恐蟹綱
きょうかいこう
古生代、主に約5億年前のカンブリア紀に栄えた古生物のグループ。
アノマロカリスやフルディアなどをはじめとするラディオドンタ類や、オパビニア、パンブデルリオン、ケリグマケラなどが属する。
基本として2本の腕(前部付属肢)を先頭に持ち、体の両筋に沿って数多くの鰭が並んでいる。ラディオドンタ類やオパビニアなどは突き出した複眼と櫛状の鰓を持つ。
学名は「Dinocaridida」(ディノカリディダ)もしくは「Dinocarida」(ディノカリダ)。これは「恐ろしいカニ/エビ」(ギリシャ語 deinos 恐ろしい + caris カニ/エビ)の意味で、多くの種類が捕食者と思われることと甲殻類の腹部を彷彿とさせる腕の形に因んでいる。
解剖学的には汎節足動物のうち節足動物特有の性質と、それ以外の汎節足動物のグループ(葉足動物・カギムシ・クマムシ)の原始的な特徴を兼ね備えている。盲腸・複眼・櫛状の鰓は節足動物に、単調な脳・柔軟な表皮はそれ以外の汎節足動物に似ている。
これにより、本群は葉足動物から他の節足動物に至るまでの系統から派生した原始的な節足動物で、節足動物の最初期の進化の様子を表したミッシングリンクだと考えられる。例えばパンブデルリオンなどは柔らかい脚を持つためもっと原始的で、ラディオドンタ類は頭部の外骨格や関節に分かれた腕を持つことで最も節足動物的とされる。
汎節足動物
┃
┣━有爪動物の系統
┃ ┣━アンテナカンソポディアなど(葉足動物)
┃ ┗━有爪動物(カギムシ)
┃
┣━緩歩動物の系統
┃ ┣━?(葉足動物)
┃ ┗━緩歩動物(クマムシ)
┃
┗━節足動物の系統
┃
盲腸
┣━メガディクティオン、ジェンシャノポディアなど(葉足動物)
複眼
┗┳━パンブデルリオン
┣━ケリグマケラ
櫛状の鰓
┗┳━オパビニア
頭部の外骨格・関節
┗┳━ラディオドンタ類
胴部の外骨格・複雑な脳
┗━他の節足動物(真節足動物)