「だってアタシたち悪党だもん」
概要
脚本家のポール・ディニ(Paul Dini)とアニメーターのブルース・ティム(Bruce Timm)によって生み出された。
初登場は1992年のテレビアニメシリーズ『バットマン・ザ・アニメイテッド・シリーズ』(Batman: The Animated Series)、コミックでの初登場は1999年の『Batman:Harley Quinn Special』。
アニメ版からの逆輸入キャラクターながら、90年代に初登場したバットマンのキャラクターの中で断トツの人気を誇る。
pixiv内では略称の「ハーレイ」のタグも多い。
プロフィール
本名:ハーリーン・クインゼル(Harleen Quinzel)
頭髪:ブロンド
目:碧眼
身長:170センチ(5'7")
体重:52キロ(115lbs.)
ゴッサム・シティの奇人ジョーカーと共に数多くの犯罪活動を行う専業犯罪者。
かつてはアーカム・アサイラムに勤務していた精神科医の一人に過ぎなかったが、ジョーカーの歪んだ精神構造を解こうと研究するうちに魅了され、恋に落ちてしまう。ジョーカー脱走の手助けをしたことにより医師免許を剥奪され、更に精神異常と診断された彼女は、ジョーカーを模倣して道化師の姿をしたヴィランと化し、ジョーカーと組んで犯罪を繰り広げるようになった。
ジョーカーへの愛が行動原理となっており、彼を“Puddin”(プリンちゃん)という愛称で呼んで慕う。それに対しジョーカーが"Don't call me Puddin."(プリンちゃん言うな!)と返すのもお約束。タッグを組んでバットマンやロビンを幾度となく追い詰めている。
しかし、ジョーカー自身は彼女のことを基本的に疎んでおり、非情な扱いをすることもしばしばで恋愛面に関して言えばハーレイからの一方通行もいいところである。たまに彼女のことを気遣うこともあるが(入院した彼女の元に「早く元気になれよ」とメッセージカードを贈るなど)、ジョーカーの性質上、それが何処まで本気かは怪しい。まさに付かず離れずと言った所である。
強い愛情はそのまま弱点ともなっており、彼のためを思って余計な行動に出て痛い目を見ることが多い。また、バットマンがジョーカーの苦痛の原因であると考える彼女は、何よりもバットマンの死を望んでおり、たまにジョーカーの思惑を超えて暴走する。バットマンを殺さないでおこうとするジョーカーのポリシーを理解できないために彼と衝突してしまうこともある。
他のヴィランではポイズン・アイビーとよくつるんでいる。人間嫌いのアイビーにとっては数少ない友人だが、一緒に犯罪を行うとだいたいハーレイの無茶やドジでエラい目に遭うため、よく衝突している。スーサイド・スクワッドの加入後にはデッドショットと組む事が多くなり、微妙な関係になっている。
近年では人気の高まりによってジョーカーのサイドキックという立場から、独立したダークヒーロー的な立ち位置でコミックやドラマ、映画などの主役を張るまでになっている。
なお、コミックおよびマーゴット・ロビー演じる実写映画版ではジョーカーとの関係は破局した事になっている。
まぁ、女性に人気が有る女性キャラが「頭のおかしいDV男と共依存関係に有る」なんて設定なのは、商業的にも倫理的にもマズい要素しか無いので仕方ない。
能力
特にスーパーパワーの類を持たないただの人間だが、運動能力は超一流。軽業の達人であるキャットウーマンに勝るとも劣らぬ高い身のこなしを誇る。
また、ジョーカーと悪事を重ねてきたことでやたらケンカ慣れしており、暴力や殺人に対する精神的なリミッターもブッ壊れてるため、無抵抗の人間の頭に野球バットを振り下ろすことに何の躊躇も無く、荒事にも滅法強い。というか単純な殴り合いであれば、頭脳労働専門のジョーカーよりもおそらく普通に強い。
メインウェポンは巨大なハンマーやバットだが、銃器など他の武器の扱いもそれなりに長けており、戦闘能力は常人ヴィランの中では実はけっこう高め。
上記の記述を見ればわかる通り、ふざけた見た目と基本アッパラパーな普段の言動とは裏腹にとんでもない高学歴(最低でも大学の医学部卒)であり、実写映画では酒に酔って「これでも博士号持ちだ」と愚痴るシーンも有る。
容姿
アニメ
菱形の模様のついた赤と黒の道化師の衣装、白塗りの顔にドミノマスクを付けている。
素顔のときはラフな服装でブロンドの髪をツインテールにしていることが多い。
インパクトのある衣装だからか、別の容姿でハーレイが出る作品でも、かつてのコスチュームとして回想や物置に登場するなどの小ネタで扱われたりもする。
コミック
キャットウーマンやポイズン・アイビーとの日々を描いた『ゴッサム・シティ・サイレンズ』のほとんどは私服姿のラフな恰好で登場している。ピカチュウに似たキャラもののTシャツを着ていたことも。
スーサイドスクワッドに加入した頃は髪色が赤と黒になり、コスチュームも赤と黒を基調にしたビスチェやホットパンツになった。その後は両端をピンクとブルーに染めた金髪に戻り、実写映画はこの時期の設定を基にしている。
また、この頃に白塗りメイクではなく、ジョーカーと同じく化学薬品のタンクに落ちて全身の肌が白くなったという設定に変わった。
アニメシリーズにおいての誕生秘話を描いたコミックが、「マッドラブ」。
アーカムにインターンとしてやってきたハーレイが、ジョーカーと出会い恋に陥った経緯を描いている。
ジャイブから日本語版が発売された「ハーレイ&アイビー」では、ポイズン・アイビーと組んで、自分たちの映画を撮影している。
正確には、映画会社が元から撮影していたところを、自ら乗り込み乗っ取ったもの。映画はクランクアップしたが最低の出来。しかし公開されたらなぜかヒットし、ハーレイはアーカム内で「スティーブ」と名乗る者からプリスケ(鳥の胸肉サンド)を送られ、電話で話し合う仲になっている。
実写版
金髪のツインテールにコスチュームは赤と青のジャケット、ホットパンツ、網タイツ、スニーカーハイヒールなど。ジョーカーによる拷問シーンで短時間ながら道化師の衣装姿も登場している。
破れたシャツ・ベルト・ホットパンツの組み合わせはバンド「ブロンディ(Blondie)」の女性ボーカルのデボラ・ハリー(Debbie Harry)から影響を受けているとか。
後述のスピンオフでは衣装が一新されている。
映画
DC Extended Universe
DCを代表するヴィランが一堂に会するコミック「スーサイド・スクワッド」、及びその映画化作品にももちろん登場する。
実写映画ではこれが初登場。演じたのはマーゴット・ロビー。日本語吹替は東條加那子。
色白な顔立ちとそこに派手なフェイスペイントを施し、さらにはホットパンツに網タイツ、ショートブーツというパンクファッションのような出で立ちになった。そのため、一見するとコギャルなどの不良少女に見えなくもない。
日本では、予告編でこのキャッチーな姿のハーレイ・クインが登場すると、「何この子かわいすぎ!!」と大きな評判となり、結果、pixivでも「ハーレイ・クイン」で検索するとこの『スーサイド・スクワッド』版が多数を占めるまでになっている。
このことを受けてか、日本国内では「史上最強の悪カワヒロインと10人の悪党たち」「ハーレイ・クイン率いる最凶"悪党"たち」と、ハーレイがメインであるかのような宣伝が行われている。(ちなみに、この映画を撮ったエアー監督はハーレイ・クインの映画にするつもりだったと述べており、ハーレイ・クインメインの宣伝は図らずもエアー監督の原案に則ってたものになっていたかもしれない)
渋谷や六本木などのハロウィン当日の夜でもハーレイ・クインのコスプレが人気だった。
原作と同じような経緯でジョーカーとコンビを組み、「ゴッサムのキングとクイーン」と恐れられるほど暴れ回ったが、バットマンに捕らえられアーカム・アサイラムに収容される。
その後、タスクフォースX計画の候補として政府高官アマンダ・ウォラーに目をつけられ、アーカムから極秘の収容所に密かに移送された。
ジョーカーはこの事態に怒り狂い、タスクフォースX計画を潰しハーレイを奪還するため行動を開始する。
これといったスーパーパワーや特殊な技能は持たないが凄まじい度胸の持ち主で、メタヒューマンだろうが人外の怪物だろうがへらへら笑いながらバットで撲殺し、重火器で焼き尽くす。エンチャントレスによってジョーカーへの好意を利用されピンチに陥るが、最後には曲がりなりにも仲間として戦ってきたスクワッドメンバーとの友情(?)をとり、心臓を抉り出して決着をつけた。
なおこの映画で「(DCEUにおける)ロビン殺害の共犯者」であるという結構重大な情報が明かされているのだが、DCEUでロビンは登場すらしていないのでどういう経緯でそうなったのかは不明となっている(字幕上でも疑問符がついている)。
なお、マーゴット・ロビーの好演も有ってか、本作は批評・興業成績ともにイマイチだったのに、ハーレイ・クインの人気だけは上がる事になった。
その結果、観客も制作陣も、ハーレイ・クインというキャラクターの根幹に関わるある重大な事に気付き始めてしまう事になる。
「『ジョーカーの愛人』って設定が無くても、ハーレイ・クイン単体でキャラが立ってないか? むしろ、ハーレイ・クインのキャラを立たせるのに『ジョーカーの愛人』って設定は邪魔じゃないのか?」
「Cause I'm Harley Fucking Quinn!」
(世界で1番のワルはこのハーレイ・クインよ!)
DCを代表する女性ヒーローが一堂に会するコミック「バーズ・オブ・プレイ」を原作とした映画化作品にも登場。
『スーサイド・スクワッド』に引き続きマーゴット・ロビー(日本語吹替も同じく東條加那子)が演じているが、トレードマークのツインテールを短く切っており、衣装も前作と比べるとサイケデリックな色調となっている。
また、ジョーカーをモチーフにした意匠のアイテム(PUDDINと書かれた首輪など)を身に着けていない点も一部のファンから注目を集めていたが、ジョーカーと"破局"していた事が発覚した。
それと同時に本作が後述の『ザック・スナイダーカット』とは繋がらない世界観になっていると思われる。
「いいか、ハーレイ・クインは」
「この腕の中で血を流し 死に際に俺に懇願した」
「お前を殺せとな」
時系列が『スーサイド・スクワッド』の後である映画作品。
本人は直接登場しないものの、未来の時系列にてジョーカーの手で殺害された事と死に際に自身の仇討ちをバットマンに託した事が言及されている。
『スーサイド・スクワッド』のリブートである映画作品。
衣装が原作初期のハーレイを彷彿させる赤と黒のレザースーツとなっている。
無印『スーサイド』と『華麗なる覚醒』と同じくマーゴット・ロビー(日本語吹替:東條加那子)が三作連続で演じている。
セリフによると「愛犬が死んだ」らしく『華麗なる覚醒』で増えた仲間(カサンドラ・ケイン)がどうなったのか不明である。
その他
日本のシェアハウスに住んでいた。鷹の爪団から武器を買った。
日本の戦国時代にタイムスリップ。ジョーカーと共に活動していた。
「レゴバットマン・ザ・ムービー」に登場。
ジョーカーと共に極悪ゾーンに投獄していたアウトロー達を脱獄させた。
「レディー・ガガ」がキャスティングされた。日本語吹替が村中知。
リー・クインゼルという名前になっており、アーサー・フレックが収監されているアーカム州立病院に入院している患者という設定で、合唱のカリキュラムで出会ったアーサーに家族からの虐待を受け自宅に放火した過去とジョーカーへの憧れを告白し、親密になっていく。従来の精神科医という設定はオミットされている。
…かのように思えたが、アーサーに語った過去は嘘であり、本名はハーレイ・クインゼルで両親は高級住宅街に居を構える医者という裕福な育ちをしており、本人も精神医学を専攻していて州立病院も自身の意思で入院したというものだった。
ある意味で本作は、コミックでのジョーカーとハーレイの関係を逆転させた「精神医学関係の知識・スキルを持った『ジョーカー』ファンの狂人が、意図的か知らず知らずかは別にして、アーサーを『自分の理想のジョーカー』に洗脳しかける」という物語との解釈も可能であろう。
ドラマ
バーズ・オブ・プレイを実写化したドラマ。
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』とは逆にメインヴィランとして登場しており、名称がDr.ハーリーン・クインゼルとなっている。
人物像がどちらかと言えば、『バットウーマン』のアリスに近い。
ミア・サラが演じた。
グリーンアローが主人公のドラマ。と「ザ・フラッシュ」「スーパーガール」「バットウーマン」などと世界観を共有している(アローバース)。
スーサイドスクワッド結成時に後ろ姿と、いくつか台詞のみ描写された。
直接ハーレイ・クインは登場しないが、ハーレイ・クインのポジションにあたるジョシーという人物が登場する。
バットマン登場から十数年前のゴッサム・シティを描いたTVドラマ。
シーズン5で後のハーレイを思わせるエコーという人物が登場する。
アニメ
声:アーリーン・ソーキン
日本語吹き替え:伊藤美紀
- バットマン・ザ・フューチャー 甦ったジョーカー
上記のDCアニメイテッド・ユニバースから40年後を描いた本作では本人は回想シーンのみの登場であり、彼女の孫娘であるディーディーツインズがジョーカーを崇拝するヴィランとなっていた。
声:タラ・ストロング
日本語吹き替え:斎藤千和
YouTubeで配信中の女児向けアニメ。ヴィランではなくスーパーヒーローとして登場しているおり菱形の模様のついた赤と黒の道化師の衣装とドミノマスクはヴィラン時代のイメージだが、白塗りメイクはしておらず、赤と青に染めた金髪やラフな格好などスーサイド・スクワッドの要素も混在している。
ワンダーウーマンのルームメイトでトラブルメーカーなことも多いが、ちゃんとヒーローっぽいことをする一面があるらしく人々やクラスメイト達の人気も高い。
- Harley Quinn
声:ケイリー・クオコ
海外のみ放映されたブラックコメディアニメ。ジョーカーから独立してポイズン・アイビー達と好き勝手に生きる様を描いた。
声:永瀬アンナ
メインキャラとして登場。詳細はハーレイ・クイン(SSI)を参照。
- バットマン:ケープド・クルセイダー
2024年8月1日に、Amazon Prime Videoにて配信開始となる新アニメシリーズ。
上述の、1992年放送の『バットマン・ザ・アニメイテッド・シリーズ』を手掛けた、ブルース・ティムが手掛けている。
1940年代のゴッサム・シティを舞台とした、当時に出版されたコミックの世界観を彷彿とさせる内容で、本作にもハーレィが登場。ただし、ジョーカーとは独立した存在とされている。
人種はアジア系アメリカ人。精神科医で、バットマンことブルース・ウェインの主治医として登場。しかし何らかの理由でハーレイ・クインと化し、道化師めいたコスチューム姿になり登場する様子。
初出のアニメイテッドおよび「マッドラブ」のような、全身タイツの道化師に似たコスチュームだが、
・頭部のジェスターズキャップ(道化師の帽子)は、三本角。
・顔のメイクも道化師に近く、目元にマスクを付けていない。
・道化師のジェスターズカラー(フリル付きの襟)を付け、タイツを着ているが、初出の赤黒コスと異なり緑色と黄色の色合い。
と、オリジナルとはかなり異なるデザインになっている。
※1:14に登場。
ゲーム
- アーカムシリーズ
DLCではプレイアブルキャラとして操作することができる。
DCコミックスのキャラクターで戦う対戦型格闘ゲーム。
ハーレイ・クインもプレイアブルキャラクターとして登場している。
スピンオフ
赤ちゃんになってしまったバットマンを育てるジョーカーと共に母親役を引き受ける。
由来
イタリアで生まれた古典仮面喜劇コメディア・デラルテ(Commedia dell'arte) の登場人物ハーレクイン (Harlequin アルレッキーノとも 赤白黒のぴっちりスーツでなくて赤・緑・青のまだらの服を着ている) から。ちなみに男性で、アルレッキーナあるいはコロンバインまたはコルンビーナと呼ばれる恋人がいる。
アメリカでは道化役者の代名詞であり、転じて女性向けのロマンス小説が「ハーレクイン小説」と呼ばれる。実写映画では収監されたハーレイ・クインが檻の中でモリー・オキーフ(Molly O'Keefe)の『Between the Sheets』を読むシーンがある。
※ちなみに初出であるアニメイテッド、およびそのコミカライズにて。ジョーカーはハーレイの本名「ハーリーン・クインゼル」を聞いて、
「イタリア喜劇のキャラクター、ハーレクインにそっくりじゃないか!笑いの申し子のような名だ!」
と言って、初対面の彼女を持ち上げた。
そこから「(その名前を聞いて)親しみを覚えたから、あんたに俺の秘密を明かしたい」と申し出たジョーカーに対し、ハーレイは対面治療を実行。以後、彼の話術に乗せられ恋してしまう事になる。
脚注
『BATMAN CHILD OF DREAMS』(バットマン チャイルド・オブ・ドリームス)
関連イラスト
関連タグ
ゴッサム・シティ・サイレンズ / スーサイド・スクワッド / ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 / ザ・スーサイド・スクワッド / 異世界スーサイド・スクワッド
バットマン / ハーレイ / ハーレイクイン / ハーリーン・クインゼル / ゴッサム・シティ / アーカム・アサイラム
ジョカハレ ・・・ジョーカーとのカップリングタグ。
パンチライン・・・ジョーカーの二代目相棒。
小丑女・・・中国におけるハーレイ・クインの名称。
할리퀸・・・ハーレイ・クインのハングル表記。
ブルース・ティム・・・生みの親であるアメコミ作家兼アニメーター
マッドラブ・・・ブルース・ティムが自ら手掛けたコミック。ハーレイの誕生秘話が描かれた。
モータルコンバット:『11』にてジョーカー参戦に伴いキャシー・ケイジのスキンになった。見た目的には実写版と『ゴッサム・シティ・サイレンズ』のデザインを足して2で割った感じ。