「地獄というものが本当にあるのか…あるのであればどれほどの絶望や嘆きなのか……それを味わいたいのでござります」
CV:堀川りょう
概要
三途の川の底から出現した謎の外道衆で、名前は「筋柄」ではなく「筋殻」。
「すじがらのあくまろ」と読むので覚えておこう。
初登場はストーリー中盤の第二十八幕で、単純な立ち位置は敵陣営の新入り幹部とでもいったところ。
だが、血祭ドウコク同様先代シンケンジャーとの交戦経験があるにも拘らずそのドウコクもシタリもアクマロの事はまったく知らず、彼が配下として率いているアベコンベ、ドクロボウ、クグツカイ、ハッポウズ、フタガワラ、スナススリ、ツボトグロの7名もやはりドウコク達の知らない顔ぶれというやけに謎の多い存在であった。
人物像
一人称は「ワレ」、二人称は「あんたさん」と見た目通り(人によっては陰陽師にも見えなくもない)の公家言葉で気取った話し方が特徴。
荒武者のドウコクに対して彼は冷静な策士という位置付けだが、戦闘で搦め手を用いたり、参謀・軍師として策を弄したりするのではなく、「水面下で工作を行って野望達成を目指す」という形で演出されていた。
外道衆における参謀ポジションとしては既にシタリがいたものの、彼が三途の川の増水・この世への氾濫という「外道衆共通の目的」のために立ち回っていたのに対し、アクマロは本性を巧みに隠し通し、「自分一人の目的のため」に行動していた(それも配下達でさえ彼の真の狙いは知らなかった模様)。同じ知恵者タイプでもその性質は大きく異なっているのだ。
蹴鞠や「削身断頭杓(さくしんだんとうしゃく)」という魚の骨のような大きな杓を武器として扱う他、手を巨大なツメに変えて敵を切り裂いたり、電撃を放って攻撃したり、特殊な紙を切って分身体の「切神」を生み出したりとかなり多芸。
さらに巨大戦ではサムライハオーの必殺技を受け止めて投げ返すほどのパワーを見せており、外道衆の有力者だけあって戦闘力はかなりのもの。
作中での活躍
三途の川から浮上した後に六門船を訪れ、ドウコクに対して六門船入り(=実質傘下)を願うが「口だけってのが一番気に入らねェ」と手打ちにされる。
しかしまったく動じず反撃することもなかったため、ドウコクは彼の申し出を了承した。
こうして船に迎え入れられたアクマロは早速現世へ赴きシンケンジャーと交戦。
5名揃っていても翻弄するほどの圧倒的な力を見せつけ、彼らを追い詰めたアクマロはシンケンピンクにトドメを刺そうとするが、窮地に駆けつけたシンケンゴールドによって阻止され失敗。
そのままゴールドと渡り合うも、出撃前にドウコクから受けたダメージが予想以上に大きかったようで撤退した。
ノサカマタや切神もこの時登場しており、レッドはテンクウシンケンオーで巨大切神を、残る5名はアクマロとの白兵戦という珍しい演出がなされた他、切神はテンクウシンケンオーを合体解除に追いやるほどの強さを見せた(切神戦はシンケンオーに代わってダイゴヨウが参戦し、必殺技の秘伝ディスク乱れ撃ちで倒された)。
その後は薄皮太夫や腑破十臓を傘下に引き込んだり、自身の配下を送り込んだ際も何やら別の企みを持っていたりと「独自の考え」を持っている描写がしばしば見られたが、アクマロは巧みにそれを隠し通し、表向きとはいえ「三途の川の増水」を目的として行動していた。
- 配下達を通して「この世の地獄」を作り出そうとする
- 三途の川を増水させるよりも直接この世から引き込む方が早いと、賽の河原を再現した作戦(ナナシ連中に子供達をさらわせ、「石を高く積めば親の元に帰れる」と吹き込んだ上でそれを都度ナナシ連中に邪魔させる)で嘆きを引き出し、「スキマ」から三途の川の水をあふれさせようとする
- とある島で護摩のような儀式を行い、互いを疑心暗鬼で争わせる(いわく「人の世の最下層」)
など。
「賽の河原作戦」はドウコクも「まァいい…三途の川の水がありゃオレもこの世へ乗り出せる」と評してはいたものの、直後に「十臓や太夫が関係あんのか?」と探りを入れられる。
これに対して「お見通しとはさすが… 腕の立つ者が必要になる時もござりますれば、どうかお許しの上、お認め下さりませ」と受け流すも、この時に「……これからはそいつを最初に言うってのを覚えておけ」と足に刀を突き立てられる制裁を受けた。
第四十幕では破損した薄皮太夫の三味線を持ってくるようドウコクに命じられ、「素直に渡すか怪しい」と監視のため同行したシタリと共にクロイワ海岸に出現。
しかし、ここに来てとうとう本性を見せ、シタリに不意打ちを仕掛けるもかわされる。
「この三味線を渡さぬ言い訳を考えてましたが、思いつきませんで……ドウコクさんを欺くのもこれまでということで」
その後、「真の狙い」のために海岸にあった特定のポイントへ向かい、三味線を投げ込もうとするが、そこにシタリの移動を感知したシンケンジャーが駆け付ける。
ナナシ連中を次々とけしかけ足止めをしている隙に目的を果たそうとするが、三味線から響く新左の怨嗟の声を聴きつけて事態を察知した薄皮大夫が現れ行く手を阻まれてしまう。
太夫「アクマロ……キサマ何のつもりだ! わちきの三味を直すのではなかったのか!」
「実はワレが欲しかったのは十臓さんと、極上の苦しみが詰まったこの三味だけでございます。あんたさんのおかげで上手くいきました」
激昂する太夫の攻撃を三味線を盾に止め、さらに蹴鞠攻撃と雷撃で圧倒し「その悔しい気持ち、たまりませぬなぁ」と嘯きつつとどめを刺そうとするが……。
ドウコク「アクマロ、テメェェェェェェッ!!!!」
空が曇り、雷鳴と共に響く咆哮。この事態に怒り狂ったドウコクがシタリの制止を振り切って現世に現れたのである。
完全に予想外の事態を前に狼狽する間もなく、眼下のシンケンジャー共々斬撃で吹き飛ばされ、さらに妖術の追撃を受けて三味線を手放してしまう。
「よもや現世に出て来るとは…! ワレとしたことが少々早まりましたか!」
たまらず目的達成を諦め、捨て台詞を残して跳び去って行った。
その目的と末路
第四十一幕にて判明したアクマロの真の目的は、なんと地獄を出現させることであった。
配下を通して「この世の地獄を作る」としていた彼だが、物の例えでも"この世の地獄"でもない、正真正銘の「地獄」を呼び出そうとしていたのだ。
彼ら外道衆は決してあの世へ行くことができない存在であり、自ら地獄へ赴くことは叶わない。
そこでアクマロが仕掛けたのは、この世をも裏返す禁断の邪法「裏見がんどう返しの術」。
人々の苦しみ、嘆きを六ヶ所の大地に楔として打ち込み、一直線のその中央をこの世の者でもあの世の者でもない者(=はぐれ外道など)が斬り裂くことでこの世に地獄が現れるのである。
その計画の要として目をつけたのが、まさにはぐれ外道の腑破十臓であった。
彼はまだ人であった二百年の昔、死病に侵され余命幾ばくもない中で人斬りに身を堕とした。
それを見ていたアクマロは現世へ赴き、十臓を止めようとしていた妻を殺害。その魂を妖刀「裏正」に変えて十臓に手渡した。
「さぁ…これで満たされぬ器、思う存分に……」
そうして術の発動に取りかかるも完成を急ぐ事はせず、計画に着手したのは実に二百年もの月日が経った現代。
その二百年の間川底に沈んでいた経緯は不明なままだったが、最初に実行役のアベコンベを、続けて囮役のドクロボウ、クグツカイ、ハッポウズ、フタガワラを差し向け、彼らには術の発動とは無関係な地点を襲わせてカムフラージュすることで真意を悟らせないよう仕向けていた。
それが功を奏してか、シタリがアクマロの野望に気づいたのは術が完成する直前のことだった。
なお同じはぐれ外道でも薄皮太夫の事はアテにしておらず、彼女を味方に引き入れたのは三味線に込められた嘆きを楔に利用しようとしていたに過ぎなかった。
シタリ「やっとわかったよ……お前さん、地獄が見たいと言ってたね。……仕掛けてるのは "裏見がんどう返し"…そうだろう?」
「遅かったよ お前さんが目眩ましにあちこち襲ってなきゃねェ…。で、分かってんだろうね? そんな術を使えば…人の世はもちろん! 下手すりゃ三途の川もアタシ達も消えちまうかもしれないってのは!!」
この世に地獄を呼び出せば当然この世そのものが崩壊する。さらに彼らアヤカシは元々三途の川の穢れから生まれた存在であり、この世に生きることもあの世に行く事も叶わないため、三途の川が無くなればそのまま滅び去る他ない。
早い話がアクマロは「自分の快楽(趣味嗜好)のためだけに」すべてを滅ぼしうる凶行に着手していたのである。
だがそれほどのリスクすらも「この目この身で地獄を味わえるならば些細なこと……」と言ってのける。
シタリ「些細だって…!? まぁいいさ、裏見がんどう返しはそう簡単な術じゃない… 第一、外道衆でも人でもない者を使わなけりゃ… (…腑破十臓……!!) お前さんまさか……!!?」
「そう、仕掛けは二百年も前より……」
シタリ「あの男がお前さんに協力するもんかね…」
「致しまする。十臓さんの泣きどころは……ワレの手に…!!」
そのままシタリを突き飛ばして出撃、裏正の修復が完了したのを確認するとこれを回収。
そして「絶痛虫」をばら撒いて人々を苦しめるツボトグロとそれを食い止めるために駆けつけたシンケンジャーが交戦しているところに割って入り、楔を打ち込む時間稼ぎのために自ら足止めを買って出た。
丈留「アクマロ…!! 何をしようとしてる!? あの直線の意味はなんだ!!?」
「ほう…あんたさん達も気づきましたか」
「今にわかります…! この地に最後の"楔"が打ち込まれるのももうすぐでござりますれば。人の"苦しみ"、"嘆き"、"悲鳴"で打ち込む楔……!!!」
「人の嘆き、苦しみを土地に直列に刻み付けたとき…それが楔となって、この世に大きな"スキマ"を作ります。その中心となる地を一気に斬り割けば、人の世が裏返り…地獄が顔を見せまする……!! うぅぅぅはははははは! あっはっはっはっはっは……!!!」
ツボトグロはレッドの外道覆滅で倒されるが、二の目となって復活した直後に最後の「楔」が打ち込まれたことで術の準備が整い、楔を打ち込んだ地点からは凄まじい妖気が噴き出しはじめる。
「十臓さん…きっと来ていただけるものとお待ちしておりまする」
「シンケンジャー…もう止められはいたしませぬゆえ どうか…邪魔立て無用……!!!」
続く第四十三幕。
計画の成功を確信したアクマロはそのまま「地獄のスキマ」の中心となる地へ赴き、しばらくして妖気の奔流が収まるとその跡に謎の石積が出現。
そこにダイゴヨウを持って現れた丈留、ことは、茉子と交戦に入るが、スーパーシンケンレッドの強襲をいとも簡単にさばいてかわし優勢を保つ。
そして、現れた十臓に裏正を渡すと、
「おお…ご家族も喜んでる様子…… さあ早く、魂の解放を…そしてワレには地獄を……!!」
と、最後の仕上げとして石積みを斬り裂くよう急かし、止めようと放たれた「外道覆滅」も「ワレの望みの邪魔はさせません!」と跳ね返してシンケンジャーを壊滅させる。
急かされた十臓は裏正を振りかぶるが、次の瞬間一閃したその刃はアクマロを薙ぎ払っていた。
「じゅ、十臓さん……なぜぇ……っ!?」
十臓「裏正の正体など、初めて見たときから気づいていた…」
十臓は裏正が自身の妻の魂でできた剣であることも、妻がなお己を止めようとしていた事も知っていた。
そして、その上でなおも斬り合いの快楽に取り付かれた彼は、「はぐれ外道」を超えた真の外道に成り果ててしまっていた。
「では……家族と知りながら、200年も裏正で人を……!!」
十臓「外道に堕ちるとはそういうことだ。もはやコイツも一蓮托生……!!!」
追い打ちをかけるように、十臓は裏正でアクマロを刺し貫いた。
十臓「元の切れ味だ…礼を言っておこう……」
薄皮大夫「ウッフフフ……アクマロ。人でないお前が、人の情を恃みにしたのが失敗だったな」
「十臓さん…あんたさんこそ本当の…外道でござります……!!!」
十臓「……だとすれば、俺にやらせてもムダだったというわけだ」
そうして当て付けのごとく石積を斬り裂く十臓。
術の発動は失敗し、開きかけていた地獄のスキマも次々と消えていった。
もしもアクマロの思った通り、十臓がはぐれ外道であればこの時点で裏見がんどう返しは成立していた。だが何も起こらず失敗に終わった、その現実こそ、アクマロの計画が最初の仕込みの時点で失敗していたことの証明だった。
「ワレの……ワレの何百年もの思いが……思いがあああああ!!」
長年をかけた計画があえなく瓦解したアクマロは激昂し、「もはや…!!望みもなにも!!」と辺りに電撃を放って暴れはじめた。
しかし裏正で斬られたダメージが大きかったのか、シンケンジャーの繰り出した「外道覆滅」と「烏賊五輪弾」の同時攻撃で倒されてしまう。
二の目になった巨大戦では完全にヤケを起こし、「せめてあんたさん達だけでも地獄へ……!!」などと狂乱しながら切神をけしかけるが、これをシンケンオーとダイカイオーミナミに止められている間にモウギュウダイオーとダイゴヨウと交戦。
ダイゴヨウを一蹴し、モウギュウダイオーも瞬間移動を駆使して翻弄するも、切神を片付けた残りのメンバーが合流しサムライハオーが合体。
それでもモヂカラ大団円を正面から受け止めて投げ返すほどの粘りを見せたが、最後にはキョウリュウサムライハオーの十二折神大侍斬りを受け敗北。
「この痛み…見えた!これが…これがぁ!!アハハ、アハハハハハハッ!!!」
一瞬で真っ二つに両断されたアクマロだが、今際の際に自らが望んだ「地獄」を見い出し、歓喜の声を上げながら散っていき、最期を迎えた。
余談
- 外道衆の異端者
他の面々がこの世に執着するのに対し、あくまでもあの世(地獄)に執着していたのはアクマロだけ。
地獄にこだわる理由を「人の世では味わえぬ"極上"の苦しみと嘆きを…… この身、この目で感じたいのでござります」と嬉々として語っているように、彼もアヤカシらしく人々の苦しみ・嘆きを糧としているのは間違いない。
だがそのためにこの世に侵攻していた外道衆にあってすら「地獄をこの目で見てみたい」などという価値観は異端、危険思想の類いでしかないらしく、彼の野望を知ったシタリも「こいつは頭がおかしいよ…!!」と戦慄するほどであった。
もっとも、「地獄そのものを呼び出せば三途の川も消滅しかねない」という外道衆の死活問題に直結するのだからそれも必然というものだが……。
- アクマロの誤算
彼の綿密な計画が破綻したのは太夫いわく「人でないお前が人の情を頼みにしたのが失敗だった」とのこと。
実際、修復した裏正を取り出した際には「これを知ったらどのような顔を見せてくれますやら……」と独白し、十臓に裏正を返す際にも
「この裏正…あんたさんの家族で作りました 最期まで人斬りに走るあんたさんを止めたいと願って亡くなったご家族で」「その裏正のためにござります "裏見がんどう返し"に使えば、閉じ込められた魂が解放されまするゆえ」
と真相を明かす(そして遠回しに裏正≒妻の魂を人質にするような)形で揺さぶりをかけていることから、おそらく十臓の嘆きと絶望を引き出しつつ「裏見がんどう返し」に協力せざるを得ない状況にする心算だったのだろう。
だが先述のように十臓は最初から真実を看破しており、このカミングアウトが悪手だっただけでなく「(結果的には)彼を計画の要としたことそのものが最大の誤算だった」とも言える。
- 差し向けた順番
アクマロが差し向けたのはアベコンベ→ドクロボウ→クグツカイ→ハッポウズ→フタガワラ→スナススリ→ツボトグロの順だが、クグツカイとハッポウズの間にはクサレ外道衆のアゼミドロ、フタガワラとスナススリの間にはシタリが送り込んだソギザライ→モチベトリ→イクサズレとアクマロとは関係ないアヤカシが混ざっている(この他ハッポウズとフタガワラの間には自身が参戦、切神も登場)。
- ちなみに
アクマロは現在のシンケンジャーに対して
「これはおかしな…。かつてシンケンジャーと言えば、強く手応えがあったような……ああ、われだけでは本気を出してもらえぬのでござりますな」
などと皮肉じみた批評をしているが、彼の配下のアヤカシはフルメンバーではなくシンケンジャー1~2人に敗れている。
- 幹部達とのアヤカシ関係
元々絡みのなかった脂目マンプクは不明だが、最初から中立寄りの十臓や薄皮太夫はなんとも思っていない様子で、ドウコクも下記の経緯を経て「良いだろう、好きにしな」と様子見とも一応の信用ともとれる態度を示した(よく思ってはいなかったようだが、「まあ適当に遊んでるうちは好きにさせとけ ……遊んでるうちは、な」と静観していた)。
一方でシタリはアクマロをまったく信用していないどころか相当嫌いだったようで、「イヤな奴」とか「アクマロの出しゃばり具合と来たら……」と評したり、(鉄砲隊を野蛮だという彼に対して)「お前さんだって口から空鉄砲ばかりじゃないか… これからは飛び道具の時代だよ」、「またお前さんの"地獄ごっこ"かい… よく飽きないねェ、感心するよ」などとしばしば皮肉っていた。
- 顔見せのやり取り
「ドウコクさん、御機嫌よう。われは筋殻アクマロと申しまして、長く三途の川の底におりました者… 力の足りなさ、不甲斐無さ、とても水面(みなも)に浮かぶ事など叶いませなんだが…此度のドウコクさんの夏のお力でようやくこの程度の力を……」
と口上を述べつつ、光弾を撃って船外にいた大勢のナナシ連中や大ナナシを一掃して力を示し、
「ドウコクさん、われをこの船にお迎え下さりませ……力を頂いた御恩奉じ、必ずやさせていただきます」と傘下入りを願う。
しかしドウコクは抜刀するや「オレは口だけってのが一番気に食わねェんだよ!!」と左肩を打ち、アクマロの出方を探る。
それでも微塵も動じず、
「テメェ…避けられたハズだぜ」と言うドウコクに対し
「お手向かいは致さぬ証……どうぞお迎え下さりませ、人間共を死ぬ程哭かせてご覧に入れます。…身も世もない血の涙……たまりませんなぁ」
と言ってのけた。
- 年末商戦
ツボトグロと戦った第四十二幕、アクマロを倒した四十三幕はちょうど年末商戦の時期に辺り、そのためなのか彼らとの巨大戦はかなりの豪華演出がなされた。
まずツボトグロ戦では兜折神と舵木折神、虎折神を次々侍武装して大ナナシ連中を蹴散らし、大ノサカマタとツボトグロにはテンクウシンケンオー、トドメはダイカイシンケンオー&イカテンクウバスターが登場。
アクマロ戦では彼らはお留守番だったが、代わりにシンケンオー&ダイゴヨウ、ダイカイオー、モウギュウダイオー、そして満を持してサムライハオー→キョウリュウサムライハオーと、2話使ってのオールスター登場と相成った。さらにモヂカラ大団円すら投げ返したアクマロに対抗するため恐竜折神を侍武装するシーンからはなんと「侍戦隊シンケンジャー」(TVサイズ)が流れ、まるでラスボス戦さながらの迫力。
シリーズお馴染みの手法ではあるが、2009年放送回のラストを締め括るにふさわしい演出であった。これによりアクマロは2000年代の最後に倒された幹部クラスの戦隊怪人となった。
- モチーフ
大将のドウコクやクサレ外道衆の脂目マンプクを含め、幹部たちは七福神がモチーフのひとつになっている。彼の場合は恵比寿で、肩にはシャチホコの意匠も見られる。
恵比寿はタイを抱えているので、シャチホコはおそらく魚繋がり。常に不気味な笑みを浮かべた表情は「恵比寿顔」からだろうか。ちなみに名前の由来は「藤原氏」と「筋と殻を煮たら灰汁が出た」というイメージ。
- 中の人ネタ1
声を演じた堀川りょう氏は本作がスーパー戦隊シリーズ初出演であり、特撮出演としては『テツワン探偵ロボタック』のスピーダム役から11年ぶりとなる。
また、堀川氏は「銀河英雄伝説」のラインハルト・フォン・ローエングラムと「名探偵コナン」の服部平次役などで知られているが、後年の舞台版銀英伝でラインハルトと実写版コナンで平次を演じたのは丈瑠役の松坂桃李氏であった。
- 中の人ネタ2
堀川氏は子役時代に『銭形平次』や『妖術武芸帳』等の時代劇ドラマに多数出演しており、本作のモチーフの1つである『水戸黄門』では第3部のゲスト子役・三吉を演じている。
『セラータ』という名前で登場。吹替は最上嗣生氏が担当し、サムライレンジャーのメンバーであるケビン/ブルーレンジャーの吹替も担当する。
原典と違う点は、瀕死の重傷を負ったデッカー(腑破十臓)の記憶を消して半分ナイロックにし、婚約者のダユウ(薄皮太夫)を「デッカーを救う」と騙してナイロックに変えた張本人という設定が付けられている。
関連タグ
侍戦隊シンケンジャー 外道衆 血祭ドウコク 薄皮太夫 腑破十臓
ハイネスデューク_ウラ:『百獣戦隊ガオレンジャー』に登場した公家繋がりの幹部怪人。登場期間が4ヶ月間、体色が緑色、策略家である他に、同じ組織のメンバーを利用して自身の野望を叶えようとするも、最後はその人物にしてやられたという点が共通している。