概要
第十一幕から登場する。
外道衆の拠点・六門船に住み着いているススワタリのような小さなアヤカシ達で、六門船を大きく揺らすと天井から糸にぶら下がって大量に落ちてくる。敵側のマスコットポジション。
外見は黒い饅頭のような本体に黄色い毛が生やし、赤い目と大きい口をしている。知性は動物並みで他のアヤカシのような戦う力も無く、いつも無邪気な声でケタケタ笑い、糸にぶら下がって揺れている(その際にぽよんぽよんという音がする)。相手の言葉や語尾を真似する事もあり、骨のシタリの「やなやつだねぇ~」を真似した「ヤナヤツダネェ~」は特にかわいい。
他に「ランラン」と鼻歌を歌う事や、薄皮太夫の三味線の音色を真似る事もある。
立ち位置的には一応は敵なのだろうが、通常のアヤカシ達のように現世で暴れるような凶暴性も力も無く、多少やかましい以外は人畜無害な存在であり、幹部からもただの動物のように扱われている。その一方で力が殆ど無い為か、他のアヤカシのように現世に出ても水切れを起こす様子はない(あるいは単に描写外で薄皮太夫が三途の川の水を調達して与えていたのかもしれない)。
薄皮太夫が血祭ドウコクによって三味線を破壊され、ドウコクの元を離れた際にある一匹がドウコクの癇癪で現世に放り出され(その際に「あーっ!」と言った)、現世の川を流れていたところを薄皮太夫に拾われ、傷心状態の太夫の話し相手として行動を共にする事になる。
太夫の前でも無邪気に笑い彼女の三味線の音色を真似しており、それが彼女にとっても慰めになっていたのか、太夫が三味線を捨ててドウコクに吸収される事を受け入れた際に逃がされる。
しかし、彼?の方も太夫への情を抱いていたらしく、逃げる事なくその場に留まり「ダユウ~ダユウ~」と泣き続けていたのだが、その後は無情にもドウコクによって踏み殺されて消滅した。
この場面のドウコクは、あくまで三途の川に引き返す際に偶然踏み殺したに過ぎず、ドウコク自身はその事に気付いてすらいなかった。太夫を弔う為に彼女の打掛を持ち帰りながら、その道中で太夫が助けようとした忘れ形見を気付く事すらなく踏み殺すという、アヤカシという存在の無情感を引き立てる場面となっており、何とも言えない後味の悪さを残している。