「娘は都で元気にやれているだろうか―――? 」
「わたしは早く村に帰って、お父さんに誉めてもらいたいのに……なのにSランクになっちゃったら忙しくなって帰れなくなっちゃったじゃないかぁっ!! 」
概要
原作は「小説家になろう」にて連載。著者は門司柿家。
なろうで席巻している異世界もの、悪役令嬢ものじゃない普通のファンタジーもの。
通称は「Sランク娘」(Sラン娘)あるいは「むすえす」。なお著者が率先して使用している略称は後者。
2017年には書籍化が決定。アース・スターノベルより2018年2月15日に第1巻が刊行。
イラストは『まおゆう魔王勇者』などで知られるtoi8が担当。
2018年にはコミカライズ化も決定。アーススターが運営するWEB漫画サイト「コミックアース・スター」にて2018年5月8日から連載開始。pixivコミック、ニコニコ静画でも遅れて配信中。
作画は漆原玖が担当。
既刊は書籍版が全11巻(完結)、コミカライズ版が5巻。
書籍版第3巻とコミカライズ版第1巻は同時発売された。
2020年1月21日掲載のエピローグを以って、小説家になろうにおける原作が完結。
あらすじ
若き日に魔獣に襲われ片足を失った元冒険者・ベルグリフは、故郷へと戻り村民と日々平穏に暮らす中、近くの森で捨てられていた女の子を拾い、自分の娘“アンジェリン”として男手一人で育て上げる。やがて成長した娘は父の背中に憧れて、冒険者になりたいと都のギルドへと旅立っていくのだった。
それから5年後――心のどこかでまだ冒険者としての自分を夢見ている父。一方、娘は冒険者として最高位の「Sランク」になっていた…!?
登場人物
※CVはTVアニメのキャスト
主人公
本作の主人公で、アンジェリンの育ての親。愛称はベル。本編開始時点で42歳。冒険者時代に右足を失っており、義足を用いている。
本作のもう一人の主人公で、ベルグリフの娘。愛称はアンジェ。本編開始時点で17歳。”黒髪の戦乙女”の異名を持つ冒険者。
主人公の友人たち
- ケリー(CV:島田岳洋)
ベルグリフの幼馴染でトルネラ村の村長。ベルグリフがアンジェリンを拾った頃(その頃はまだ村長ではなかったが)までは農筋の整った細マッチョであったが、中年も板についた現在では、すっかり恰幅の良い富んだ身体(いわゆる中年太り)になっている。
ベルグリフが村に帰って来た頃には、村の人々(特に老人と若い女性たち)は片足を失ったベルグリフに同情こそしても「村の役に立たないのに戻ってきたお荷物」と冷たかったため、そんな村の上の世代からベルグリフを友人として守るため彼に自家の軽作業の手伝いをしてもらったり、村を挙げた魔獣退治の手助け(魔獣の種別や特徴の割り出し、それに応じた退治の作戦の立案)などの頼み事をしたりと「ベルグリフに出来る村の仕事」を自分にできる微々たる程度ではあるが率先して与えていた。そのためトルネラ村におけるベルグリフの最大の理解者とも言える。
村長の地位を継いだのちは、村一番の豪農として村民に仕事を提供している一方で、村興しの一環として新興産業の殖産にも力を入れており、冒険者として(あるいはアンジェリンの父として)村の外の知見を得ているベルグリフに相談や頼み事をする事も多い。
- アネッサ(CV:河瀬茉希)
アンジェリンとパーティを組んでいる射手で、AAAランクの冒険者。愛称はアーネ。孤児院出身。
生真面目な性格で、しばしばアンジェリンやミリアムの抑え役に回っている。
- ミリアム(CV:大久保瑠美)
アンジェリンとパーティを組んでいる魔法使いで、AAAランクの冒険者。愛称はミリィ。
アネッサとは対照的に奔放的な性格だが、獣人である事にコンプレックスを持っており、それに由来する偏見や差別、憐憫を忌み嫌う。
彼女とアネッサは同じ孤児院で育った幼馴染でもある。
- ライオネル(CV:杉田智和)
アンジェリンたちが拠点にしているオルフェンの街の冒険者ギルドを統括しているギルドマスター。元、Sランク冒険者。のらりくらり飄々とした39歳の頼りないおっさん。休暇も取れずトルネラに帰れないアンジェリンの愚痴と苦情を、のらりくらりと躱しはぐらかしながら対応している。が、それゆえにアンジェリンからは本気を疑われていた。
実は昼行燈を装いながら、やる時はやる男。事態解決のために打てる手が限られていたため、アンジェリンたちに(拘束して)済まないと思いながら密かに水面下で動いていた。
アンジェリンがオルフェンから逃げなかった理由にベルグリフの背中と教えがあった事を知ると「オルフェンが救われたのはベルグリフのおかげ」と感じ入り心から感謝する。
ボルドー伯爵家
- ヘルベチカ・ボルドー(CV:井上麻里奈)
トルネラ村をはじめとした近辺を治めるボルドー伯の長女にして現当主。
清濁併せ吞む度量とカリスマ性を持ち、若くして領主に相応しい素質を備えた女傑だが、優れた在野の人材の噂を聞くと強引に手に入れようとする悪癖がある。
妹から話を聞いたのを切っ掛けに、ベルグリフを召し抱えようと自らトルネラ村に出向いた所、彼に異性として好意を抱く事に。
ボルドー伯の次女。長身で活発な容姿に違わず武芸に秀でており、AAランクの冒険者でもある。
妹セレンを救われた一件の謝礼を渡すためにベルグリフの元を訪ねるも、ひょんなことから彼を師匠と崇めるようになる。
猪突猛進かつ思い込みの激しい性格で、ベルグリフにまつわる誤解の元凶の片棒を担ぐ。
- セレン・ボルドー(CV:市ノ瀬加那)
ボルドー伯の三女。盗賊にさらわれている所をアンジェリンに救われた。
まだ15歳ながらも内政の才の片鱗を見せる一方、一癖も二癖もある姉たちのブレーキ役を担う。
- アシュクロフト(CV:戸谷菊之介)
ボルドー家の家令で、眼鏡を掛けた生真面目な青年。愛称はアッシュ。
ボルドー家に仕える事を誇りとしており、最初はヘルベチカらの信頼を集めるベルグリフたちに対抗意識を燃やしていたが、のちに考えを改めて態度を軟化させた。
トルネラ村の客人たち
- ダンカン(CV:山根雅史)
ベルグリフの噂を聞き付けて腕試しにトルネラにやってきた恰幅の良い斧使いの冒険者。のちにベルグリフの厄介になりつつトルネラを気に入り定住を考えるようになる。
- グラハム(CV:大塚芳忠)
「パラディン」の二つ名を持つエルフの冒険者。剣聖との呼び声も高く、生ける伝説とも称えられる人物。人探しのためトルネラにやって来てベルグリフの元に逗留し友誼を結ぶ事に。また逗留の礼としてベルグリフの剣技も見てくれ、この事でベルグリフの闘法はさらなる伸び代を見せる事となった。
- マルグリット(CV:ファイルーズあい)
グラハムの探し人。彼の大姪でありエルフ領西の森の王オベロンの娘。つまりエルフの姫君。
グラハムに憧れて「森だけじゃない世界の多くの景色を見たい」と森を出て冒険者(志望)になってしまった絶賛反抗期の少女。
ありがちな自己承認欲求をこじらせ、魔王退治を口実に思いっきりイキがって他人に対してはつっけんどん。しかし故にこそ冒険者として最も必要な「周囲と折り合いをつける力」が未熟であり実質的なトラブルメーカーとなっておりグラハムもその部分で苦慮していた。が、ベルグリフの「お父さん力」によって落ち着きや周りを見ることを学び成長する。
のちにアンジェリンとは互いに冒険者として友として切磋琢磨する間柄になっていく。
ベルグリフの元パーティメンバー
- カシム(CV:吉野裕行)
かつてベルグリフのいた駆け出しパーティにて後衛を務めた魔法使い。パーティでは最年少だった。
のちSクラス冒険者となり「天蓋砕き」の二つ名で呼ばれる。二つ名の方が有名で効率の良い新しい魔術式を作り魔術の効率を上げた大魔導として知られる。
しかし、そこまで力を求めたのは元を質せばベルグリフの足を治す方法を求めたがゆえの事であり、その本来の目的を得られない事から苛立って自らの不甲斐なさに自暴自棄となって外道に墜ち身を持ち崩していた。
のちにアンジェリンと出会い渡世の義理から敵対者として対峙する事になるがアンジェリンがベルグリフの娘と知りアンジェリンの側についた。
- パーシヴァル(CV:土田大)
かつてベルグリフのいた駆け出しパーティの前衛で、パーティの切り込み隊長(エース)的存在。愛称はパーシー。またベルグリフを誘ってパーティを結成した言い出しっぺ。卓越したリーダーシップの持ち主で人を引っ張っていく力に長けていた(が、突貫気質でもあるため周囲への配慮には難があり、その部分をベルグリフが補っていた。その事がのちにベルが足を失った悲劇の一因になっている)。
片足を失ったベルグリフが(パーティメンバーに無断で)トルネラへと去ったのちパーティの運営に苦慮し、結局自然解消へと至らしめてしまった。
のちにSランク冒険者となり「覇王剣」の二つ名で呼ばれるようになる。が、その様は駆け出し時代とは異なり人を寄せ付けない殺伐としたものへと変貌している。
自身もベルグリフの足を失わせた事に大きな責任を感じており、その自責から自らを痛め付けるかのような危険な依頼を率先して受けているという。
- サティ(CV:折笠富美子)
かつてベルグリフのいた駆け出しパーティの紅一点。エルフの魔法剣士でベルグリフと共に中衛を務めていた。結構ざっくばらんな性格をしている。
ベルグリフがトルネラへと去ったのちに、その事を原因としたパーシーやカシムとの衝突が増えて耐えられなくなり自身もパーシーたちに無断で何処かへと去った。
のちにAランク冒険者になった。一方で、なんらかの組織に狙われ追われている身にもなっている事が明らかになった。
その他
- シャルロッテ(CV:高尾奏音)
ファー帽子と法衣を身に着けたアルビノの少女。「ソロモンの力」に関わりがあるようだが……?
- ビャク(CV:浦和希)
シャルロッテに付き従う白髪の少年。高位魔法である立体魔法陣の使い手。
アニメ化
2022年11月にアーススターより特報としてアニメ化企画が報じられた。
続いて2023年6月18日、父の日にて2023年秋の放送が発表されている。
同年9月28日よりAT-X、ABEMAにて先行公開、10月5日よりTOKYOMX、10月7日よりBS日テレにて本放送開始、以降順次地方局放送が行われる。地方放送の参加局はANN系列局が多い。
下記、発表された主要スタッフ総覧。
総監督 | もりたけし | 監督 | 村田尚樹 |
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シリーズ構成 | 百瀬雄一郎 | キャラクターデザイン・総作画監督 | 柴田淳 |
アニメーション制作 | 颱風グラフィックス | 製作 | Sランク娘製作委員会 |
・オープニングテーマ「閃-Sen-」 - 南條愛乃
・エンディングテーマ「homeward journey」 - やなぎなぎ
関連イラスト
関連動画
アニメ化特報
アニメ化ロング告知
アニメPV第1弾
関連タグ
でこぼこ魔女の親子事情:同時期にアニメ版が始まったファンタジー作品で、こちらも主人公の一人が森である赤ん坊を拾うところから始まっている。
関連リンク
冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた | コミック アース・スター
冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた | Pixivコミック
冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた | ニコニコ静画