「はぁ……漸く上がって来れた。早く啜りたいよぉ!人の命を!それも“甘い”のを~!」
データ
【身長】一の目・195㎝→二の目・46.7m
【体重】一の目・81㎏→二の目・20.3t
概要
第二十二幕「殿執事」に登場するたくし上げた布のような、蛾の模様のような姿を持つアヤカシであり、妖怪『一反木綿』伝承のルーツとされている存在。
縦にのたくった布がそれぞれ頭部、胸部、そして股間の辺りを覆ってそのまま余った部分が裾になった外見をしている。顔は布から現れた鋭い牙を覗かせる口があり、よく見ると赤い触角のような物が生えている。正面から見ると白く見える布の部分も、その裏側は血のように赤くその両側に目がある。
まるでパズルのピースか脳味噌を思わせる不気味な模様が目につき、蝶の羽根の形をした両肩と両腕、そして布で覆われていない大腿部の付け根にも同じ模様とカラーリングが見られる。尚、大腿部から下の両脚は白い。さらに人に取り憑く時や移動する時には白い布のような姿に変身できる。
先端から光線を放てる「蚕糸方天戟(さんしほうてんげき)」と呼ばれる斧で武装している。
人間を愛する者の命を「甘い」と嘯き、取り分け愛情が芽生えたばかりの気持ちを抱いた人間の命を好む偏食家。獲物となる人間を見つけると、そのターゲットが身に着けている衣服に取り憑き、命を啜い続けた末に食い殺してしまう。一度取り憑くと引き剥がす事は絶対に不可能だが、自身は服を介しながら気持ちに張り付いている為、宿主の愛情が冷めて無くなると強制的に剥がされる。
とはいえ、あくまで一個人に取り憑いてその魂を吸う事しかできないアヤカシであり、しかも当人が失恋という悲しみを背負うと取り憑けなくなるという、人間の悲しみで三途の川の水を増やすという外道衆の目的を考えると、真逆とすら言える程の不適応な能力である。
三途の川から上がれるだけの力をようやく得たばかりなのもあって、戦闘力もお世辞にも高いとは言えず、骨のシタリからは「三途の川の水量を増やす任務の役に立たない」と邪険に扱われている。
しかし、劇中では前回のササマタゲに続き、血祭ドウコクの不在を良い事に単独行動に走る形で出撃する。
劇中での活躍
血祭ドウコクの不在を良い事に六門船へ勝手に上がってきて姿を現すと、シタリからの評価を他所に人の命が啜りたい一心でそのままこの世に侵攻。スキマセンサーの反応を受けてシンケンジャーが駆けつけるも、ナナシ連中をけしかけて自身はそのどさくさに紛れて逃走するだけだった。
その後、花織ことはに恋心を抱く財閥の御曹司の松宮義久が目に留まるや、「あった!すすりたくなる甘い命!誰かを好きになったばっかりに...」と言って取り憑き、彼の命を啜るが、玉の輿狙いで打算的に近づいただけの女を演じることはの芝居によって、松宮の愛が冷めてしまった為に命の味が不味くなり、さらにそのまま服から引き離なされてしまう。
「お前!わざとこいつの好きな気持ちを消したな!」と怒ったウラワダチは、再び憑依する隙を与えまいとその場に駆けつけた志葉丈瑠とことは以外のシンケンジャー四人と交戦。蚕糸方天戟からの光弾で四人を攻撃するが、そこへシンケンレッドとシンケンイエローが加勢する。
そうして、イエローが放ったシンケンマル猿回しに怯んだところへ、レッドとイエローの2人が構えて放った虎五輪弾を喰らって倒される。
その直後、二の目となって巨大化すると、大空ナナシ連中をテンクウシンケンオーにけしかけて自身は海老折神を攻撃。海老だけににエビ固めを掛けるも、烏賊折神の烏賊墨砲に怯んだ隙にイカダイカイオーへの侍合体を許してしまい、最期は槍烏賊突貫を受け爆散。
大空ナナシ連中も、テンクウシンケンオーに一掃されたのだった。
余談
モチーフは布と模様の他、蛾も含まれている。名前の由来は裏の轍(わだち)模様。
現代の伝承では『一反木綿』は、名前の通り一反(約12m)の長さのヒラヒラと漂う木綿で出来た布の化け物であり、その布のような身体を使って人間を絞め殺すとされている。シンケンジャー世界ではウラワダチが移動や服に取り憑く際に変身する布のような姿や、服に取り憑いて人間の命を吸う時の様子が人伝いに伝聞され、これらの伝承のルーツになったとされている。
声を演じたふくまつ氏は今作がスーパー戦隊シリーズ初出演となった。
関連項目
侍戦隊シンケンジャー 外道衆 アヤカシ(シンケンジャー) 一反木綿
力ずくで愛を奪うなんざ、モテねぇ野郎のすることだぜ!:彼の行動はまさにそれ。
イッタンモメン(カクレンジャー):『忍者戦隊カクレンジャー』に登場した大先輩。
イッタンモメン(魔化魍):『仮面ライダー響鬼』に登場する一反木綿繋がりのライダー怪人。
妖怪イッタンモメン:『手裏剣戦隊ニンニンジャー』に登場する後輩。
王子(ボウケンジャー):『轟轟戦隊ボウケンジャー』に登場した怪人で、こちらは自らガラスの靴に化けて自身を履いた女性を毒牙に掛けた。
ケサランパサランのペサラン挫:次回作の怪人で、人間の愛情を喰らう繋がり。