ソフト情報
タイトル | デジモンサヴァイブ |
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機種 | PlayStation4/ニンテンドースイッチ |
ジャンル | テキストアドベンチャー+タクティクスバトル |
発売日 | 2022年7月28日 |
開発元 | ハイド |
発売元 | バンダイナムコエンターテインメント |
CERO | B(12歳以上対象) |
プロデューサー | 羽生和正、都築克明 |
キャラクターデザイン | 浮雲宇一 |
音楽 | 三好智己 |
シナリオ担当 | 沖見幕人、羽央えり(メインシナリオの一部) |
概要
異世界に迷い込んだ少年・少女たちが、元の世界に帰るためにデジタルモンスターと共に極限状態を生き抜くという、サバイバル色の強いシミュレーションRPG兼テキストアドベンチャーとなっている。
2018年の発表から、コロナウイルスの流行等が重なり、延期が続いていた作品であったが、2022年に発売された。
『デジモンストーリーサイバースルゥース』同様に一般的なデジモンのターゲット層よりも上の世代を意識しており、キャラクターが死ぬ事さえあるハードな作風である(これは事前にも明言されている)。
ゲームは大まかに探索パート(行動回数が決められているパートもある)、バトルパートに分かれている。
本作のデジモンの育成・進化はプレイヤーのアドベンチャーパートでの「選択」によって左右され、同時に物語を変化させる仕様となっている。
ストーリーには道義、激情、調和の3ルート(+バッドエンド)が存在し、先述した3色に点滅する選択肢の中で一番多かったものによって分岐するのが特徴。これらの分岐にはキャラクターの信頼度システムも関わってくるので詰みセーブには注意されたし。
2周目では1周目で死亡してしまう人物を生存させ道義ルートを選択することで「真実ルート」という別のストーリーを進めることが出来る。
アグモンやファルコモン、ロップモン等歴代シリーズでもパートナーデジモンとなった事のあるデジモンがいる一方(ファルコモンは原種になっているが)、これまではモブやサブキャラのパートナーに採用されてきたデジモンが選出されているのも話題となっている。
デジモンのキャストは過去作のオリジナルキャストではない場合が殆どだが、一部キャストは過去作から続投している。
なお本作のデジモンは後述するように、『ケモノガミ』として伝承の中で語り継がれる存在であり、デジモン・デジタルモンスターという呼称はほぼ使われることがない。
仲間にできるデジモンの登場総数は117体となっている。
なお、非常に珍しいことに、この作品では『デジヴァイス』にあたるアイテムが一切登場していない。見えないものをカメラで見ることが出来るなど普通のスマホがその代りとなっている。
ゲームシステム
探索面
探索行動パートでは自由行動パートではマップ内を探索して情報を得たり、アイテムを収集する。
スマホを使ってノイズを撮影すれば、ドーピング/回復アイテムの取得が可能であり、稀にデジモンとのバトルに突入する事がある。特定の章でこの行動を行うとサイドストーリーを記した『認識された記憶』を入手できる。
キャラクターと会話して特定の選択肢を選ぶと親密度が上昇。親密度を上げておくと支援や追撃の発生確率が上がる他、特定の章以降に主人公以外のパートナーデジモンが進化するイベントが発生する。
ただし、探索パートは行動回数が決まっており、砂時計アイコンが表示された仲間に話しかけると消費されると言う仕組みなので注意。
また、何度でもフリーバトルに挑む事が出来、経験値上げやフリーデジモンを仲間にする際に重要となる。
戦闘面
行動順はデジモンの素早さが高い順から先に行動できる。
攻撃手段は通常攻撃とSPを使って発動する必殺技の二種類を使い分け(前者は公式設定にある必殺技を使っている場合がある)、側面や背後から敵を攻撃するとダメージが倍増する。
ただし、ステージ上には段差や障害物が存在しているため、一定の高さの敵には必殺技が届かない事もザラにある。
パートナーデジモンはストーリーで獲得した進化系に世代を問わず、自由自在に進化が可能だが、SPの消費を前提としている為、乱発は禁物。成長期の状態でSPを自動回復させるのも手である。
会話コマンドでは子供達が持つ様々なバフを1バトルにつき、1回だけ他のパートナーデジモンに付与可能である。
デジモンごとに移動範囲、技のレンジが決まっているほか、炎/水/土/風/光/闇の攻撃属性の他にも、育成ギアで導入されたデータ(本作では調和)・ウィルス(本作では激情)・ワクチン(本作では道義)の三竦みが存在。この三竦みが導入されるのは歴代でも珍しい。
(三竦みはサイスルやハカメモでも採用されていた。データ・ウイルス・ワクチン・フリーのアイコンもサイスルシリーズと同じものである他、スキル装備アイテムの技名もサイスルシリーズから一部流用されている。)
また、デジモンは種族ごとに育ちやすいパラメータが異なり、攻・防・移動のバランスが取れた『万能型』、物理攻撃主体の『攻撃型』、物理防御・特殊防御に優れる『防御型』、特殊攻撃が高い『必殺型』、移動範囲に優れる『機動型』にカテゴライズされる。これらの特性を理解してバランス良くパーティを組み込む事が肝要となる。
マップ上に宝箱が置かれている事もあり、壊すとアイテムや必殺技の獲得が可能。
育成面
デジモンの育成は従来のRPG通りレベルアップとドーピングアイテムの投与によって行われる。
装備アイテムでパラメーターに補正をかけたり、必殺技(一部を除いてサイバースルゥースの継承技からの流用)を習得させる事が可能。
(なお、サイスルと違い、ドーピングアイテムが簡単に手に入る割にそのステータス強化に実質上限が無いため、やり過ぎると簡単にゲームバランスが崩壊する。)
『真・女神転生』シリーズのようにバトル中に敵と交渉して仲間になるシステムもある。
適切なコマンドを入力して規定値までゲージを上げるとアイテムを要求するか、仲間にするかの選択を迫られるが、デジモン達は種族によって仲間になる確率が異なるので必ずしも仲間になるわけではない。
このシステムで仲間に出来るデジモンはパートナーデジモンとは別に扱われ、「フリーモンスター」と呼ばれる。
彼らの進化に関してはストーリーの分岐ではなく、それぞれの世代に対応したアイテムが必要となる他、一度進化させてしまうと退化は不可能である。
早期購入者特典としてフリーモンスターのギルモンが手に入るダウンロードコードが付属しており、進化ルートはタカトのギルモンと全く同じである(が、メギドラモンやクリムゾンモードにはなれない)。
あらすじ
不審な異常気象や自然災害が発生していたとある年の春。
ケモノガミ伝承の伝わる地にやってきたタクマ達は課外キャンプの目的地に向かう途中、現地の少年カイトと共に廃神社に姿を消したミウ達を追うが、その先には季節外れの彼岸花が咲き乱れる不気味な森が広がっていた。
タクマ達はそこで出会ったアグモン達と共に危険なモンスターが跋扈する異世界から生還するために極限状態での生活を強いられるのだった。
登場人物
CV:天﨑滉平
主人公。課外キャンプに参加していた中学2年生の少年。
CV:本渡楓
ヒロイン。タクマと違う学校に通う中学3年生の少女。
CV:阿部敦
タクマの親友の少年。
CV:阿座上洋平
タクマと違う学校に通う中学3年生の少年。
CV:高橋未奈美
課外キャンプに参加していた中学1年の少女。
CV:広瀬裕也
課外キャンプに手伝いとして参加した高校1年生の少年。
CV:高梨謙吾
課外キャンプの舞台となった地方に暮らす少年。ミウの兄。
CV:和多田美咲
エキセントリックな言動で周囲を煙に巻く不思議ちゃん。カイトの妹。
CV:山路和弘
ケモノガミなる存在を研究していたようだが、主人公達と共に事件に巻き込まれてしまう。
TVCMのナレーションも担当している。
異世界に迷い込んだと思われる姉弟。
ミユキはサンショウウオのような禍々しい何かを引き連れている姿が確認されているが…。
敵モンスター
「主」と仰ぐ上位存在のために子供達を生贄にしようと襲撃してくる邪悪なケモノガミ達。
「主」とは無関係に主人公たちを襲ってくる野生のモンスターも複数登場。
最初に主人公たちを襲ってくる敵モンスター。
イベントシーンでは群れで行動している。
廃校舎でタクマたちを襲ってくるモンスター。本作のクワガーモンポジション。
通常サイズのものと、巨大化したボス個体がいる。
CV:山口眞弓
もんざえモンと共に子供を襲撃するが、単純な敵キャラクターではない模様。人間ではなく、「人間と共に行動するモンスター」を敵対視する。
CV:山崎和佳奈
「主」の為に生贄となる子供を求めているモンスター。
他者の精神に揺さぶりをかける戦術を好む陰湿な性格。
公式設定では温厚な性格だが、どうやら子供達を「エモノ」として認識している敵の模様。
ダムでシュウジとサキを襲撃してきた残虐な狼のようなモンスター。
力は強いが、頭が悪いモンスター。サイクロモンとの戦闘中に富永リョウが彼の攻撃で橋から落ちてしまう。
地下水道で人間達のパートナーに成りすまして心を追い込もうとする。バレると襲ってきたり、逃げたりする。
アルケニモンの同僚。
主に従い、アルケニモン達に子供達の贄を集めるよう指示している。フードで顔が隠されており、正体不明だが…
中立派
積極的に戦力にはならないが、主人公達に友好的なモンスター達。
教授を助けたモンスターで、探索パートでは仲間になってくれる個体も登場する。
道中、捕らわれている個体が登場。
『デジモンアドベンチャー』の個体の様に、こちらも関西弁。
CV:島田敏
遊園地の長老。成長期、幼年期モンスターたちの面倒を見ている。異世界の重要な情報を教えてくれる。
遊園地に出没する成長期たち。複数の個体が存在する。
『アドベンチャー』の個体と比べて言動が幼く、子供たちも小さい子として認識している。
地下水道にて姿を現すモンスター。ハルとミユキを守っているようだが…?
用語
- ケモノガミ
今作におけるデジモン達の呼び名。この他にもモンスターやバケモノとも呼ばれている。
主人公たちがキャンプしていた地に伝わる民間伝承。恐らく本作の鍵を握る存在。
豊穣や災厄を避ける対価として、子供を生贄に求め、神隠しで異世界に連れ去ってしまうと語られており、現地では祟り神として恐れられているのか、神社が建てられている。
ケモノガミは凶暴で人間に害を為すものから友好的なものまで多種多様であり、特にパートナーとなるケモノガミは子供達に運命的な繋がりを感じているようである。
歴代作品のデジモンは「自分(個人)が何者か」に対して曖昧だったり疑問を持っていたりしても、「自分はデジモンという種族である」「進化をする」ということはある程度はっきりと自覚していたのだが、今作の彼らは「自分達がどういう存在、種族なのか」という部分が分からない者がいたり、進化についても知識がないのが特徴。
なぜ、デジモン達が民俗学的な切り口で描かれているのかについては後述。
- 異世界
祠から主人公達が迷い込んだケモノガミの住む世界。
自然豊かな場所だが、人っ気が全くない割に神社をはじめ、ダムやロープウェイ、果ては遊園地など文明的な建造物も散見されている不可思議な場所である。
現実世界とは密接な関係があるようで、祠には古代の様子を描いた壁画が描かれている。
- 霧
異世界の各所に漂う正体不明の霧。
詳細は不明だが危険な存在らしく、味方デジモン達も本能的に忌避している。
万が一全身を包まれれば、世界に「食われてしまう」らしい。
肉体、精神が弱っている者を優先的に狙う、まるで意思や自我でもあるかのような動く場面も確認される。
逆に、全身に纏わり付かれる前に急いで距離を取る、精神を持ち直すなどすれば逃れられるケースも見られる。
- 廃校舎
本作の活動拠点。
タクマ達が訪れた土地にある校舎が寂れたような外観をしているが、食料や水道などの最低限のライフラインは生きている。
主題歌
- 絆
作曲・編曲:三好智己/作詞:北川大輔/歌:谷村奈南
オマージュ要素について
タクマがグレイモンを見つめる構図や少年・少女がキャンプ中に異世界に迷い込むという導入にアニメ第1作『デジモンアドベンチャー』のオマージュが窺える(各キャラクターも『アドベンチャー』シリーズのキャラクターを思わせる設定になっている)。
ファンからも『デジモンアドベンチャー』のダーク版として認識されつつある。
なお、ティザートレーラーが公開された2018年は『デジモンアドベンチャー 20th』であったりする。
開発者の羽生和正Pによれば、実際に『デジモンアドベンチャー』の設定を監修していた角銅博之氏に意見を伺った事があり、本作のデジモンの立ち位置も「デジモンとは,古来より人間に寄り添ってきたスピリチュアルな存在で,時代によって妖怪や式神として見え方が変わってきたもの。デジモンと呼ばれているのは、あくまで現代においてデジタルガジェットを通して認識できるからなんだ」という角銅氏の意見を参考にしたもの(参考元)。
この設定は『デジモンアドベンチャー02』第33話「今日のミヤコは京の都」でも断片的に語られているものである。
また、本作と『デジモンアドベンチャー』のテイストの違いについても触れ、『デジモンアドベンチャー』を「十五少年漂流記」、本作を小説『蝿の王』に喩えている。
上述の通り、ハードな作風であることや仲間同士でのいがみ合いや言い争いなど不穏な会話シーンが多く「会話がキツい」「デジモンでこういう話は見たくない」という意見も見られている。
故に、一部のファンからギスモンという愛称が付けられている。
また、ハードかつ主人公の立ち位置に応じたマルチエンディングシステムを採用した作風(そちらの場合はロウ・カオス・ニュートラルの3つ)やフリーモンスターの勧誘方法などから女神転生シリーズを連想したプレイヤーも多い。
このうち、シミュレーションゲーム要素やサバイバル要素は派生作のデビルサバイバーシリーズに近いか。
関連動画
プロローグ映像(公式)
TVCM
関連リンク
関連タグ
オマージュ元
- 蝿の王:本作のモチーフ。
- デジモンアドベンチャー/デジモンアドベンチャー02:本作のオマージュ元。事前に視聴しておくとより楽しめる。また、この2作以外のアニメネタも沢山あるので、歴代アニメ作品を全て視聴するのもアリだろう。
その他
- デジモンゴーストゲーム:同期作品。こちらも怪奇的な作風が特徴。死者が出る回も存在するが、場合によっては死ぬより惨い展開もある等わりと容赦ない。実は、前作デジモンアドベンチャー:と共に、本作を思わせるネタがある。(開発時期を考えると、恐らく本作が元ネタ)