使うかが肝心ということなのかもしれない。
アニメだけでなく公式からもそう扱っており明確に力を制御出来ない完全に間違った進化と言われているのはウェンディモンとシャイングレイモン:ルインモードのみである。
pixivでは
主に絵師の絵の変化がやばい方向に変わって来た時や闇堕ちに使う。
関連タグ
ワープ進化 ジョグレス進化 スピリットエボリューション デジクロス
メガシンカ:USUMでの図鑑説明が(戦闘に特化した弊害で)暴走やポケモンに苦痛を強いるなどのマイナスなものになっている。とはいえ、メガシンカには「トレーナーとの絆が大事である」という公式設定から、上述のデメリットはトレーナーとの絆なしで自然にメガシンカしてしまったポケモン=デジモンの暗黒進化に近いものなのではないかと推測される。