Hell wants him. Heaven won't take him. Earth needs him.
地獄は彼を欲し、天は彼の魂を拒絶する。彼だけが人の未来を救えるにもかかわらず・・・
曖昧さ回避
- アメリカンコミック『ヘルブレイザー』の主人公。ジョン・コンスタンティン。
- 1の漫画を原案とした映画。本項で記述。
- 1の漫画を原作とした海外ドラマ。タグとして「constantine」が使用されることが多い。
- コスプレダンスユニット『アルスマグナ』のメンバー榊原タツキのぬいぐるみ
- アプリゲーム『乖離性ミリオンアーサー』の登場人物
- 特撮映画、最強ケミー★ガッチャ大作戦に登場するキャラクター→(リンク先ネタバレ注意!)
- サガエメラルドビヨンドのキャラ→コンスタンティン(サガエメ)
概要
監督はフランシス・ローレンス。
原作はDCコミックから刊行されているアメリカンコミック『ヘルブレイザー』(Hellblazer)。
映画化するにあたって『ヘルレイザー』シリーズと名前が近しいため、主人公の名前を取って『コンスタンティン』と題された。
なお意味としては「地獄を破壊する者」なので、「地獄を呼ぶ者(ヘルレイザー)」とは真逆である。
内容としては主人公が「魔法使いとしての才能に翻弄されたひねくれ者のエクソシスト」という以外ほぼコミックと別物になっているが、
これはコミック版の彼がヒーローの存在する世界における有数のエクソシストという設定であるためで、キャラクターの性格などは合致している。
後年『ARROW』シリーズに登場した際は、アメコミ版のキャラクターを元にしつつも映画版のイメージが取り入れられている。
他、映画にはキリスト教にまつわる様々な単語、人物などが重要な設定として取り入れられている。
世界観やビジュアルも相当に尖っており、ファン達からはハリウッドが誇る中二病映画の金字塔と称えられている。分かりやすくもスケール感の大きいネーミングセンス、属性をてんこ盛りに持ったガジェット、人間と悪魔の息をつかせぬ退魔バトルといった思春期の少年少女を歓喜させるような要素が盛りだくさんである。そういった要素を抜きにしても、ホラーアクション映画として非常にレベルの高い作品であり、世間的な知名度は決して高くは無いが、隠れた名作として映画ファンから愛されている。
あらすじ
この世は天国と地獄の狭間に存在している。
完全な天使や悪魔はこの世へ直接行き来することが出来ないが、天使でも悪魔でもないハーフ・ブリードと呼ばれる使者をこの世に送り込むことで、天国と地獄は彼らを通して間接的に人間へ影響を及ぼしていた。
舞台は現代のアメリカ、カルフォルニア州ロサンゼルス。
主人公ジョン・コンスタンティンは、地獄を逃れ天国へ行くために悪魔祓いを続けている凄腕のエクソシスト。
ある日、悪魔祓いの依頼を受けたコンスタンティンは、少女に憑依した悪魔が人間界に入り込もうとしていることに気付く。
そして時を同じくして、コンスタンティンは妹の死の真相を追いかける女刑事アンジェラから協力を求められる。
二つの事件の裏に潜む陰謀に近づくコンスタンティンは、やがて運命の槍をめぐる、天国と地獄の壮絶な戦いに巻き込まれていくことになる。
登場人物
※日本語吹き替えはソフト版/テレビ朝日版の順
ジョン・コンスタンティン John Constantine
生まれつき人間以外の者を見ることが出来る能力を持ち、かつてその力に絶望して自殺するが生還する。
キリスト教において自殺者は地獄に落ちるとされているため、悪魔祓いによって神の恩赦を得て、天国に行こうとしている。
肺ガンになり余命一年と宣告されても煙草を吸い続けるヘビースモーカー。
アンジェラ・ドッドソン刑事 Detective Angela Dodson
ロサンゼルス市警。
悪魔や幽霊の存在を信じていない現実主義者だが、直観的に犯人の居場所を突き止め、どこを狙って撃てばいいか分かる不思議な力に悩まされている。
キリスト教徒であるはずの妹が自殺などするはずがないと、彼女の死の真相を求めてコンスタンティンに依頼をする。
イザベル・ドッドソン Isabel Dodson
演:レイチェル・ワイズ 吹き替え:甲斐田裕子/岡寛恵
アンジェラの双子の妹。
コンスタンティンと同じ力を持っていたが、心の病と診断され精神病棟に収容されていた。
しかしある日病院の屋上から飛び降りて自殺してしまう。
チャズ・クレイマー Chas Kramer
いつかコンスタンティンから協力を求められる日が来ることを信じ、宗教や超常現象に関する知識を学んでいる。
ヘネシー神父 Father Hennessy
演:プルイット・テイラー・ヴィンス 吹き替え:塩屋浩三/石住昭彦
コンスタンティンの友人の僧侶。
かつてはコンスタンティンと共に悪魔と戦っていた、生命力溢れる聖職者だったが、今では戦いに疲れ果て、些細な悪魔祓いの儀式でさえ彼に頼っている。
超自然的な知覚で聞こえる声を紛らわすために魔除けを首に下げ、酒を飲み続けアルコール中毒になっている。
ビーマン Beeman
世界中の密売人と物々交換をしながら様々な聖遺物を手に入れている。
錬金術の実験中に爆発事故を起こして以来、耳鳴りに悩まされており、その耳鳴りを掻き消すため、ボウリング場で暮らしている。
ガブリエル Gabriel
演:ティルダ・スウィントン 吹き替え:田中敦子/勝生真沙子
天国からのハーフ・ブリード。大天使ガブリエルの身代わり紙人形。
人間の思考を読み取り、テレパシーで話す力を持つ。
コンスタンティンが願ってやまない魂の救済を、利己的な悪魔祓いでは贖罪にならないと拒み続ける。
パパ・ミッドナイト Papa Midnite
演:ジャイモン・ハンスゥ 吹き替え:落合弘治/相沢正輝
ハイチ出身の祈祷師で信仰療法師。かつてはコンスタンティンの仲間の一人だった。
現在は天国と地獄からの中立を宣言し、ハーフ・ブリードが自由に打ち解ける場所として、ナイトクラブ“ミッドナイド”を経営する実業家。
聖遺物の収集家でもある。
バルサザール Balthazar
演:ギャヴィン・ロスデイル 吹き替え:山野井仁/江原正士
地獄からのハーフ・ブリード。
“ミッドナイド”の常連客。虫などを自由に操る力を持つ。
ルシファー Lucifer
演:ピーター・ストーメア 吹き替え:安原義人/野沢那智
サタン。全ての悪魔の頂点に君臨する地獄の王。もと天使でガブリエルの上司。
マモン Mommon
ルシファーの息子。
キリスト教・ユダヤ教・イスラム教における森羅万象を司る唯一無二の存在。
基本的に現世には不干渉だが、ルシファーに対してはコンスタンティンを通して強烈な挨拶をした。
主なアイテム
様々な聖遺物が登場する。
運命の槍
イエス・キリストの処刑の際に使用された槍。
この槍を使った兵士の名前から“ロンギヌスの槍”とも呼ばれている。
キリストの血が付着した聖槍の所有者は世界を征することが出来るという伝説がある。
戦時中アドルフ・ヒトラーはオーストリアのハプスブルグ家に伝わる槍を強奪したとされるが、ナチス失脚後、槍は行方不明になっている。
地獄の聖書
地獄版の聖書。
表紙の十字架が逆さになっており、神に対する反逆を表している。
新約聖書の中でコリント書は17章までしかないが地獄版には21章まで存在する。
その16章29節から30節には「息子の罪が父の罪を上回るだろう」と記されている。
また“ヨハネの黙示録”は「この世は悪魔が火で滅ぼし生まれ変わらせる」と解釈されている。
聖なるショットガン
ビーマンが用意した聖遺物の一つ。
全ての部品が祝福された聖具であり、中でも銃身は象眼模様が施された軸が空洞になっている十字架。
そのため大抵のハーフブリードは撃たれるまでもなく、銃で殴られただけで昇天してしまう。
加えて銃弾は数多の聖遺物(銀の小さなロザリオ、ジャンヌ・ダルクの金の十字架、聖クリストフォルスをあしらった最古のメダル、アーサー王の銀十字、聖書でイエスが言及したカエサルのコイン、聖ペテロを殺害した鉄の矢、ユダの左右の臼歯、アンサタ十字の刻まれた黄金指輪など)から鋳造されたもので、銃弾として使い捨ててしまうのは考えられないほど絶大な効果を発揮する。
銃身にはラテン語で、
「a cruce salus (魂の救済は十字架から生まれる)」
「decus it tutamen (救済の装飾と手段)」
「dei gratia (神の恩寵により)」
と刻まれている。
原型となった銃はRDIストライカー12。
12発装填の回転弾倉機構が特徴的で、威力と装填数に対する携行性の高さ、多種多様な弾種を打ち分けられる点が優れており、恐らくコンスタンティンもこの辺りを理由に採用したものと思われる。
なお小説版ではコッキング動作をする描写があるが、映画版ではコッキング動作が見られず、また排莢も確認できない為、恐らくは弾倉回転機構と装填機構にも改良が施されている。
ドラゴンの息
ビーマンが用意した聖遺物の一つ。
長さ30cmほどの銅管に封じられており、3メートルの炎が吹き上げる、火炎放射器のような武器。
偶然にも主演のキアヌ・リーブスは後に別の映画シリーズで「ドラゴンブレス弾」という「散弾銃から発射される焼夷弾」を使用している。
モーセの衣
ビーマンが用意した聖遺物の一つ。
かつてモーセがシナイ山に登った時に身に着けていた衣の切れ端。
極めて燃えやすく、着火すると聖なる炎を激しく迸らせる。
スクリーチ・ビードル・ボックス
ビーマンが用意した聖遺物の一つ。
ニューヨークにあるアミテヴィル・ホテルの名前入りの古ぼけたマッチ箱。
中には「悪霊の棲む家」から捕獲された虫が入れられており、箱を振ると悪魔には爪で黒板を引っかく音に聞こえるという虫が鳴く音がする。
おそらくは実在した幽霊屋敷オーシャン・アベニュー112番地のこと。
聖水入りのアンプル
ビーマンが用意した聖遺物の一つ。
イエス・キリストが洗礼を受けたヨルダン川の聖水が入っている。
魔法陣
コンスタンティンの両腕に、タトゥーとして半分ずつ刻み込まれた魔法陣。
これを組み合わせて呪文を唱えることで、ハーフブリードやデーモンの存在を暴く事ができる。
聖なるメリケンサック
ビーマンが用意した聖遺物の一つ。
かつて十字軍が遠征した際に、アニコット司教により祝福された純金で出来ている。
「In nomine pater et filius et spiritus sanctus (父と子と聖霊の御名によりて)」
と記されたラテン語と十字架があしらわれている。
コインのセット
コンスタンティンのキーホルダーにつけられている何枚もの古い銀貨。
いずれも聖人たちの姿が刻まれており、悪魔祓いにおいて悪魔に相性の良い聖人を見つけ出すのに用いる。
本編冒頭の悪魔祓いでは、聖アントニウスの銀貨を用いた。聖アントニウスは動物の守護聖人であり、悪魔からの誘惑を退ける聖画が有名。
ライター
コンスタンティン愛用のライター。
“聖ベネディクトのメダイ”が彫刻されている。
メダイはカトリック教徒が信仰を深める為に身に付けるアクセサリーであるが、特に“聖ベネディクトのメダイ”は古くから悪魔払いに有効であるとされている。
魔除けの首飾り
ヘネシー神父の所有物。
四つの十字架を組み合わせたお守りで、霊的なものを遮断する力がある。
これは外部からの介入だけではなく、所有者の能力にも効果を発揮し、ヘネシー神父は自分の能力を抑えるために使っていた。
電気椅子
ミッドナイトの所有物。
実際にシンシン刑務所で200人の処刑に使われた電気椅子。
処刑されたうちの一人が魔術師で、何とか逃げ道を作ろうとして失敗して死んだ結果、異次元へ通じるようになってしまった。
幽体離脱や霊視のための触媒として機能する。
聖なる銀の十字架
ミッドナイトの所有物。
イステリアの二本の十字架と同種の、たとえ聖職者でなくともただの水を聖水に変える力を秘めている。
これら貴重な物品の保管庫を守るため、ミッドナイトはリチャード・ラミレスやチャールズ・マンソンら、著名な殺人鬼七人の霊体を監視者としている。
脚注
映画パンフレット『コンスタンティン』
コンスタンティン(本映画作品のノベラゼーション)
関連イラスト
余談
キリスト教伝統派のカトリックにおける、天国・地獄・天使・悪魔といった世界観を実に良く表現している本作だが、主人公であるコンスタンティンを演じる主演のキアヌ・リーブス本人は無宗教である。キアヌはどちらかと言えば仏教を熱心に勉強しているので仏教徒よりであるが、当人は仏教思想に興味があるだけで信仰には到っていないとのこと。