「そう。貝塚の貝に、枯れ木の木だ」
概要
CV:三木眞一郎
「〈物語〉シリーズ」の登場人物。
忍野メメと同じ怪異の専門家で、かつて戦場ヶ原ひたぎを騙した詐欺師。
黒い喪服の様なスーツに身を包んだ「不吉」な男。初出は『偽物語』。
解説
金銭のためなら、子供でさえ騙すことも厭わない。「命より金が大事」を本気で信条にしている。
詐欺師であるが、ひたぎを騙した時は「ゴーストバスター」を名乗っていた。
「嘘の怪異」ならぬ「偽物」の使い手。
『偽物語』では、「おまじない」と言う形で町1つの中学生を対象に大掛かりな詐欺を行なっていた。かつて千石撫子が苦しめられた「蛇」も、このおまじないの一種であることが判明する。
阿良々木火憐に捕捉された時は、偽物の怪異「火蜂」によって回避するなど、「荒事は専門外」と言いつつそれなりの実力はある。むしろデリケートな対応を要する怪異に関しては、臥煙伊豆湖からは「メメか泥舟が居てくれれば」と戦闘特化の影縫余弦より頼りにされている。元陸上部で脚力も神原駿河を凌駕するほど。
何かをするからには自分にとって何らかのメリットがあるなど納得力のある理由が必要なのか、やるべきと思ったことに対して納得力のある理由があるか自問自答を繰り返しながら探したりするなど、彼なりに筋を通している。
意外と魅力的な一面があるらしく、ファンも少なくない。
セカンドシーズン最終作『恋物語』では語り手を務めた。
初登場した『偽物語』では黒い喪服の様なスーツに身を包んだ不吉な男と描写されたが、必要とあらばアロハだって着る。
忍野メメ、影縫余弦、そして臥煙とは同じ大学でオカルト研究会に所属していた。
また臥煙の姉である神原遠江(旧姓:臥煙遠江)について昔世話になった、憧れていたと話しており、その関係から遠江の娘である神原駿河を気にかけているようである。
時系列的には『恋物語』の後になる『花物語』にも少しばかり登場する。こちらでは銀縁メガネを付けるなど少しスタイルが変わっている。
名言
貝木三段活用
彼は時折熟語の如く対価として金を要求してくる。
その一例が
「知りたいか? 教えてやろう 金を払え」である。
恋物語のネタバレ注意⚠️
恋物語終盤にて千石撫子を騙す際に、貝木は自身が金が好きな理由を語った。
その内容は多くの読者の胸を打ち、物語シリーズの名言の中でも高い人気を誇る。
アニメ版の抜粋
「千石!俺は金が好きだ。なぜかといえば、金はすべての代わりになるからだ」
「物も買える、命も買える、人も買える、心も買える、幸せも買える、夢も買える。とても大切なもので、そしてその上で、かけがえのないものではないから好きだ」
「逆に言うと俺はな、かけがえのないものが嫌いだ。『これ』が無きゃ生きていけないとか、『あれ』が生きる理由だとか、『それ』こそは自分の生まれてきた目的だとか、そういう、希少価値に腹が立って仕方がない」
「阿良々木に振られたら、お前に価値は無くなるのか?お前のやりたいことはそれだけだったのか?お前の人生はそれだけだったのか?」
「あのな、千石。阿良々木と付き合うだなんて、かったるい事は代わりにどっかの馬鹿がやってくれるってよ。だからお前はそんなかったるい事は終わりにして、他のかったるい事をやればいい」
「やりたいこともしたいことも他にいくらでもあるだろう、あっただろう。違うか?」
千石「やりたいこと…したいこと…」
「なあ、千石。お前にとって阿良々木以外のことはどうでもいい、くだらないことだったのか?両親の、あの善良な一般市民の事は好きじゃなかったのか?お前の中の優先順位で、阿良々木以外は全部ゴミか?」
千石「違うよ…」
「ならばどうしてだ。どうして阿良々木が特別扱いになる。アイツはお前の分身か何かなのか?」
千石「貝木さんに何がわかるの?貝木さんは私のことなんて何も知らないでしょ?」
「いろいろ調べた。だがそうだ。何も知らない。重要なことは、何も知らない。お前の事は、お前しか知らないんだから。だからお前の事はお前しか大切にできないんだぜ。そしてお前の夢も、お前にしか叶えられない」
千石「そんな、とっかえひっかえみたいな、あれがだめならこれで行こうみたいな適当なことしてもいいの?人間は」
「いいんだよ、人間なんだから。かけがえのない、代わりのないものなんてない。俺の知ってる女はな、俺のよく知っている女はな、今している恋が常に初恋って感じだぜ。本当に人を好きになったのは、今が初めてって感じだぜ。そしてそれで正しい、そうでなくっちゃ駄目だ」
「唯一の人間なんて、かけがえのないものなんて無い。人間は人間だから、いくらでもやり直せる。いくらでも買い直せる」
「とりあえず」
「俺がくれてやった金で、本格的な画材でも買いに行けよ」
千石「だから私、漫画家になりたいだなんて一度も思ったこと無いって。それに、せっかく神様になれた幸運を蹴っちゃうのもったいないって普通に思うよ…」
千石「でも、漫画を描いて神様って呼ばれた人はいたよね。もったいないって思うなら、そうなればいいんだよね」
「ああ、お前ならきっとなれるさ。騙されたと思ってチャレンジしてみな」
千石「分かった。騙されてあげる」
「…こいつめ」