概要
ミジンコ(微塵子)とは、鰓脚綱のうち枝角上目(古くはミジンコ目・枝角亜目とも、学名:Cladocera)に分類される600種ほどの甲殻類の総称。同時にそのうち最も広く知られる1種「Daphnia pulex」(ダフニア・プレクス)の和名でもある。
英語では一般に「water flea」(ウォーターフリー、"水の蚤")と呼ばれる。
水中でプランクトンとして生活する微小な節足動物であり、体長数mm以下の種類がほとんどである。
腕のように張り出した部分は実は触角(第2触角)であり、それを羽ばたいて跳ねるように前進する。また分類学上の名前(古代ギリシャ語 kládos 枝 + kéras 角で Cladocera)の通り、この触角は原則として途中から2つに枝分かれている。
もう1対の第1触角は目の下にあるが、通常は非常に小さく目立たない。
多くの種類で見られる胴部のダルマのような部分は本体ではなく左右2枚の甲羅であり、その中にエビのような本体が隠れている。
また、このような甲羅を持たない種類もいて、特に肉食性の種類はノロミジンコのようにシャープな体型をしたものもいる。
理科の実験や写真の影響か、横を向いている姿の方が一般に知られている。そこから左右二つの目を持つと思われることが多いが、実際、この目は透明の頭の内部に格納された、2つの複眼から融合した一つ目である。
甲羅を持つ種類は全体的に同じ鰓脚類のカイエビとよく似ているが、カイエビと比べてミジンコは第2触角がより発達で、脚が4~6対で少ない。
貝虫(イラスト左上)は「カイミジンコ」、カイアシ類(イラスト右)は「ケンミジンコ」とも呼ばれるが、これらはミジンコどころか、鰓脚類ですらない別系統の甲殻類であり、腕のような第2触角を持たないことでミジンコから区別できる。
生態
主に淡水域に生息し、塩水湖や海洋生物のものは少数派。多くの種類は水中の藻類やバクテリアなどを主食とする。ノロミジンコやオオメミジンコのように、他の動物プランクトンを捕食する肉食性の種類もいる。
個体数が多く、水中の食物連鎖の基盤を構築する重要な一員である。
一部の種類は生息域に天敵が現れると、後頭部から角を生やす、もしくはそのような角を持つ個体を産み出して防衛する。
通常、メスしかいない。繁殖方法は自分のクローンを作って増やす単為生殖を行う。しかし、季節によって又は生息域に増えすぎた場合、オスを生み出して有性生殖を行う。メスの背中に育房という空間があり、卵と幼体はしばらくそこで過ごす。
分類
甲殻類の中ではホウネンエビやアルテミア、カブトガニ、カイエビなどと共に鰓脚類(鰓脚綱)に分類される。鰓脚類の中では最も派生的なグループで、カイエビの間から進化したと考えられる。
┗┳━カブトエビ
┗┳━様々なカイエビ
┗┳━様々なカイエビ
┗━ミジンコ
主な種類
- ミジンコ(Daphnia pulex)
- 最も一般に知られる種。
- オオミジンコ
- 上述の種と同属でより大型(5mm)。
- カブトミジンコ
- 上述の2種と同属で、頭頂部が三角形に尖る。
- ゾウミジンコ
- 第1触角がゾウの鼻のように長く伸びる。
- タマミジンコ
- ぽっちゃりな甲羅を持つ。
- マルミジンコ
- 甲羅が丸く、頭部が細いくちばしのような形。
- ケブカミジンコ
- 甲羅にたくさんの毛が生えて、水草や泥に潜む。
- オナガミジンコ
- 縦長い楕円形で、尾部2本の毛が長い。
- ホロミジンコ
- 甲羅が猫背にように盛り上がり、透明の膜で全身を包む。
- ノロミジンコ
- 体長1cm程度の最大のミジンコ。体の各部位が長大。単に「ノロ」とも呼ぶ。
- オオメミジンコ
- ヘルメットのように突き出した頭部に大きな目を持つ。
人間との関わり
主にペットの魚などの餌や試験などに利用され、観賞用に飼育されることもある。
北アメリカでは、人為移入により侵略的外来種として定着したアジア原産の肉食性大型種がいて、当地の生態系や漁業に被害を与えている(在来の動物プランクトンを食い尽くし、魚が誤食して怪我をし、体の棘で釣り糸や漁網に引っ掛かるなど)。
関連タグ
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