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概要編集

ピカイア(学名Pikaia)とは、現生のナメクジウオによく似たカンブリア紀海洋生物カナダバージェス動物群のみから発見される種類(属)の1つで、「Pikaia gracilens」という1種のみ知られている。

5cm以下の細い体は上下の正中線が末端まで突出してとなり、2本の触角状の突起を先頭に、ブラシのような細かい突起を頭部直後に2列並んでいる。


解釈編集

記載当初の1911年ではゴカイの1種と誤解されたが、1979年の再記載により脊索や筋節など脊索動物(現世ではナメクジウオ・ホヤ脊椎動物からなる動物門)の決定的な構造があるとされ、以降脊索動物に分類されるようになった。

当時は最古の脊索動物と話題になり、脊椎動物の祖先に近い(この見解は「人間など脊椎動物の直系祖先」と曲解されがちである)と騒がれていた。しかしこの最古ポジションは、後にバージェスよりも古い時代の地層にある澄江動物群ミロクンミンギアに譲った。

2010年代の後続研究では、脊索とされた部分が似て非なる背器官・腹面の血管とされる部分が循環構造を成さない・両腹面の突起が謎・筋節の構造が脊索動物と上下逆だったりと脊索動物説すら動揺され、具体的な位置づけがはっきりしなくなっている。


2024年6月に公表された研究では、前述の復元における"背器官"は腹面の消化管で"血管"は背神経索、つまりかつてのハルキゲニアのように上下が逆であったと見直された。筋節もひっくり返り、両腹面の謎の突起物が背面の鰓に、上の触角状の突起が下の髭に変更されたと色んな特徴が従来より脊索動物的になった。これで脊索動物説が再び有力視され、中では古虫動物よりは派生的、ミロクンミンギア含めて他の脊索動物よりは起源が古いという系統的関係にあることも考えられている。

上述の再解釈に基づいた復元像↓

ピカイア2024

生態としては海底を泳ぎ回り、微小な有機粒子を餌にしたと考えられる。


メディアでは編集

1996年に発表された楽曲である「ELECTRICAL OMMUNICATION」において「還る場所探してるピカイアの遺伝子」という歌詞があるが、この当時はまだこの生物の存在が特別と考えられていて、直系祖先という誤解が広まったものだと思われる。


そう言う訳なので、アニメ『ジーンダイバー』では「脊椎動物をやっつけるためにアノマロカリスがこいつを乱獲する」というシーンや、漫画『クロノアイズ』で「味を知りたいと捕獲しようとする美食時空犯罪者に戦慄する」というネタがあったが、そういうものだと思ってください。


関連イラスト編集

ピカイアピカイア×ナメクジ



関連タグ編集

カンブリア紀 古生物 バージェス動物群 バージェスモンスター

脊索動物 ミロクンミンギア ナメクジウオ

アノマロカリス オパビニア ハルキゲニア

ピカイア! ロックマン8

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