「そーれ がっちゃんこ!」
注意
この記事はポケモン剣盾に関わるネタバレ及び批判的な意見が含まれております。閲覧の際にはご注意下さい。
概要
ガラル地方でもポケモンの化石が発見されるものも、上半身か下半身のどちらかしか無い化石がそれぞれ2種類存在し、それぞれウカッツ博士に渡して組み合わせることで復元することができる。
化石ポケモンでは初となる、タイプにいわタイプがつかないポケモン達でもある。
タマゴグループが「みはっけん」・性別不明といった点も化石ポケモンでは初。
ポケモン一覧
- 始祖鳥、羽毛恐竜がモチーフと思われる、電撃を操る鳥ポケモンの頭部「パッチ-」
- ダンクルオステウスがモチーフと思われる、強靭な皮膚と顎を持つ魚ポケモンの頭部「ウオノ-」
- 剣竜がモチーフだと思われる、屈強な肉体を誇る恐竜ポケモンの下半身「-ラゴン」
- 首長竜がモチーフだと思われる、寒冷地帯に生息していた首長竜ポケモンの下半身「-チルドン」
の組み合わせからなり、分類は全てプテラと同じ「かせきポケモン」となっている。
モチーフはどれもすべて、実際に化石を取り違えて復元された経歴を持った古生物である。
「カセキのトリ」と「カセキのリュウ」を組み合わせて復元。タイプは「でんき・ドラゴン」
上半身と下半身で明らかに体格が異なり断面が見えてしまっている。尻尾の筋肉を動かす事で電気を生み出す。
「カセキのトリ」と「カセキのクビナガ」を組み合わせて復元。タイプは「でんき・こおり」。
こちらも上半身と下半身で体格が異なりバランスが取れていない。氷漬けの上半身が震えるごとに電気を生み出せるが、本来ヒレである部分を脚に使っているため歩くのが非常に苦手。上半身の氷で餌を保管する事ができる。
相変わらず断面は剥き出し、かつ上半身の両腕の一部が下半身に埋もれてしまっている。
ついでに常時鼻水を垂らしているが、上述の生態説明からするに自分自身の冷気に耐えられていないのではないかという説が有力。
「カセキのサカナ」と「カセキのリュウ」を組み合わせて復元。タイプは「みず・ドラゴン」。
断面が剥き出しの下半身の尻尾の先に魚の頭部がついている衝撃的な見た目。
おまけに下記のウオチルドン同様頭が上下逆になってるが、尻尾を思い切り持ち上げることで正位置を保っている格好である。
時速60キロ以上で走り、頑丈なアゴで無類の強さを持っているが、水中でしか呼吸が出来ない。
「カセキのサカナ」と「カセキのクビナガ」を組み合わせて復元。タイプは「みず・こおり」。
どんな攻撃でも傷つかない頑丈な頭部を持ち周囲を凍り漬けにして獲物を捕獲していたらしい。
何故か頭が上下逆さまに付いているため獲物が食べにくかったり、呼吸がしづらかったりと、そもそも生きることが困難であろう状態をしている。
化石の入手について
カセキメラの材料となる化石の入手の手段としては、フィールドで拾う、ワイルドエリアにいる「あなほり兄弟」に頼むという2つの手段がある。
ただし、前者は拾える場所や拾える回数が限られているため、かなり効率が悪い。素直にWを溜めてあなほり兄弟に頼んだ方が集めやすいのでこちらを活用しよう。
一応、一つのバージョンですべての化石を手に入れることはできるが、剣・盾のそれぞれで入手のしやすい化石が異なり、『剣』では「カセキのトリ」と「カセキのクビナガ」が、『盾』では「カセキのサカナ」と「カセキのリュウ」がそれぞれ入手しやすい。
あなほり兄弟に掘ってもらう場合、入手のしやすい化石はどちらに頼んでも掘り出してもらえるが、入手しにくい化石はスキル自慢の方に頼まなければ手に入れられないので注意すること。
それでも、掘り出してもらえる確率は相当に低いので、すべての種類を集めるのには相当の時間と根気がいる。
なお、過去作の化石と同様、ポケモンに持たせることが可能なので、周りに自分と違うバージョンでプレイしている人がいた場合、化石をポケモンと共に通信交換し、手に入りにくい化石を融通し合うという手も使える。違うバージョンで遊んでいる友人がいたのなら頼んでみるのも手だろう。
実際、Twitter等のSNS上では「♯化石交換」のハッシュタグが存在し、未所持の化石の交換を求める書き込みが多数存在している。
だが、20年3月下旬の期間限定ピックアップレイドで登場するバージョン違いダイマックスバトルの報酬に、これらが大量入手出来る確率が上がった(通常個体では不可)。
ちなみに、このように、入手に手間がかかることを考慮してか、ゲット(復元)時には3V補正がかかっており、俗に言う準伝説並のステータス(厳選難易度)を持っているという特徴がある。
隠れ特性について
カセキメラもご多分に漏れず隠れ特性が存在しており、ウオノラゴンとパッチラゴンが「すなかき」、ウオチルドンとパッチルドンが「ゆきかき」となっている。
しかし、現状ではカセキメラは専用アイテムである化石を組み合わせて復元する以外に入手手段が存在しておらず、マックスレイドバトルにも登場しないため、隠れ特性持ちを手に入れることは不可能となっている(バトルタワー等で隠れ特性持ちの個体を使用してくるトレーナーがおり、そこでお目にかかることはできる)。
その後、DLC第2弾『冠の雪原』にて、通常特性を隠れ特性へと変えるアイテムである「とくせいパッチ」の登場が発表され、恐らくこのアイテムを使うことで隠れ特性持ちの個体を入手することができるようになるのではないかと推測され、実際にこれが入手手段の1つとなった。
1つと書いたのは、これ以外の入手法として、なんとカンムリ雪原でのマックスレイドバトルにてカセキメラが野生で出現し、そこで低確率で隠れ特性持ちが出現するのである。
復元ミスか否か
ポケモン史上初の化石を組み合わせて復元するポケモン群なのだが、上記の情報やイラストの通り、実際に復元してみるとその姿は明らかに違うポケモン同士を無理やり継ぎ合わせたような衝撃的な見た目をしており、ウルトラビースト達も真っ青のクリーチャーじみた体型となっている。
しかし、図鑑説明では彼らがその姿のまま太古に生息していたような記述がされており、復元ミスかどうかも人によって意見がわかれている。ここでは、その争点としてよく挙げられる要素について触れていく。
図鑑説明文
主にウオノラゴンに関してだが、ポケモン図鑑の解説に矛盾した設定がある、という指摘がある。ウオノラゴンは陸上を走っていたという陸上で暮らしていたことを思わせる記述があるにもかかわらず水中でしか呼吸ができないときっぱり明言されている、など。
これに関しては
- 「実際に当時も同様の生態であった」
今までのポケモンにもホエルオーが「空気を吸い込めば深海3000メートルまで潜れる」と、呼吸ができない環境で活動できるフシの説明がされている例があり(現実のクジラ目にも共通する生態である)、ウオノラゴンも同様に定期的に水中での呼吸を行うことで陸上でも活動できていた、といったように考えることは可能である。カバのように水辺で暮らしているような生活環であればそれほど不自然でもない。
- 「単なる字数制限の問題で、上半身と下半身で別々の2種類のポケモンの説明が一緒くたに書かれている」
2種類のポケモンを無理矢理合体させたらしい復元方法から、2種類のポケモン図鑑解説が混ざり合っているのでは?とする意見。この場合はカセキメラ特有の図鑑説明の矛盾の説明も一応つく。
図鑑とは人が書いたものであるという視点
図鑑とはそもそも「神の視点」でメタ的に真実の設定を記述したものではなく、その時代に生きる人々が最新の研究結果に基づいて記述したものであり、研究に誤りがあったとしたら、必ずしもそこに書かれている内容が実態に則しているとは限らない、とする意見。
赤緑におけるユンゲラーの図鑑説明に代表されるように、ポケモン図鑑には作中世界においても事実なのかどうかがはっきりしない伝承や都市伝説のようなものまで記述されていることがままあることにも留意する必要があるだろう。
ただ、エラがみやでんげきくちばしの強烈さからして、古代で無類の強さを誇っていたとされる記述だけは真実かもしれない……。
化石の説明文
カセキのトリの説明文は「空を飛んでいた古代ポケモンの化石」であるにもかかわらず、復元されたキメラには空を飛べる姿が存在していない。このことから、本来の形とは全く異なる形で復元されているのでは、という指摘。
しかし、化石の説明文と復元されたポケモンの不一致には「ねっこのカセキ」という前例がある(化石はねっこの化石とされているのに復元するとリリーラの頭部、及び触手になる)。また、従来の化石説明文では「〇〇の化石らしい」と推量する形で説明が行われており、化石の名前や説明文は飽くまで化石の見た目からの推量が書かれているだけに過ぎないのではないだろうか。
とすると、カセキのトリの説明文とは異なる生態や見た目をしたポケモンが復元されてもおかしくない。そもそもカセキのトリから復元された上半身はどう見ても大空を飛んでいた鳥というよりは羽毛恐竜や始祖鳥である。
カセキのクビナカに関しては上半身が発掘されていないにもかかわらずこのネーミングだが首長竜には頭でっかちで首が短いプリオサウルス類という種もおり、同じ首長竜であるラプラスの近縁種か祖先という意味の可能性がある。
卵の未発見
これまでの化石ポケモンは卵が発見されていたが、今回の四種は卵が発見されないため、この姿での繁殖はできない=繁殖する事が出来る本来の姿は別にあるとも考えられる、という意見。
一方でポケモンの繁殖や発生については未だ謎が多い。
例えば、ナッシーは「ある時期になると頭が落ち、それが後にタマタマへ成長する」、ベトベターは「通った後に残った体の一部からまたベトベターが生まれる」と、卵に依らない繁殖方法が図鑑に説明されており、今回の化石ポケモンもタマゴに依存しない未知の繁殖方法をとっていた可能性はあり得る。
ただあくまでも上記のポケモンは卵での繁殖が可能な上に植物や不定形のポケモンばかりであり、一般の動物型ポケモンながら卵未発見というのは(ゲームシステム的に見ても)少々違和感があるのは否めない。
……一応、卵で増えないが繁殖しているのが明確になっているという意味ではUB及びミュウが前例に当たる。ただ前者は異世界の生物であり、こちらの世界とは常識が異なる可能性がある。
実は伝説のポケモンだった?
化石ポケモン以外のポケモンに目を向ければ『タマゴ未発見グループ』、即ち卵が発見されないという例はそれなりに見られる。その中にはトレーナーが分類するところの『準伝説』『伝説』『幻』といった種族も含まれている為、この4匹は伝説のポケモンだったのでは?という考察もされている。
実際個体値が3V固定確定なのも準伝説と同じ扱いであり、古代の彼らは合計種族値が600の準伝説、もしくはさらに高い伝説・幻クラスのポケモンであったという可能性も否定し切れるものではない。
このように争点として挙げられる要素はいくつかあるが、どれも復元ミスかどうかを決定付けるには不十分なものばかりである。
また、他の地方で発見されている化石ポケモンの化石が発見されていないので、このポケモン群の半身は別の地方にあるということもなさそうではある。
従来の化石ポケモンたちの設定面とカセキメラたち
また、この四種の姿は「復元ミスではない」が「正しい形ではない」のではないかとする説も挙がっている。
復元は完全ではない?
化石ポケモンの項に詳しく記述されているが、頭しか見つかっていないタテトプスや復元後の姿が太古の姿そのままではない説が提唱されているガチゴラスなど、他の地方の化石ポケモン達も化石が全身丸のまま見つかっているわけではないようで、研究者たちが想像した姿をそれっぽく再現したものこそが我々の知る化石ポケモンたちではないかとする説がある。
ウカッツ博士が何も悪びれる様子がないところから見ても「化石をある程度恣意的な形に整えて復元を試み、成功した場合は現実に存在したと仮定してその行動と古代の環境を想定して図鑑に記載する生態情報を作成する」という手法はポケモン古生物学会では特に珍しい事例ではないのかもしれない。
とはいえ、従来の化石ポケモン達は曲がりなりにも体の一部位からほぼ生物としての違和感も機能の破綻も生まれないレベルで全身の復元に成功している。
「どういう形状で化石を復元するかには研究者の主観が大いに関わる」というこの考察が正しいのなら、少なくともわざわざ別種のポケモンの化石を組み合わせて復元する必要性は何も無いし、間違いなく一度は"失敗"しているのが明らかな以上明らかに生命活動に支障を来すような奇形になるようにする必要もない。
なお、ウカッツ博士は『これを研究すれば合体するポケモンの謎がわかるかもしれない』という主旨の発言もしているため、彼らをあえてキメラ状態で復元している可能性がある。
少なくとも一度はあの形にしてみているはずなので、復元したらあの形状になるということを解っていてやっているのはほぼ間違いないと言えるだろう。
復元に「失敗」する?
従来の化石ポケモンの一体、アーケオスには「羽毛部分が細かく、熟練の職人でなければ復元に失敗する」という図鑑説明が存在する。
ここから、化石ポケモンの復元には"失敗"という概念があることが理解できる。
この失敗とは「カセキの状態が基準を下回る場合そもそも復元できない(人間が判定するのもおかしな話なのでこの場合判定を下すのは復元に使用する機械やプログラムだろう)」か「復元はできるがカセキの状態次第で復活後の姿が不完全な形状になる」のどちらかと推測される。
前者をカセキメラ達の事例に当てはめると、ウカッツ博士が主人公との初対面時に「ガラル地方で見つかる化石は組み合わせて復元できる」旨を話すため、実はキメラ姿が正しい(あるいは世間・学会などにそう認知されている)ことへの信憑性が高まる。
あるいは後者であれば、例えば頭骨を右足に、尾骨を胸部に、と言ったような、明らかにおかしい姿形でもお構いなしで生き物として再誕させてしまう驚異の復元システムパワーがある可能性が想像できる。
他ならぬカセキメラたちのように。
この場合、前述の「組み合わせて復元できる」発言が本当はわざわざ組み合わせなくても単体のポケモンにできるがあえてキメラにしているという、前項で述べた仮説を裏付けるようなニュアンスにとれるのも面白い。
DLCにおいて過去作での化石ポケモンの殆どは野生で出現し彼らの化石は登場しないので新しい復元装置は結局、配備されていなかった。DPtのリメイクとなるBDSPでは第5世代以降のポケモンが登場せず、SVではそもそもカセキポケモンが登場していないため、未だガラルのカセキポケモンと通常の復元装置が両立する作品は登場していない。
カセキメラの起源についての予想
カセキメラ達については散々前述した通り議論の的となっており、批判的な意見はもちろんその正体、というか起源を真面目に考察する声もそれなりに多い。
前述した
- 人間の手が加わって異形として誕生した。古代にこのような生物は存在しない。
以外にもカセキメラの正体については
- メタモンのような不定形のポケモンが様々なポケモンを真似た結果別々のポケモンが混じったかのような姿になったという説
- 人間以前に地球に住んでいた(あるいは飛来した)知的生命体が作ったキメラポケモンを現代で我々が復元したという説
などネット上では現実のオカルト雑誌さながらのぶっ飛んだ考察も飛び交っている。
(知的生命体に関しては実際に宇宙人をモデルにしたと思わしきポケモンがいるので無いとも言い切れないのである…。)
- お互いに近い遺伝子か引き合う因子のような物を持っている
系統的には全く異なる物の、合体が可能な要素を持っている為に合体できるという説である。他のポケモンで言うとネクロズマと陽月が該当する。進化という方向性であればヤドンとシェルダーが当てはまるだろう。
- エレメントハンターのカサネセッタのように 別々の生き物を合体させる何かが両者を繋ぎ合わせた結果生まれた新生物
という事もあるのかもしれない。謎は深まるばかりである。
ただ一つ言えることは方法はどうであれこのポケモン群がトレーナー達の興味を引き、こうして議論の対象になっているという事である。さながら実際の古生物議論のように。
その存在の意味
今回のこのポケモン群の予想を斜め行く姿……というかそれ以上に悪意すら感じる図鑑説明文には少なからず批判的な意見があり、『どうしてこんなデザインが通ってしまったのか』、『ダークどころか悪趣味の領域』、『生命に対する冒涜』、『こんな状態で復元させられて可哀想』などという意見も飛び交っており、国内のみならず海外でも大きな物議を醸している。
死ニーゴやら波平ペンギンやら、ガラルのポケモンのデザイン性にはただでさえ賛否が多いところに、本種たちはダークネスすぎる設定まで持ってくるダブルパンチである。これで矛盾しているように取れる生態説明がなければキモカワいいネタポケ程度で済んだのだろうが……。
生命倫理に反するような設定を持つポケモンはこれまでにも存在しているが、彼らには伝説・幻ポジションであるがゆえに生命倫理を問いかけるようなバックストーリーが存在しており、また生物として明らかに不自然な形をしていることもない。
一方このポケモン群は、形は言わずもがな、バックストーリーに関しても一般ポケモンであるがゆえにほぼ存在せず、それどころかウカッツ博士は上記のように適当にこの姿にしているとしか思えない発言をしている。
しかし、今までのカセキポケモンと違って弱点の多いいわタイプを含まない点に関しては朗報と捉えているファンが少なからずおり、戦闘面も強力な技をもつためバトルタワーや対戦でも大きく奮闘できる。特にパッチラゴン、ウオノラゴンは対戦でも要注意ポケモンとして名前が挙がる程であり、場合によってはそのまま手持ちを全滅させるレベルの強さを誇る。
また、発売から数ヶ月経った現在ではこの4体を好意的に受け入れたり、可愛がっているユーザーも普通におり、「2つの化石を合成する」という要素についても、既存の化石ポケモンにはないもので面白いという好意的な意見もある。
メタ的に見た場合
身も蓋もないことを言ってしまえば、復元ミスだとも正しい復元だともとれる両方の立場のテキストが作中に散りばめられている以上、公式はどちらが真実かわからない謎のポケモンとしての立場に置いていると考えるのが妥当であろう。例えば、アンノーンと古代文字はどちらが先か、ビリリダマやタマゲタケは何故モンスターボールに似ているのか、ポケモンのタマゴはどうやってできるのか等々、謎を謎のまま描いてプレイヤーに考察の余地を持たせるといういつものポケモンである。どんな説を支持するのかはプレイヤーの判断に委ねられているが、ある説を立証できるような根拠がどこにも存在していない以上、無用な争いを避けるためにも、その説が絶対的に正しいかのような立場を取ったり、恣意的な解釈にすぎないことを事実として捉えることは控えたほうが良いだろう。
アニメ版
新無印50話にて初登場を果たし、この内ウオノラゴンとパッチルドンがレギュラー化を果たす。この2体が選ばれたのはソフト単体で入手しやすい事が理由と思われる。アニメ版のカセキメラは新無印50話で初めて復元されたようで、同話数でウカッツとガサッツ(ウカッツと共にガラルの化石を研究するアニメオリジナルキャラクター)によって命名される様子が描写されている。2人は古代の生態に仮説を立てた上で正しい組み合わせを予測し、それぞれの復元予測図にパッチラゴンとウオチルドンと名付け、仮説を実証するために復元を試みたが、復元時に化石を取り違えてしまった。そしてあべこべに生まれたポケモンをウオノラゴンとパッチルドンと命名し、古代の生態の仮説も復元された2体に合わせたものに訂正した。以上の経緯の通り、アニポケの世界ではこのとき新たに誕生したポケモンな為、ポケモン図鑑にもこの時まで載ってないと思われる(アニメ版では一般的に情報が広まっていない伝説・幻のポケモンや前例のないフォルムはこのような扱いになる)。後の65話ではシャガがウオノラゴンをガラルで発見された新種として認知していたたため、存在は公になった模様。
余談
ちなみに、現実においてもこうした化石の入れ違えや種類の判別間違えは割と頻繁に起きており、後々の研究において今まで一つの生物だと思われていた者が全く別だったと判明するのはよくある事例だったりする。
「完全な化石が見つからない、存在しない」というのは古生物学ではさほど珍しくない話で、特に“カセキのサカナ”のモデルと思しきダンクルオステウスは身体のほとんどが軟骨で構成されていたことから、硬質な頭部以外の部位はそもそも化石にならないため想像に頼らざるを得ないのが現状である(流石に二足歩行で陸上に上がってくるなんて発想は前代未聞だが)。
他にも、アノプスとアーマルドのモデルであるアノマロカリスは最初では唯一に知られた触手部分が甲殻類の腹部と誤解され、その後の全身復元も最初では近縁の別生物のパーツを混ぜたキメラ復元であった。また「頭が見つかったので尻尾だと思われていた部分が首だった」や「足が見つかったので上下が逆だった」といったことも普通に起こる。
それだけならまだしも、19世紀末の化石発掘ブームの時代には、一部の考古学者達が名を上げる為に既存の化石を適当に組み合わせ新種として発表する行為が多発した過去さえあった。そしてその震源地となったのは他でもない、本作のモチーフであるイギリスである。
こうした過去を踏まえると、カセキメラ達の存在は彼らに向けた一種の批判や皮肉ではないかという説も存在している(ただし、そうした目的なら「正解」を用意しなければ同じ穴の狢ではないかとの反論も出ている)。
逆に、色々な生物の体を継ぎ接ぎにした作り物のキメラであると考えられ、後に単一の生物であるとわかったものがカモノハシである。当初剥製しか見つかっていなかったカモノハシを見た学者は、それが鳥と哺乳類の体を組み合わせた作り物であると考えたという。今回の化石ポケモンたちも、人間のエゴによって生み出された負の産物ではなく元来からこういった生物であることを願うばかりである。
復元を担当しているけんきゅういんの名前は先述の通り「ウカッツ」。恐らく「迂闊」から来ており英語版での名称も「Cara Liss」(杜撰や不注意を意味する「careless」に由来する)となっている。更にはキャラモデルをよく見ると左右の靴の色が違い履き間違えている、またカセキメラ達の復元を拒否すると「スカしちゃってサ」といった発言をする、等相当いい加減かつ軽率な人物である事がわかり、こうした要素も上記の疑念を加速させている原因でもあるのだが…。
また、これまでは復元できる場所が博物館やデボンコーポレーションといった公的機関や実績のある企業だったのだが、今作は荒野に一人佇むウカッツだけが自作のいかにも怪しそうな機械で復元し化石を一つで復元するのは不可能である。会話の雰囲気からどうも公的機関からの出張という訳ではなさそうだ。
残念ながら現実のイギリスが誇る大英博物館に相当する施設がゲームには登場しない。
そして余談も余談だが、「カセキのサカナ」と「カセキのリュウ」はよく見るとゲーム中でアイコンまで取り違えられている。流石にただのミスであろうが、何とも不憫なことである…。
実在の古生物と化石ポケモンを比較して双方をより親しんでもらうというコンセプトのリアルイベント「ポケモン化石博物館」が開催された際は、キービジュアルにカセキメラ達は一種もいなかった(公式サイト)。
まあ、対応する生物が実在しない(あるいは近い存在を無理矢理キメラ化しなければいけなくなり本末転倒になる)ので仕方のない措置ではあるのだが…
実際のイベントではカセキメラ達の紹介もとりあげられていた。と言っても、1枚のパネルに4種の図鑑説明と研究員の補足説明が載っているだけであったが。
パッチラゴン、ウオノラゴンは『ソード』、パッチルドン、ウオチルドンは『シールド』の図鑑説明と共に掲載され、「最近ガラル地方で発見された新たなカセキポケモンである」こと、「4種類の化石のうち2つを組み合わせると不思議なことに4種類のポケモンが復元された」ことが語られており、どちらかと言うとゲームの販促要員としての起用であった(その程度にはポジティブに扱われているとも言える)。
デザイナー本人の見解
デザインはありがひとし先生が担当している。
同作ではアーマーガアのデザインも担当しており、その落差から大きな話題を呼んだ。
Twitterのとあるユーザーが「全く違うポケモン同士を無理矢理繋げる」というコンセプトは開発側からリクエストされたものだったのか?という質問がされた時、ありが氏はTwitterにて以下の見解を示している。
※:依頼内容を開示するのは契約違反なので答えられないと本人から言われている
ありが氏「個人的に言えるかな…って事をいくつか 無理矢理くっつけて苦しいとかなら、私の方で誰が見ても苦痛に見えるようにデザインしますが、そうではない(苦しくない)ので表情や動きを楽しげに豊かに設定しています」
ありが氏「ちなみにあの組み合わせでしか復元ができない(他の組み合わせでは復元できない)ので、復元が正しいか間違ってるか、誰もキッパリ断定できず本当はこうなんじゃないか、いや自分はこう考える…という実際の化石考察のような思考遊びがガラル化石の現状でのポジションだと思います」
以上の見解が実際にゲームに反映されている場合、合体・復元後の姿が正しいかこそ不明だが一応融和性のある組み合わせではあるようだ。
関連イラスト
上のイラストは全身の化石が見つかったと仮定した上で、尚も合体可能なのではないか?という仮説を表にしたもの。(左斜め4列が元の体とされるポケモン達である)
元々の姿はこうであったのではないかという仮説イラスト
上記の繋ぎ合わせな姿では無く、完全に肉体が合体しあった姿の仮説イラスト。
他のポケモンでも合体が可能なのではないかという説を基にしたイラスト。順番はどう見てもアレである。
関連タグ
- ミュウツー ゲノセクト
- 「人工ポケモン」記事にもある通り、人為的な改良が加えられているという設定を持つ先例。ミュウツーはミュウがベースとされるが、ゲノセクトの方は本来どのような姿であったのかは描写されていない。
- キュレム+ゼクロム/レシラム→ブラックキュレムホワイトキュレム
- ネクロズマ+ソルガレオ/ルナアーラ→たそがれのたてがみ/あかつきのつばさ→ウルトラネクロズマ
- 作中で別々のポケモン同士が合体した先例。ゼクロムについては外伝漫画で人間とも合体させられたことがある。
- タイプ:ヌル→シルヴァディ
ポケモン以外
- ミルメコレオ:ライオンの上半身に蟻の下半身を持つキメラ。肉を食べるが蟻の体では消化できないなど、カセキメラの図鑑説明のように矛盾した生態を持つと言われている。
- MOTHER3:任天堂作品繋がり。登場するモンスターとデザインの傾向が似ていると話題になった。ただしそれらを生み出したポーキーは明確な悪役であり、生きた生物を改造しているという相違点もある。
- ピクミン:同じく任天堂作品繋がり。鳥の頭と蛇の体を持つ「ヘビガラス」など、キメラ状の生物が多く登場する。ただし、それらの大半は元からそのような姿をした自然の生物とされている。
- ジュラシックパーク:出てくる恐竜や古生物らは一見すると完全に再生されているように見えるが、実は復元の際に遺伝子的に欠けている部分、未詳な部分を他の生物の遺伝子情報で補填するというこのカセキメラと似たような方法で生み出されている。さらに、『ジュラシック・ワールド』シリーズでは、様々な恐竜の遺伝子を合成して作り出された「ハイブリッド恐竜」という戦闘用の種族まで登場した(カセキメラでいえばパッチラゴンが一番近いか)。
- 鋼の錬金術師:キメラやホムンクルスといった存在が作品の重要な構成要素となっており、よく引き合いに出された。特にウカッツとこの邪悪な無能を掛け合わせたネタは鉄板の域である。
- クラブガン&アネモス:一番近い存在のウルトラ怪獣。初期のポケモンはウルトラシリーズのオマージュが多かったと言われており、特に古参ファンはこちらを想起する人も多かった(ただし、初期のポケモンはカセキメラに負けず劣らずぶっ飛んだ設定やダークな設定も多かったため、必ずしもネガティブなニュアンスでもなかった)。