概要
ティタノコリス(またはタイタノコリス、学名:Titanokorys)とは、古生代カンブリア紀に生息した、ラディオドンタ類の節足動物の種類(属)の一つ。
バージェス動物群に属する1種、「ティタノコリス・ゲイネシ(Titanokorys gainesi)」のみ知られている。
ラディオドンタ類の中ではフルディアやペイトイアなどと共に「フルディア科」に分類され、そのうちカンブロラスターなどが本属に近い。
形態
現時点ではバラバラになった頭部の外骨格と鰓の(恐らく脱皮殻である)化石のみ発見されるが、巨大な甲羅と熊手状の腕(前部付属肢)は全身が知られるカンブロラスターによく似ているため、それと同じ「泳ぐ頭」のようなアンバランスな体型を持っていたと推測される(胴部は頭部より華奢で、海中を泳ぐための鰭も短い)。
カンブロラスターと比べて、ティタノコリスの背面の甲羅はもっと縦に長く、先頭が三叉状に分かれ、左右の棘が短い。腹面左右の甲羅もカンブロラスターより長大に発達している。
背面の甲羅だけで長さ27cmもあり、不明な胴体まで含むと体長が50cmも達すると推測される。これは同じ生息地のアノマロカリス(40cm位)を上回って、知られる中でバージェス動物群最大の生物となっている。
このことから「巨大なヘルメット」を意味する学名(ギリシャ語 titan ティーターン + Korys ヘルメットで Titanokorys)を付けられて、研究段階でも「スペースシップ(宇宙船)」と愛称されるカンブロラスターに合わせて本属が「マザーシップ(母艦)」と呼び分かれていた。
生態
カンブロラスターと同様、機動性は他のラディオドンタ類より低く、海底を緩やかに泳いでいたとされる。腕の熊手状のブレードと大きな甲羅を使って、海底の泥から小さな生き物を篩い分けて捕食していたと考えられる。
また、似たような生態を持つとされるカンブロラスターと同じ場所(バージェス動物群)で暮らしているため、カンブロラスターと同じ餌を競い合ったか、何とかして住み分けたと考えられる。