神の一目連
「ヒトツメノムラジ」とも呼ばれる多度大社の祭神の一柱。
江戸時代に庶民を中心として信仰された神であり、稲光や暴風雨をもたらす暴風神として畏れられたという。
1712年に刊行された「和漢三才図会」三巻『天象類』の“颶(うみのおおかぜ)”という項目と、1758年の「斉諧俗談」においては、“伊勢・尾張・美濃・飛騨では不時に暴風が吹くことがあり、これを俗に一目連といい、神風となす”という内容が記されており、一目連の名が旋風や突風、台風を象徴するものとして扱われている。
また、百井塘雨の「笈埃随筆」にも一目連に関する記述があり、
『伊勢、桑名の東に建つ多度山権現の摂社に一目竜の社があり、扉の代わりに御簾が掛っている。一目竜が外に出る時は雨や雷がしきりになり、門や窓からその様子を見れば、地方一帯の黒雲が屋根を擦らんばかりに走る。この神が出て行くと、波は穏やかで海上も荒れないと地元民は喜ぶが、他国の者はこれを嫌う。田畑が荒れ物が散乱するからだ。人はこの神を一目連と呼ぶのは間違いである。一目の竜である。』
という内容で、この話の通り多度山に住んでいた片目を失った龍神を祀ったものが本来であるともいわれる。
上述の多度大社では同じく一つ目の神である天目一箇神と同一視されている。
天目一箇神は天照大神の孫神で三上氏、凡河内氏などの祖神である。太陽神、風神、一つ目神としての性格を持ち、これは製鉄氏族の祖神であることを表していると考えられている。
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