概要
澄江(チェンジャン)動物群とは、中国南部の雲南省に位置する帽天山(マオティェンシャン)頁岩の中から化石が発見されたカンブリア紀の古生物、動物たちのこと。
1980年代に前述した産地から多種多様な化石が見つかったことで一躍有名となり、現在ではバージェス動物群(カナダ)やシリウスパセット動物群(グリーンランド)と並んで、カンブリア紀の生物多様性を象徴する有名なグループとなっている。この発見により、バージェス動物群のような奇妙な古生物は、カンブリア紀の海に世界規模で普遍に存在したことも証明される。
時代はシリウスパセット動物群と同様カンブリア紀前期中盤の約5億1,800万年前で、バージェス動物群(カンブリア紀中期、約5億1,000万~5億500万)より少し古い。
バージェス動物群が産する灰色のバージェス頁岩と比べて、帽天山頁岩の母岩は赤みを帯びる。バージェス頁岩と同様、帽天山頁岩は硬い部分(殻や外骨格)だけでなく、通常の化石では残らない柔らかい構造まで綺麗に化石化されるため、当時の古生物を研究するための情報源として重宝視されている。
当時の環境は熱帯~亜熱帯の暖かい海であり、学説により水深100~150m程度のやや深い海底、もしくは三角州近くの浅い海であったと考えられる。
澄江動物群の中には前述した動物群と似た種類もいるが、ここでしか見られない面々も多く、特に脊索動物(ミロクンミンギアなど)と葉足動物(ハルキゲニアなど)は他の動物群よりも多様である。
主な種類
★が付くものは澄江動物群に特有。
- アラルコメネウス(節足動物、メガケイラ類)
- アンテナカンソポディア★(葉足動物)
- アンプレクトベルア(節足動物、ラディオドンタ類)
- イソキシス(節足動物)
- ウェツリコラ(脊索動物、古虫動物)
- エオレドリキア(節足動物、三葉虫)
- エルドニア(不明確)
- オニコディクティオン★(葉足動物)
- シャンガンギア★(刺胞動物)
- チョイア(海綿)
- ディアニア★(葉足動物)
- ディノミスクス(不明確)
- ナラオイア(節足動物)
- ハイコウイクチス★(脊索動物、無顎類)
- ハルキゲニア(葉足動物)
- パウキポディア★(葉足動物)
- パラペイトイア(節足動物、メガケイラ類)※かつてラディオドンタ類と考えられた。
- フォルティフォルケプス★(節足動物、メガケイラ類)
- フーシャンフイア(節足動物)
- ホウカリス(節足動物、ラディオドンタ類)※かつてアノマロカリスと考えられた。
- ポマトラム★(脊索動物、古虫動物)※旧称シダズーン。
- ミクロディクティオン★(葉足動物)
- ミロクンミンギア★(脊索動物、無顎類)
- メガディクティオン★(葉足動物)
- ライララパクス★(節足動物、ラディオドンタ類)
- リングレラ(腕足動物)
- ルオリシャニア★(葉足動物)
- レアンコイリア(節足動物、メガケイラ類)