概要
無甲目、ホウネンエビ科、ホウネンエビ属の甲殻類。
水の綺麗な水田に大量に発生するアノマロカリスじみた外見の奇妙な生き物。
水田以外では、河川敷や海岸などの水溜まりに生息する。
エビという名前通り、甲殻類に属する生き物だが、系統としてはエビよりもアルテミアなどに近い生き物である。体長は1.5~4cmほど。平均2cm。
緑色~褐色の体をもち、腹部を天に向け、無数の脚を小刻みに動かして水田を泳ぎ回る。水田の有機物や植物プランクトンを食すので、基本的に稲に害を及ぼす事はない。動きは素早く、捕らえるのは非常に困難。
夜間、水田に懐中電灯などで光を当てると集まってくる。
生息場所が干上がるまでの短い期間に成長、産卵し、産み落とされた卵は、次にその場所に水が溜まるまで何年も耐え続ける。オスはメスより顔がアノマロカリスに似ている。
ホウネンエビを漢字で書くと「豊年海老」となる。
これは、ホウネンエビが多く発生した年の水田は豊作になるという言い伝えによるもの。
おばけエビや苗きんぎょ、タキンギョとも呼ばれる。
天敵はカブトエビや魚、水生昆虫など。
カブトエビ・カイエビと共に、「田んぼの三大エビ」、「三大エビじゃないエビ」などと呼ばれている。
種類
ホウネンエビ
水田や水溜まり、干上がることがある池などに生息する一般的なホウネンエビ。
キタホウネンエビ
北海道石狩海岸砂丘の海岸林と青森県下北半島のむつ市と東通村の融雪プールに生息する。
チョウカイキタホウネンエビ
山形県鳥海の融雪プールに生息する
シレトコホウネンエビ
北海道知床半島知床五湖周辺の沼に生息する。
ナナイキタホウネンエビ
ロシア、ナナイの融雪プールに生息する
Branchinecta gigas
北アメリカに生息する10cmに成長する大型のホウネンエビ。他の生物を捕食する肉食性。
ブラインシュリンプ・アルテミア・シーモンキー
ホウネンエビモドキ科に属する近縁種。汽水~海水に生息する。