ヤミオロロ
やみおろろ
「オレの息、甘酸っぱいよ~?」
第七幕「舵木一本釣」に登場する木霊伝承のルーツとなったアヤカシであり、その姿は「樹木のような、苦しむ人間の手の集まりのような」ものとされる。
その言葉通り、緑色の樹木で覆われているが、顔の周りにはオロオロと慌てふためく緑色の両手の意匠が見られ、更に胴体の真ん中には顔から下へと赤い髑髏が連なった外見である。両肩にもネックレスの様な注連縄の装飾が有るが、その両端も緑の手に支えられているのが特徴。
元は三途の川の泡から生まれたアヤカシであり、扇葉のような刃が複数に付いた剣「枝又尖扇剣(えだまたせんせんけん)」で武装している。
穢れに満ちた三途の川の泡から生まれただけあって「毒素の塊」というべき体質を持ち、その能力は単純に「全身から毒を吹き出しながら歩き回る」というもの。しかもその毒の危険度は非常に高く、人間が吸った場合は高熱で苦しんだ後に、数日で命を落としてしまうという恐ろしい猛毒である。
かつてヤミオロロが現世に出現した際には、その毒で多くの人々が苦しめられたとの事。さらにヤミオロロはいつ何時でもボーッとして捉えどころが無い性格をしており、どこから現れるか分からず出現すればその場に存在するだけで無差別に犠牲者を増やして行く。その姿はまさしく「生まれながらの外道」と呼べるだろう。
しかし、この毒は現世の海が持つ浄化作用とは相性が悪く、その為に海のエネルギーを操れる舵木折神の力で浄化する事が可能。かつての戦いでも舵木折神の力で毒を浄化して人々を助けたらしく、その記録が残っていたので池波流ノ介は舵木折神の捕獲を急ぐ事となった。
戦闘では上記の毒を撒き散らし、枝又尖扇剣を武器として振るう他、両目からも光弾を発射できる。加えて二の目では口から霧を吐いていたが、この霧も有毒なのかは不明。
六門船の底に引っ掛かっていたところを血祭ドウコクに発見され、ウザいという理由で現世に放り込まれてしまい、そのまま現世で人々を毒に侵して苦しめるべく行動する。
やがて舵木折神を捕獲する為に別行動中のシンケンブルー=流ノ介を除くシンケンジャーが駆けつけて交戦となるが、「オレの血、酸っぱいよ~?」と言って4人に自身の毒を吸わせる。
これによってシンケンレッド=志葉丈瑠達は変身が解け毒で苦しみ出してしまうが、その様子を見て満足したヤミオロロは暢気に「オレの足、臭いよ~」と言って撤退した。
その後は再び街へ繰り出すと、逃げ遅れた母子に対して「オレのヨダレ渋いよ~、飲む~?」と襲い掛かるも、丈瑠が毒に侵された身体を押して庇って救出。「一度吸えば二度も三度も一緒だな…!!」と気丈に振る舞う丈瑠だが、それでも毒で苦しみながらでは戦闘も上手くいかず、遅れて駆け付けた3人も最早モヂカラを使う事すらままならず、まとめてヤミオロロに圧倒される。
そのまま止めを刺そうとするが、小松という人物の助力によって舵木折神の捕獲に成功した流ノ介が駆けつけて毒を浄化した事で形勢が逆転。毒が全快した上に5人揃ったシンケンジャーの前に為す術も無く、流ノ介の水流の舞に怯んだところに烈火大斬刀・大筒モードに舵木ディスクをメインにセットして放つ舵木五輪弾を受け倒された。
その直後、二の目となって巨大化すると、シンケンオーに対して口から霧を吐いて応戦。敵の視界を奪って善戦するも、流ノ介が舵木ディスクから召喚した舵木折神の攻撃に怯み、更にシンケンオーが舵木折神を侍武装したカジキシンケンオーに圧倒され、最期は舵木一刀両断を受けて爆散した。
モチーフは杉と手と髑髏。名前の由来は毒だけに病み+オロオロ。
『木霊』は数百年の年を経た樹木が意志と霊力を持った妖怪とされ、その伝承はシンケンジャー世界においてはヤミオロロの見た目と歩き回る姿がルーツだと言われている。
『百化繚乱[下之巻]』にて、デザインを担当した篠原保氏は「『病原体を撒き散らす』という事で杉(=花粉症)をモチーフにし、『死』をイメージさせる為に髑髏も取り入れた」らしい。
声を演じた梅津氏は『激走戦隊カーレンジャー』にてNNネレンコ役で出演していたが、こちらも第7話で登場した怪人であり、尚且つブルーレーサー以外を戦闘不能に陥れている。ちなみに『高速戦隊ターボレンジャー』でかっとび暴魔ズルテン以降、スーパー戦隊シリーズで様々な怪人役を演じてきたが、2024年5月17日に死去したため本作が最後の出演となった。
海外版での名前はヤミロール。三途の川が臭くなった原因という設定になっている。
かなり自信家で、ハキハキとした喋り方になっている。