概要
シリウスパセット動物群とは、グリーンランド北部のビュエン層のシリウスパセットから化石が発見されたカンブリア紀の古生物、動物たちのこと。
後述の重要な種類を含むことにより、現在ではバージェス動物群(カナダ)や澄江動物群(中国)と並んでカンブリア紀の動物群として有名な一グループとなっているが、他の動物群と比べて研究と知られる種数が少ない方である。
前述した動物群の産地と同様、シリウスパセットは硬い殻や外骨格だけでなく、通常は化石に保存されない筋肉や内臓、柔らかい表皮も綺麗に化石化されるため、当時の古生物を研究するに当たっては重要な情報を秘めている。例えば柔らかい体で、本群特有のケリグマケラとパンブデルリオンは葉足動物と節足動物のミッシングリンクであり、節足動物の起源と進化にまつわる議論に大きなヒントを与えていた。
シリウスパセットは現在では北極にあるが、当時(カンブリア紀前期中盤、約5億1,800万年前)は赤道直下の熱帯域の海であり、そこに分布するシリウスパセット動物群は、主に酸素濃度が低い海底に生息したと考えられる。
主な種類
★が付くものはシリウスパセット動物群に特有。
- イソキシス(節足動物)
- オーエディゲラ★(脊索動物、古虫動物)
- クレプトスーリ★(節足動物、三葉虫)
- ケリグマケラ★(節足動物)※葉足動物でもある。
- タミシオカリス(節足動物、ラディオドンタ類)
- ティモレベスティア★(毛顎動物)
- チョイア(海綿)
- ハルキエリア(軟体動物)
- パンブデルリオン★(節足動物)※葉足動物でもある。
他にもゴカイ(環形動物)やエラヒキムシ(鰓曳動物)様の蠕虫が数種知られている。