概要
古生代のオルドビス紀からペルム紀にかけて生息した鋏角類の節足動物である。英語も同じ意味で「Sea scorpion」(シースコーピオン)だが、名前に反してサソリではない。
ラテン語で「広い翼」を意味する学名「Eurypterida」(ユーリプテリダ)や別名「広翼類」(こうよくるい)の通り、多くの種類は翼のように広げた、遊泳に使うオール状の後脚を持つ。
体格は長いしずく型で流線型。他の鋏角類と同様、体は大きく分けて前体と後体からなる(「頭胸部と腹部」ともいうが、実際は「頭部と胴部」に当たる)。
前体の甲羅には各1対の複眼と単眼、裏には1対の鋏角と5対の脚があり、多くの種類は最後の1対が遊泳用のオールに変化。鋏角(口元の小さなハサミ)は通常では小さく目立たないが、プテリゴトゥス等ダイオウウミサソリの種類は例外的に鋏角が大きい。カブトガニと似て、脚の付け根に顎のような棘があり、その間に口が開く。
後体は12枚の甲羅と1本の尾に分かれ、前半の腹面には生殖器や呼吸器(書鰓)が配置される。
250ほどの種が知られている。大きさは数cmの小型種から2m以上の大型種まで幅広く、特に後者は史上最大級の節足動物をも含まれる。
体長は2.5mに達するイェーケロプテルス、体重はヒベルトプテルスが最大級とされる。
生態
オルドビス紀に出現してから浅い海やサンゴ礁のラグーンに棲息し、淡水域に棲む者も多く、半陸生的に陸上に進出する種もいたと考えられる。
ほとんどが捕食者で、シルル紀までは食物連鎖の頂点に君臨していると思われる種類もいた。しかしデボン紀になるとダンクルオステウスやサメなど顎を発達させた魚類の台頭で徐々に衰退し、ペルム紀の末期に三葉虫等と共に絶滅した。
分類
通常はカブトガニと共に節口綱としてまとめられる。カブトガニと同様、かつては甲殻類と考えられたが、20世紀以降から研究が進み、クモやサソリ等と共に鋏角類としてまとめられるようになった。
かつてはサソリの祖先を含むグループとも考えられてきたが、現在は系統的にクモやサソリを含んだクモガタ類と対になる説の方が主流。
┗┳━ウミグモ
┗┳━カブトガニ
┗┳━ウミサソリ
著名な種類
- スティロヌルス - 全長1.5m、後脚はとても細長い。泳げないタイプ。
- スリモニア - 全長0.2-1m、頭の甲羅は縦長い長方形、オール状の尾をもつ。
- ダイオウウミサソリ - 長大な鋏角、大きな複眼とオール状の尾を持つグループ。
- ヒベルトプテルス - 全長およそ2m、丈夫な体型をもつ(体重最大のウミサソリ)。泳げないタイプ。
- フグミレリア - 全長0.06-0.2m、鋏角はやや大きい。
- ブラキオプテルス -全長0.04-0.05m、ウミサソリの中では小型。
- ミクソプテルス - 全長0.5-1m、第2脚は強大、サソリのようなフック状の尾をもつ。
- メガラクネ - 体長およそ0.5m、背中に円盤状の甲羅を持つ。最初は巨大クモと誤解されたことで有名。
- メガログラプトゥス - 全長1-2m、第2脚はとても強大、トライデントのような尾を持つ。
- ユーリプテルス - 全長0.2-1.3m、後脚のオールがとても発達。ウミサソリとして代表的。
ウミサソリをモチーフとしたキャラクター
サソリ要素(全体のシルエット・ハサミ・毒針など)を兼ね備える傾向がある。