「お前は何も覚えていないのよ――阿良々木。自分が何で出来ているか知らないの」
概要
CV:井上麻里奈
『終物語』、『続・終物語』、『愚物語』、『結物語』のメインキャラクター。
「そだちリドル」、「そだちロスト」、「こよみミラー」、「そだちフィアスコ」,「なでこドロー」に登場する。
初登場は『終物語(上)』。
クラスメイトからは、「ハウマッチ」(老倉=おいくら=お幾ら?)と呼ばれていた。(本人は、数学が得意で好き故に「オイラー」と呼ばれたかった)
1年生時のある『事件』を境に不登校になるが、3年生の10月下旬に再び登校してくる。
決して悪人ではなく、里親や市役所・図書館などといった、警察以外の公僕には無害なのだが、家庭事情が関係しているのか利他的かどうか怪しい人物で。特に阿良々木以外の直江津高校生徒に対する言動は下手な悪人以上に傲慢(ただ、戦場ヶ原曰く、弱い人間には優しかったとの事。また後述の事情から察するに単なる自分本位ではなく、他者の目線で物事を考える余裕がないといった様子である)。
また、ある時期から家に閉じこもってしまった母親を、不純で悲しい動機混じりとはいえ、なんだかんだで面倒を見るなど、母親想いなところも。
大の数学好きで他の座学にも長ける。だが、そのせいか、座学ありきな考え方や、自分の勉学に関する価値観の押し付けが目立っていた時期があり、それが祟って阿良々木暦以外の生徒から大顰蹙をかった末に墓穴を掘ってしまったことも。
一方で一人暮らしが短くないためか、メレンゲの事を自己紹介の時に言うべきか言わぬべきか悩む描写や、美少年とのめぐり逢いに心ときめかせるといった等身大な一面を覗かせる時もある。
ネタバレ
実は阿良々木暦の幼なじみである。
一時期(小学6年生時)、家庭内の不和により阿良々木の家で保護されていたが、暦はその事を「憶えていなかった」。また、中学1年生の夏休みに暦と「楽しい数学」の勉強を続けていたのだが、夏休みの最終日、突然姿を消してしまった。この事については、暦は「彼女が小6の時の彼女と同一人物である事に気が付かなかった」。そして彼女が「暦に期待していた事にも気付かなかった」。
色んな意味で「気付いてもらえなかった」育は、高校1年生時に再会した暦に対しきつい態度を取る様になる。また、数学だけは成績の良い(この時のテストで数学が百点満点だったのは、このクラスでは暦だけであり、育は99点だった)暦に対して上記の台詞を彼女は言い放ったのである。
しかしながら育も育で暦をどうこう言える立場ではなく、1年生時の事件の際、途中から暦以外のクラスメイトを殆ど人間扱いしておらず、無意識ながら独善と極めて個人的な復讐願望を満たすために利用しようとしていた。
その過程で……
- 小テストでの不正を暴くために、直江津高校のルールと学級委員の立場を悪用し、クラスメイトが熱中症で倒れかねない状況になるまで教室に長時間軟禁。(その間、トイレ休憩等もなし。)
- 小テスト前の勉強会で散らかし放題にしたままの物を、他の級友に片付けてもらった事について、謝罪や礼を言わない。
- 犯人と名乗り出る者が現れても受け入れず、犯人捜しを続行させ、仮に真犯人が自白しても意味のない状況を作る。
- 多数決で犯人を決めるという冤罪をいとわない案を出し、自分の気に入らない人間の投票には迷わず手を挙げ、クラスメイト全員の前で犯人として吊し上げようとする。
など、DV被害の救援サインを見過ごした阿良々木と同等かそれ以上の愚行を、わずか半日で行ってしまった。
また公的機関として市民の安全確保を図る事も業務のうちな警察であるとはいえ、命の恩人である暦の親すら人間扱いしておらず、暦には上から目線で接し、老倉家の事を言わないでと自ら念押ししながら、実際にそうすれば今度は一方的に罵倒したり社会的に破滅させようとするなど、恩知らずを越えて極度の逆恨みをしている。
再登校時には、
- 「人は誰かに助けてもらわなきゃ幸せになれない──そんなこともわからない馬鹿が、嫌いで嫌いで死にそうだ。」
- 「許せないのはお前だ。阿良々木、お前以上の恩知らずなんていない。独りよがりなんだ──お前の正しさなんて。」
などと完全に自分を棚に上げた発言をしている。
事件への反省の色は無く、級友に対する度が過ぎる侮辱や、戦場ヶ原に対する恩着せがましい言動など、徹底して他者を軽んじた末、感情的に暴行を加えた事で戦場ヶ原から痛烈なグーパンをお見舞いされた。
(そして、これ程までに暴走するように助長させてしまった事が、暦の罪深さともいえる)
だが、実は彼女とその母親には本人ですら知らない、狂気すら感じるほどの出来事が起きており……。
『終物語(上)』の事件後、戦場ヶ原に上記の暴力行為などについて謝罪したうえで転校。その高校でも、相手が我慢の限界を迎えて怒声を浴びせ続けるまでストーキング紛いの行為を働くなどの事件を起こした(この件では無視を続けた相手にも問題はある)。
その後、阿良々木と同じ大学の数学科を受験し、合格した。
『続・終物語』
暦が迷い込んだ鏡の中が舞台のこの世界では髪型がツインテールでは無くショートヘアになっている。両親とは別れたものの阿良々木家に引き取られ暦の家で家族同然として暮らしており、オイラーではなくガウスが好きと答える。
性格も本編世界とは違い、明るいものになっていて暦に対しても親愛の情を見せるなど本編では見られない彼女が見られる。
しかし、「私、とっても幸せなのに―――こんなの、全部嘘だって思ってる」と暦に発言するなどこの世界に対して疑問を感じている場面も…