概要
『デジモンストーリーサイバースルゥース』の事件の裏側で展開されていた物語を描く、PlayStation Vita及びPlayStation 4用ソフト(後にNintendo Switchにも移植・発売)。
CEROのレーティングが「C」になっており、前作と比べて1ランク跳ね上がっている。
前作では途中から途絶えてしまったハッカーの側面を強くした物語。
ヒーロー的な側面を持ち特殊な能力や因縁があった選ばれた前作主人公から一転、本作主人公はその世界を日常として暮らしている選ばれなかった一般の人たちがデジモンという特殊な力を手に入れて何を成し遂げていくのか,世界の崩壊が迫ったときに人々は何を守ろうとするのかが意識されており、いわゆる物語の脇役・外野・裏方からサイバースルゥースの物語を見ると言う、一種の外伝作品(只し、公式からは続編だと主張されている)。
作品の趣旨上、サイバースルゥースの事件や登場人物とも積極的に絡み、物語を補完する立ち位置で語られている(各種サブイベントも、前作では完全にオカルトだったものが科学に関わっていたり、逆にオカルトが確定したり、新たな事実が判明したり、と豊富な補完がある)。
このようなコンセプトのためか、主人公の容姿はいわゆる王道タイプではなくモブ顔である事はファンの間ではかなり有名で、作中でもネタにされている。
その為、サイバースルゥースをプレイしていないと、事件の顛末や人物関係と言った、肝心な部分が分からないまま終わる事も多いが本作には「おまけ」と言う形で前作「サイバースルゥース」も収録されている。よって『サイバースルゥース』シリーズを始めるのならば、本作を購入するのがお得というわけである(現在では特典デジモンが期限切れなのでその辺りも移植されたNintendo Switch版がおすすめ)。
『サイバースルゥース』シリーズのストーリークリア後に解禁されるデジモン転送機能により、サイバースルゥースとハカメモとの間でデジモンの行き来は可能。
これは前作が好評だったことから「PlayStation 4での『デジモンストーリー』シリーズ新作」を想定していたが、完全新規のゲームは開発に時間がかかってしまうため、デジモン20周年もあってファンの熱量が盛り上がっている中での新作提供ができないことから『デジモンストーリー』シリーズ新作ではなく『サイバースルゥース』シリーズ新作と言う形で制作されており、前作同様本作も新規ユーザーも取り込む狙いがあったからである。
また、PlayStation Vitaだった前作からPlayStation 4に向けてプレイヤーのハード移行を段階的に行うためのものでもあった。
なお、この想定されていたデジモンストーリー新作は更なるハード移行による開発長期化とその間に発売される予定だった『デジモンサヴァイブ』が開発チームの変更で作り直しに近い状況になってこちらも長期化してしまったことで2023年現在まだ目途はたっていない。
「主要人物以外の視点で物語を見る」と言うテーマ上、全体的に「サイバースルゥース」に比べて物語が地味で、気が付けば事件が進行していたり解決していたりする為、なんとも言えない「疎外感」をも感じさせてくれる1作でもある。それが本作の魅力でもあり、終盤にはタイトル「ハッカーズメモリー」が何を意味するのか示唆する展開へとつながっていく。
また、リアルな電脳空間EDENのハッカーサイドが主要キャラクターになることで「現実世界と電脳世界の境界線はどこなのか」として生きるために電脳空間に依存する者や電脳空間で特別な立場になっている者も登場する。
これは胡蝶の夢として本作のフーディエ(蝶)の由来にもなっている。
現実世界では前作にはなかった池袋も舞台となる。
登場デジモンは前作を上回る約320体と大幅に増えており、新たにハイブリッド体(※1)やクロスウォーズ出身(※2)、育成ギア『デジモンアクセル』出身の究極体(※3)や育成ギア『デジモンペンデュラム』シリーズから一部(※4)、そしてDLCとしてシスタモン系が参戦。更にデュークモンはモードチェンジする…が、アポロモンや四聖獣未参戦なままなど重要なポジションあるいは人気デジモンの全てが参戦できた訳ではない。
その分、未参戦デジモンは前作同様にデジモンメダルで補完されている他、ソシャゲ『デジモンリンクス』や『デジモンリアライズ』などで新たに3Dモデルが作られる事となる(そちらに関しては該当項目にて)。
とはいえ、アニメの主人公格はほぼ参戦しているためか、初回生産限定版『デジモン 20th Anniversary BOX』には『TVアニメサウンドエディション版ゲームソフト』(※5)を同梱していた。
『デジタルモンスター』の公式設定に存在する『デジモンキャッチャー』が序盤で登場し、それをハッカーが運用するなど原作(育成ギア)の設定を反映した小ネタも。
CMナレーションは本作に出演した小倉唯氏が担当している。
本作はNintendo Switch版まで含めてワールドワイドで累計100万本以上売れ、デジモンの海外人気を意識した実績としてデジモンカードゲームが海外のプロモーションに力を入れる理由にも挙げられている。
ストーリー
電脳空間に台頭する、デジモンを使役する新世代のハッカーたち!
近未来の日本。
インターネットに視覚的かつ感覚的にアクセスすることの出来る技術によって、電脳空間が人々のあいだで、もう一つの日常世界となっていた。
強固なセキュリティによって守られていた電脳空間。
しかし人々の生活に密着するにつれ、そこで起こる犯罪も多くなってきていた。
中でも特殊なウィルスプログラムを利用し電脳世界に甚大な被害をもたらすハッカーたち。
そのウィルスプログラムはAIをもち、あらゆる情報を吸収、環境に応じて多種多様に進化を遂げる能力をもっていた。
ハッカーたちはその特殊なウィルスプログラムを「デジタルモンスター」と呼んでいた。
(公式サイトより引用)
登場人物
フーディエ
ザクソン
デモンズ
リベリオンズ
その他
デジラボの案内人。
オンラインコロシアムのゲーセンメイド。
余談
「DIGIMON CON デジモンゲーム情報 Q&Aコーナー 《日本語版》」(外部リンク)の羽生和正Pの発言によれば、『サイバースルゥース』シリーズの続編は未定との事。一方で、『デジモンストーリー』シリーズの続編は開発中でオリンポス十二神族をピックアップしていく予定との事。
脚注
(※1):アグニモン、ヴォルフモン、ヴリトラモン、ガルムモン、カイゼルグレイモン、マグナガルルモンと合体究極体であるスサノオモン。
(※2):シャウトモン、オメガシャウトモン(デジクロス形態を除く)。
(※3):ネプトゥーンモン、ヴァロドゥルモン、タイラントカブテリモン、メルクリモンなど。
(※4):グリフォモン、ドルガモン系譜、ドラクモン系譜など。
(※5):『アドベンチャー』から『クロスウォーズ』までの1stOPと1期挿入歌(『テイマーズ』は「EVO」ではなくカードスラッシュ専用曲の「SLASH!!」となっている)を収録。