ヒャクヤッパ
ひゃくやっぱ
第十八幕「侍襲名」に登場する無数の刃のような、刀の柄のような姿を持つアヤカシ。
『網剪』という妖怪の伝承のルーツとされている。
上述の姿をより詳細に説明すると、頭部から腰回りに掛けた上半身と、両肩から二の腕全体までが旋風のようにしなる刃で覆われており、まるで全身に包帯を巻いたミイラを思わせる外見である。頭部は半分がしなる刃の装飾に覆われていて片目しか見えないが、よく見ると顔も髑髏の様になっている。ついでに刃を咥えており、いかにも凶悪そうな印象だ。
そして両方の一の腕と腰から下の両脚の形も、まるで赤い刀の柄の様になっているのが特徴。
「群立千刃刀(むらだちせんじんとう)」と呼ばれる2本の刀で武装している。
性格はかなり好戦的で、テンションが上がると「ヒャッハァァッ!!」、または「ヒャハハハハッ!!」と狂気じみた雄叫びや笑い声を上げる癖の持ち主でもある。
また自身が刃のカタマリのようなアヤカシだからか刀剣を好み、愛用の「群立千刃刀」の二刀流を振り回して暴れまくる戦闘狂。
戦闘に於いては素早い動きで相手に襲い掛かり、全身の刀を自在に突き出す「全身刃(ぜんしんやいば)」と呼ばれる非常に危険な技を繰り出す。
全身刃は元より、装備している群立千刃刀もまるでヒャクヤッパとは別に独立した意志を持つ様に斬り掛かって来る。さらに死角に回り込んでも、不用意に近付けば全身刃に切り刻まれて返り討ちにされるのは必至であり、迂闊に接近するのは危険である。
こんな荒っぽい彼だが、現世に現れた理由は人間を苦しめるためではなく
前回倒されたイサギツネの仇であるシンケンジャーへの復讐。どうやら彼とは昔からの馴染みだったようだ。
人間を襲ったのもシンケンジャーをおびき寄せるためだけであり、仲間意識が希薄な上に人間が苦しむ様を見て楽しむ外道衆の中ではなかなか珍しいタイプと言える(他にはシタリが多少友好的な程度)。
前回倒されたイサギツネの行動と、それを焚きつけた骨のシタリに対してドウコクが腹を立てていると、突如「ヒャァッハーッ!!何人だろうがこのオレがまとめて叩っ斬ってやるゥゥッ!!」と叫びながら六門船に乱入。天井からぶら下がるススコダマ達をあっと言う間に全部斬り尽くしてしまう。
危うく巻き添えを喰らい掛けたシタリが迷惑そうに「ヒャクヤッパ!相変わらず物騒だねェ……!」と言うと、対するヒャクヤッパは天井に逆さでぶら下がってシタリに背を向けたまま、「あんたが使ったイサギツネはオレの古~い馴染みでなァ……」と前置く。
そのイサギツネを殺されたことで怨み言でも垂れるのかと思いきや、次の瞬間ヒャクヤッパは「イヤッハァ!!」と叫びながら一回転して床に着地するなり、大声で「そいつを殺られて黙っちゃいられねェ!行って来るぜ!!」とまくし立てた挙句、三度「イーヤッハァァッハァッ!!」と狂気じみた叫びを上げて三途の川へと飛び込み、現世に赴く。ヒャクヤッパが去った後、薄皮太夫は「……騒々しいね」と呟くだけであった。
そして井伏町に出現したヒャクヤッパは「ヒャハハハハッ!!」と狂気の笑いを上げながら、群立千刃刀の二刀流で街の人々を追い回す。そしてターゲットのサラリーマンの衣服を切り刻み、「つまらんな。死ぬか?」と言って刃を振り下ろそうとした所を獅子折神に妨害されると同時にシンケンジャーの5人が駆けつけ、上記の台詞と共に交戦。
全身刃による攻撃でシンケンジャーを寄せ付けない程の高い実力を見せ、レッド以外の4人を蹴散らすなり、「シンケンレッド!お前も味わえ!」と言って群立千刃刀を向けてレッドを挑発。
単身挑み掛かるレッドだが、ヒャクヤッパの全身刃を警戒して思うように戦えず苦戦。ヒャクヤッパはそのままレッドを近くの柱へと追い詰め、止めを刺そうとする。
だがすんでの所で水切れを起こし、「次は覚悟しとけ」とその場は撤退した。
その後、改めて現世に現れるとゴールドが正式メンバーに加わり、6人となったシンケンジャーと再戦。
「6人になったというのは本当らしいな!ナナシ連中!出会え!」とナナシ連中をけしかけて乱戦となる中、自身はレッドとゴールドの幼馴染の2人と対峙。
だが、自身の全身刃にゴールドが居合いで対応して来る為、肝心のレッドの方も最初の様に追い詰める事が出来ない。そしてそのまま2人の息の合ったコンビネーションで全身刃を砕かれたt頃へ、サカナマル百枚おろしとシンケンマル火炎の舞を同時に喰らって倒されてしまう。
その直後、二の目となり巨大化すると、一の目と同様にシンケンオーを全身刃で攻撃し苦戦させたが、シンケンオーが烏賊折神を侍武装してイカシンケンオーとなったことで形勢は逆転。烏賊槍ぶすまで全身刃を砕かれ、止めの槍烏賊一閃を喰らって爆散した。
モチーフは刃と刀の柄。そして名前の由来は100の刃(やっぱ)。
現代の伝承で語り継がれる『網切』と言う妖怪はハサミの様な手を持ち、網や蚊帳を切ってしまう化け物らしいが、ヒャクヤッパの無数の刃物がそのルーツになったと思われる。
前回の第十七幕から登場した梅盛源太/シンケンゴールドは、ヒャクヤッパの登場回である第十八幕にして正式にシンケンジャーのメンバーに加わる運びとなった。
声を演じた鈴木氏は昨年の『炎神戦隊ゴーオンジャー』でもドリルバンキの他、同年上映された仮面ライダー映画である『劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事』でクラウンイマジン及びパトカー無線の声を担当していた。
続く翌年の『天装戦隊ゴセイジャー』ではグレムリンのワライコ僧を演じる事になる。
侍戦隊シンケンジャー 外道衆 アヤカシ(シンケンジャー) 網剪
イサギツネ:仲の良い昔馴染み。
アミキリ(カクレンジャー):『忍者戦隊カクレンジャー』に登場した大先輩。
妖怪アミキリ:『手裏剣戦隊ニンニンジャー』に登場した後輩。
アミキリ(魔化魍):『仮面ライダー響鬼』に登場する、同じく網切繋がりのライダー怪人。
超冥獣リビングソード:4年前の劇場版に登場した、同じく全身刃の戦隊怪人。