曖昧さ回避
本記事は「アノマロカリス」のみについて記述する。アノマロカリスとそれに似た種類を含んだラディオドンタ類(いわゆる「アノマロカリス類」)全般については該当記事を参照のこと。
概要
アノマロカリス(学名:Anomalocaris)は、原始的な節足動物「ラディオドンタ類」に分類される、5億年前のカンブリア紀に生息した古生物の一属である。
他のラディオドンタ類と同様、体の両筋に並んだ鰭・背中の鰓・眼柄にある1対の複眼・放射状状の歯・頭を包んだ甲皮・関節のある外骨格に分かれた1対の触手(前部付属肢)を持つ。その中でアノマロカリスは、触手が長大・歯が三放射・尾部が広い扇形であることにより他の種類から区別が付く。
体長は最大のものでは50cm程度あるとされ、カンブリア紀の古生物にしては飛び抜けて巨大である。
長らく「1m以上あるカンブリア紀最大の古生物」と紹介されてきたが、これは不正確の数値とアノマロカリスと見間違われた別生物の残骸に基づいた誤算である。
カンブリア紀の古生物として有名な種類であり、pixivでは同時代の三葉虫、ハルキゲニア、オパビニア等と比べ投稿数が多く、人気がある。
アノマロカリスは複数の種が知られるが、全身が知られる次の2種が特に有名である。
アノマロカリス・カナデンシス
学名:Anomalocaris canadensis
カナダから発見され、バージェス動物群(約5億1000~5億500万年前)に属する。
体長38cm。触手のほとんどの棘は頑丈な三股状になる。胴部の鰭は13対、尾部は3対の尾鰭と1本の小さな突起物がある。
本種はアノマロカリスどころか、ラディオドンタ類全般的にも最初期に記載された代表種で、ネットや図鑑上の「アノマロカリス」はだいたい本種を表している。
未命名種(Anomalocaris sp. ELRC 20001)
中国から発見され、アノマロカリス・カナデンシスより少し早期な澄江動物群(約5億1800万年前)に属する。
体長6.8cm。触手の棘は分岐が少ない。胴部の鰭は11対、尾部は2対の尾鰭と1対の細長い尾が伸びる。
本種の唯一の化石(番号 ELRC 20001)は、長らく「ホウカリス・サロン」(Houcaris saron、旧名:アノマロカリス・サロン Anomalocaris saron)という別種のラディオドンタ類の全身と誤解された。
食性
その特徴から明らかに肉食だが、捕食対象については議論があった。同時期の三葉虫の化石からその歯列に吻合する噛み跡が発見され、長い間、本種は三葉虫が主食と考えられた。しかし、硬い殻がある三葉虫等を捕食するには、歯の強度が足りないのではという説もある。
そして2012年、これまで本属と考えられてきた歯は、実は他のラディオドンタ類(ペイトイア)と混同した物と判明し、本当の歯は不規則な三放射構造(他のラディオドンタ類は十字放射)で、開口部は今までの復元よりも遥かに小さい事が判明した。この特徴は三葉虫ではなく、むしろ柔らかい獲物を捕食するのに向いた形である。
発見史
全身化石は稀で、触手のみが多い。本属は最初に記載されたラディオドンタ類の1つである。
学名「Anomalocaris」はギリシア語で「奇妙なエビ」を意味する。これは、1892年で最初に見つかったアノマロカリスの触手の化石がコノハエビという甲殻類の腹部に似ていたから。
当初、各種のラディオドンタ類の歯・触手・その他の体組織がバラバラで発掘され、それぞれ別の生物の化石とされていた(胴体→ナマコの「ラガニア」、歯→クラゲの「ペユトイア」、触手→コノハエビの「アノマロカリス」)。これらの全体像が明らかにされたのは1980年代以降である。また前述の歯の様に、本種の一部の特徴は、他のラディオドンタ類と混同される経緯もあった。(ラディオドンタ類#h2_3も参照)
関連キャラ
アコーディオンハザード
アノマロカリス・ドーパント(仮面ライダーW)
アノマロカリモン(デジモン)
アノプス / アーマルド(ポケモン)
バージェストマ・アノマロカリス(遊戯王)
要塞生命体アノマロガリス(爆竜戦隊アバレンジャー)
アノマロカリスゲノミクス / アノマロカリス・デッドマン / クワッドゲノミクス / フルゲノミクス (仮面ライダーリバイス)
関連タグ
節足動物 ディノカリダ ラディオドンタ類
オパビニア アンプレクトベルア ペイトイア フルディア
カンブリア紀 バージェス動物群 澄江動物群
カン娘