Coat of Arms
紋章(もんしょう、英: Coat of Arms)とは、個人及び家系をはじめとして、地方自治体や国家、学校、公的機関、組合(ギルド)、軍隊の部隊などの組織及び団体などを識別し、特定する意匠又は図案である。
歴史的には全身を鎧兜で覆った騎士が、兜を脱がなくても自分が誰か分かるように盾に模様を描いたのが始まりだとされる。このため、紋章では盾部分の図案がもっとも重視される。
紋章の定義には諸説あるが、おおむね紋章が持つべき最低限の要件は以下の2点である。
- 個人を識別できるようまったく同じ図案の紋章が2つ以上あってはならないこと
- 代々継承された実績を持つ世襲的なものであること
上記の意味で紋章と呼べる要件を厳密に満たしているものは、基本的にヨーロッパにしか存在しない。
最も近似すると言われるのは日本の家紋だが、これは世襲的ではあるものの個人ではなく文字通り当人が属する「家」を示すものであるため、第一の要件を満たさない(ヨーロッパの紋章は縁組で両家の紋章を合わせて新しい紋章を作る、兄弟間で同じ図案の上に別の意匠を加えて区別するなど属人性が強い)。日本の家紋を英訳する場合には、図案としての紋章の一部を指す用語で一族全員が同一のものを用いる「クレスト(Crest)」を代用として当てることがある。
それ以外のものは、いずれも「しるし」と訳される「エンブレム(Emblem)」や「インシグニア(Insignia)」と呼ばれて区別されるが、しばしば紋章と混同される。なので社会主義国の国章はエンブレムである。
日本の創作の紋章
日本の創作においては前述の用法の他に、ファンタジーにおける魔法陣や魔術的なシンボル的な用法が見られる。