CV:朴璐美（弟と同じ）
概要
デジモンアドベンチャー02の主要登場人物、一乗寺賢の兄。
作中では既に故人であり、弟の心に暗い影を落とすこととなる。
短い人生
一乗寺賢の実兄として生まれた彼は、天才肌の優等生で周囲からも持て囃される程だった。
しかし、親や周囲からの期待に応える為にもっと遊びたい気持ちを犠牲にして勉学に励んでいたようで、その重圧のためか弟の賢にも辛く当たってしまい、賢の物として出現したデジヴァイスを自分の物と思い込み、引き出しの中に仕舞われたそれを無断で取り出した賢を、「最低の人間」と罵ってしまう。
この出来事から賢に「死ねばいい」と恨みを買ってしまうが、最終的には交通事故で命を失い、遺された賢は自分が兄の死を願ったためだと憔悴してしまう。
孤独な天才少年
兄弟共通の部屋には、当時としては高級な個人用のパソコン機器と百科事典全集が揃っており、賢の発言から治個人のために両親が買い与えたものであることが察せられる。
ドラマCD「2003年-春-」における賢は、治は早く大人になることを求められ、子供らしく自由に無為に遊ぶことができなかったと回想している。
後年両親は賢を含め治を追い詰めてしまった、もっと遊ばせてやるべきだったと後悔することとなる。
デジモンカイザーの外見は治に似ており、高圧的な言動も賢を罵った時のものと酷似しているため、賢の兄に対する劣等感とトラウマが影響しているものと思われる。
また治はパソコンから現れたデジヴァイスに執着を見せていたが、賢が選ばれし子供に選定された切っ掛けと思しき光が丘爆弾テロ事件や2000年のネット事件の目撃者ならば治自身も弟同様にデジモンの存在を知っていた可能性は否定できない。
人物像
治について語られるのは23話「デジヴァイスが闇に染まる時」のみで、回想をする賢自身が憔悴状態であったことも鑑みると所謂「信用できない語り手」によって描写されたため、治の本当の人物像は不明な点が多い。
また幼少期のエピソードの一つとして治は弟のためにシャボン玉液と先端を切て広げたストローを用意するなど弟思いな様子が描かれ、シャボン玉を膨らますのが下手な治は「シャボン玉を膨らますのは賢が一番」と言って優しい弟を褒めており、このエピソードは弟にとって大切な思い出の一つである。
ドラマCD「2003年-春-」において賢は治はいつも機嫌が悪く、冷たかったが、眠る賢の毛布を掛け直すなど見えないところで弟を慮る行動をとっていたとコメントしている。
物語終盤でベリアルヴァンデモンが生み出した幻覚の世界で、賢は幻覚が生み出した治と再会を果たす。
自分とは別のデジモンカイザーの幻影がかつて虐げていたデジモンたちによって殺され、そしてシャボン玉と共に賢の前に現れた治が、｢お前は十分に苦しんだ、お前の贖罪は終わったんだ｣と言って優しく微笑みかけるというものになっている。
幻覚は賢の心の願望のあらわれでもあるため、賢を罵った治は一時的な側面で本来は優しい性格ともとれるが、兄に対する負い目もありその兄自身に許されることを賢が望んでいたために、優しい治が描かれただけという可能性も捨てきれないため、結局は真偽のほどは不明である。
兄弟部屋
治の存命の頃、一乗寺兄弟は部屋を共有しておりベランダ側の二段ベッドの内、上段が治、下段が賢のベッドであった。
賢は兄のように上段で寝たいと思っていたが、兄の死後は下段のベッドが取り払われ、賢は上段のベッドで就寝している。
部屋にはパソコン、オーディオ機器、百科事典、地球儀、電話の子機などが並ぶが、子供らしい玩具などは見られない。
ゲーム「タッグテイマーズ」において賢の家が一軒家な上に部屋が個人の部屋になっており、治の存在が元々いない、または既に事故死しているかのように描写されてしまっている。
因みにゲーム内の賢の部屋には、サッカーボールやスケボーなど子供らしい玩具が見られる。
死亡時期、推定年齢
ドラマCD「2003年-春-」において「兄さんが亡くなってから3度目の春」、「兄さんの年齢を超えてしまった」と賢が発現している。
治死亡時の治は長袖長ズボン、賢は半袖半ズボンという恰好から、2000年の春から夏頃に亡くなったことになる。
2003年に小学六年生となった賢が治の年齢を超えると発言しているが、其々が誕生日を迎えているか否かによって年齢の差異が生じるが治は死亡当時11歳の小学校六年生から10歳の小学四年生、当時三年生だった賢とは三学年から一学年の年の差が生じることになる。
三学年上ならば八神太一・武之内空・石田ヤマト、二学年上ならば泉光子郎・太刀川ミミ、一学年上なら井ノ上京と同級生となる。
小ネタ、二次創作において
ヤマトとタケル兄弟の名前の元ネタが日本武尊と考えられているように、一乗寺兄弟の名前の元ネタは宮沢賢治と捉えられている。
ゲーム「タッグテイマーズ」において賢が3歳年上の秋山遼と友人という設定になっているため、二次創作などでは元々治と遼が友人で、治を介して遼と賢も交流することとなったといった描写があるが、本編で両者の関りは全くと言って良いほどない。
関連イラスト
