概要
「これはゲームなんだよ。
僕は遊び心のわからない無粋なヤツは大嫌いだ……
消去してやる……!」
「虫けらが!虫けらが!虫けらが!」
CV:朴璐美
デジモンアドベンチャー02
新たなる敵
第1話よりデジタルワールドを征服しようとする独裁者として登場。
選ばれし子供達の一人であるがデジタルワールドの支配を目論む残虐な性格で、自分のパートナーデジモンであるワームモンですらも「虫けら」と呼んで邪険にしている。
しかしよく聞いてみると、煽り方は豊富なれど罵倒にはこの言葉しか使っておらず、タケルにはその事を「(言葉のレパートリーが)おこちゃまだね」と痛烈に失笑される事になる(一応、他にも「ねずみども」という罵倒表現を使ってはいる)。
太一たちが持つ旧来のデジヴァイスと異なる「暗黒デジヴァイス」を持ち、デジモンたちの通常進化を妨げ、自身のパートナーデジモン以外のデジモンを暗黒進化させることが可能。
デジモンを意のままに操る「イービルリング」を使って、捕らえたデジモンたちを奴隷のように扱っていた。
また征服したエリアには暗黒デジヴァイスによる進化抑制機能とイービルリングによるデジモン洗脳の効果を受信する電波塔的役割の「ダークタワー」を建設していった。
第7話において、かつて太一達と共に戦ったアンドロモンをイービルリングで支配下に置くが、完全体デジモンをイービルリングで操るには限界がある事が判明したため、新たに「イービルスパイラル」を開発。
10話で太一のパートナーデジモンであるアグモンをスカルグレイモンおよびメタルグレイモン(青/ウィルス種)に暗黒進化させ、選ばれし子供達を苦しめた。
また、デジモンの通常進化を阻害する「ダークタワー」を大量に建設したことが、後のストーリーに関わっていく。
選ばれし子供達にはその正体は不明だったが、大輔との戦いに敗れた際に、デジモンカイザー自ら一乗寺賢であることを明かす。
もっとも視聴者には3話の時点でバレることだが……。
ワームモンが弱いことと強さへの執着から、様々なデジモンの一部分を合体させたデジモン「キメラモン」を作り出すが、暴走により基地が崩壊。キメラモンとマグナモンの戦いの中でワームモンを失ったことにより、デジモンカイザーは一乗寺賢に戻ることとなる。
実はデジモンカイザーの頃の賢は、デジタルワールドがゲームの中の世界として認識し、デジモンをただのNPCと思い込んでいた。つまりデジモンカイザーの頃の非道な所業は「所詮データの存在だから何してもいい」と考えていたからである(キメラモンが消滅した時も、リセットして1からやり直せると本気で信じていた)。
退化して幼年期に戻った大輔達のデジモンを見て、かつて第8話のサッカーの試合で大輔達が持ってきていたぬいぐるみとそっくりなことに気付き、大輔達からデジモンも生き物である事実を突きつけられた。
尚、デジモンカイザーの行為によって描写されてきた以外にも結構な人数のデジモンが死んでいたらしく、後に賢当人がはじまりの街に訪れた際には数えきれないほどのデジタマが街中に配置されており、そこで(おそらく、自身の所業のせいで死んだデジモン達が生まれ変わった)幼年期デジモン達に過去の所業について責められる事になった。
闇に囚われた選ばれし子供
デジモンカイザーの正体である一乗寺賢は優しさの紋章を有する選ばれし子供であり、憧れと嫉妬の対象である兄の一乗寺治の交通事故死によって憔悴状態にあった。
弱っていた状態であったところをデジタルワールドを根底から変えようとするものに利用され、ダークタワーをデジタルワールド中に建てさせるためにデジモンカイザーに仕立て上げられていた。
デジモンカイザーの服は泉光子郎の推測では、デジタルワールドのシステムによって賢が無意識の内に望んだものによってなったのではないかとされており、そしてその容姿は交通事故死した賢の兄、一乗寺治と酷似している。
デジタルワールドの安定を望むものはデジモンカイザーに対抗すべく、デジメンタルによる進化が可能な古代種のデジモンと、そのデジメンタルに刻まれた紋章に見合った個性を有する新たなる選ばれし子供を選別し、デジモンカイザーの暗黒デジヴァイスをアーキタイプとした新しいデジヴァイス、D-3を送った。
本宮大輔、井ノ上京、火田伊織の三人に加え、先代の選ばれし子供の中でパートナーデジモンたちの中でパートナーデジモンが古代種の遺伝子を持つ個体であった高石タケルと八神ヒカリにもデジメンタルが送られ、デジヴァイスもD-3へと変化した。
チンロンモンの弁によればデジモンカイザーとしての賢は異物として排除し、選ばれし子供としての賢は闇の勢力から救出することが五人の選ばれし子供たちの選定理由の一つであったことが語られる。
デジモンカイザーに関わるアイテム
- 暗黒のデジヴァイス
一乗寺賢が自身の旧型のデジヴァイスを暗黒の海に浸した時のイメージが形となったもの。
大輔達のデジヴァイスはこのデジヴァイスを元にしており、D-3と呼ばれている。
旧来のデジヴァイスとの違いはデジタルワールドへ続くゲートを開くことができること。
賢の暗黒デジヴァイスはデジヴァイスの聖なる力と暗黒の海に由来する闇の力を有しており、他のデジモンたちの通常進化を抑制、パートナーデジモン以外のデジモンの暗黒進化、イービルリングによる洗脳による支配が可能。
デジモンカイザーを操る黒幕がコピーしておいた、八神ヒカリのテイルモンのホーリーリングのデータを反転させて作り出したリング。
暗黒デジヴァイスやダークタワーのあるエリア内にいる幼年期・成長期・成熟期クラスのデジモンがこのリングをはめられてしまうと洗脳されてしまう。なお、ホーリーリングが付いているデジモンに触れると聖なる力により、弾かれてしまう。
イービルリングでは完全体クラス以上を操るにはデータ処理能力が追いつかずにいたため、完全体のアンドロモンの洗脳は不十分だった。
後に、デジモンカイザーはイービルリングを改良した「イービルスパイラル」で完全体を洗脳し、洗脳した成長期のアグモンを暗黒進化させて完全体のメタルグレイモンへと進化させていた。
またイービルスパイラルは、ダークタワーがなくても暗黒デジヴァイスの力を受信できる。
余談だが放映当時、イービルリング型の指輪が実際に販売されており、カイザー様のしもべになりたい大きなお友達向け商品だったと思われる。
02のオマージュとしてゲーム『デジモンストーリー』でもイービルリングが登場。暗黒の力で周囲のデジモンを動けなくする他、このリングで四聖獣やセラフィモン、スラッシュエンジェモン、ケルビモンを操った。明らかに02のものよりもパワーアップしているが、世界観が繋がっているわけではないので改良型ではない。
オベリスクのような形をした黒い塔で、この塔が建っているデジタルマップのエリアは黒く染まり、塔を破壊すると白くなる。
元は暗黒の海に存在しているもので、デジタルデータであるため、一瞬にして建てることができる。
シリーズ前半は通常進化抑制機能と暗黒デジヴァイスによるデジモン洗脳の電波塔的役割で、シリーズ後半からはアルケニモンがこの塔から「ダークタワーデジモン」を生み出したていた。
進化抑制機能は、賢が改心した後はアルケニモン達などが傍に居ないと機能しなかったため、外部からの力がないと進化抑制機能は発揮できない模様。
クリスマスにこの塔が現実世界に現れた際はデジモン同様に電子機器を狂わせる働きが見られた。
及川悠紀夫いわく色々な使い道があり、最大の効力は世界のそのものに影響を与え位相を狂わし、環境を変えてしまうこと。及川は大人でもデジタルワールドに行けるようにするために賢やアルケニモン達を使ってダークタワーを建てさせた。
ただし、結局すべては黒幕の策略の一環であったため、位相を狂わせデジタルワールドを守護する力を弱める以上の事ができたかは不明。
ドラマCDではプクモンが携帯型ダークタワーなるものを持ち歩いているが、入手先は全くの不明である。
ちなみに、『デジモンストーリー』シリーズにもファームグッズとして登場するが、進化抑制アイテムではなく、アンコクEXPを増やす育成アイテムである。
ミレニアモンが賢に埋め込んだ暗黒物質。子供の心の闇を糧に成長していく。
植え付けられた子供は身体能力や知能が格段に拡張されるが、その一方で命をなんとも思わないほどの冷血漢に変貌してしまい、目付きも悪くなってしまう(賢のように外面を取り繕う事は出来る)。賢に植え付けられたオリジナルは兄の死を切っ掛けに活性化した。
前向きな心があると効果を抑制できるらしいが、賢の体には残留しているらしく、及川はこのデータをコピーして心に影を持った子供たちにデータを移植した。オリジナルではないコピーは放置しておくと宿主の体を蝕み、暗黒の花を咲かせる。これはのちにベリアルヴァンデモン復活の為の糧となったが、これで宿主となった子供達は元に戻り、彼らがパートナーデジモンとデジヴァイスを得た事でベリアルヴァンデモン敗北の切っ掛けとなった。
暗黒の種は穢れた大人(※及川の自嘲です)を守るバリアのような機能を果たし、これで及川はデジタルワールドに入れるものと思い込んでいたが、それはベリアルヴァンデモンが吹き込んだ真っ赤な嘘であった。
小説版によればピエモンがゲンナイに放った暗黒物質は暗黒の種の原型らしい。
デジタルワールドの要石とされるホーリーストーンの跡地に植えていた『光の種』はこれと対になるようなネーミングだが、関連性は不明。
関連イラスト
関連タグ
デジモンアドベンチャー02 ワームモン 本宮大輔 井ノ上京 火田伊織 高石タケル 八神ヒカリ
- インペリアルドラモン・・・02本編にて改心した賢のパートナー・ワームモンの究極体デジモン(大輔のパートナー・ブイモンとのジョグレス進化を経て進化する)。「インペリアル」は「カイザー」と同じく「皇帝」を意味する単語である。
- 木村輝一…次々作『デジモンフロンティア』に登場。賢と同じく、選ばれし子供達の一員でありながら当初は黒幕に洗脳され、冷酷な悪役として暗躍していたが、その後改心して主人公たちの仲間になった。
- カイザーレオモン・カイゼルグレイモン…どちらも次々作『デジモンフロンティア』に主人公サイドとして登場したデジモン。前者は輝一が進化するデジモンである。
デジモンアドベンチャーtri.
賢の改心と終盤で闇を乗り越えたことからもう登場しないと思われていたが、デジモンアドベンチャーtri.2章にてまさかの再登場。厳密には本編中にて一度も「デジモンカイザー」という単語は出ず本人も言葉を発しなかったが姫川やミミ、タケルが一乗寺賢の名を口にしていたことから、本人である可能性が高いと思われる。
服装は02で纏っていた衣装と似ているが細部が異なるものを着用し、年相応の長身になっている。2章で使用しなかったことから暗黒デジヴァイスやダークタワー、イービルリングなどの保持不保持は不明。
劇中では、感染したあるデジモンと戦うトゲモンを観戦している人混みの影に現れる(なお、あの目立つ格好の割に怪訝な表情をする人が居なかったことから、普通の状態ではない可能性もある。そもそも賢のデジモンカイザーとしての衣装はD-3の能力でデジタルワールド内のみに発生するものなので、なぜカイザー衣装で現実世界に現れることができたのかも不明)、月島高校の学園祭中に校舎の屋上に佇むなどしていたが、メイクーモンを狙って校舎の裏に現れたのが本格的な登場になる。
メイクーモンをさらって(この際、仮にも成熟期であり感染したオーガモンに挑める程度の力を持っているメイクーモンが助けは求めたものの、抵抗という抵抗はしていなかった)歪みに消えようとしたが駆けつけたパルモン、ゴマモン、レオモンが歪みに現れる。この際インペリアルドラモンを呼び出し交戦させ、究極体に進化した二体に敗れた後は一切の抵抗を見せず、メイクーモンを離しどこかへと消え去った。
最後のデータのように消え去る描写、学園祭のシーンでの一瞬のうちに姫川の視界から消えるなど普通の人間では無い描写も見られ、不自然なほど言葉を発さないことから、一乗寺賢本人では無い可能性もあるが現時点では不明。
tri.初登場の姫川を除いた登場人物の反応も、ミミの「一乗寺くん」、タケルの「あいつ、何でまた」のみであり、それらの発言に対する発言が一切無い事もあり、2章時点では存在そのものが謎と言っても良いほど謎の存在になっている。
以下、「デジモンアドベンチャーtri.三章 告白」のネタバレにつき閲覧注意
前二章まで一切登場していないことからファンには予見されていたが、大輔たち2代目の選ばれし子供はタケル、ヒカリ以外連絡が取れていないことが判明した。さらに姫川の口から全員政府の監視下にあらず行方不明と語られた。なお、パートナーデジモンは二章に登場したインペリアルドラモン以外は現時点では未登場、言及も無い。
賢に至っては一家揃って留守にしていることが描写されたが、単に両親も留守だったのか両親もろとも行方不明なのかは不明。
選ばれし子供がデジタルワールドに向かうシーンでは賢のD-3とディーターミナルが登場。これは姫川の組織が解析したものと語られた。
子供達がデジタルワールドに渡った後、二章より登場したデジモンカイザーの正体がゲンナイ(もしくはゲンナイと同型のエージェント)である事が判明、さらに姫川と笑みを交わすなど何らかの関係があるかのような描写がなされていた。
ゲンナイの老化は、ピエモンに埋め込まれた暗黒の種を抑えるためである事が無印の頃小説版で明かされ、続編02では説明なしに若返った姿で登場していたが果たして…?
以下、「デジモンアドベンチャーtri.四章 喪失」のネタバレにつき閲覧注意
再びデジモンカイザーの姿で、空と芽心の前にムゲンドラモンと共に現れる。その際に空にゲンナイ(もしくはゲンナイと同型のエージェント)である事を明かす。そして彼は黒幕と思われるイグドラシルの意志であり、デジモンの味方だと子供達の前で宣言している。
その目的は「デジモンと人間という共存をなくす」ことであり、リブートはその目的の手段の一つであることが明かされる。
果たしてイグドラシルとはいったい何者なのか・・・。