まおゆう魔王勇者
まおゆうまおうゆうしゃ
元々は、2009年9月からweb掲示板の2ちゃんねるニュース速報VIP板およびパー速VIP@VIPサービスにて、「魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」」というスレッド名でママレードサンド(現橙乃ままれ)氏により掲載されていた戯曲形式の長編小説。立て逃げされたスレッドを乗っ取る形で即興的に連載を開始し、同年11月に完結。
RPG然とした勇者と魔王が対立する中世ヨーロッパ風のファンタジー世界を舞台としているが、戦闘や人間関係の描写のみで話が進むわけではなく、「政治・経済の在り方」を物語の重要なテーマに据えて語られていることが新鮮に受け止められた。
「登場人物が役割名で表記され固有名詞で呼ばれない」「会話文のみで話が進む」「勇者と魔王がそのイメージにそぐわないことをする話」などはVIP板のSSとして定番の様式であり、本作もそのスタイルに則っている。
連載終了後の2010年、本作品に着目した桝田省治が作者に接触し、同年末には桝田の監修で「まおゆう魔王勇者」と改題して一般書籍化・コミカライズされ、2013年1月には同タイトルでアニメ化された。コミカライズは2013年1月現在、5作品が連載されている。(後述)
なお別名タグでは原題の「魔王「この我の~」、書籍化以前からの通称である「まおゆう」や「魔王勇者」などがあり、pixivでのタグ数は「まおゆう」が最も多い。
なお、webでの発表当初、公式のキャラクターデザイン設定は決まっていなかったので、同じ人物であっても色々なデザインのイラストが存在する。上記コミカライズにおいても、それぞれの作品でキャラクターの解釈に違いがある。
どこかで聞いたことのあるような魔族と人間が争い続ける世界、を舞台にしたお話。
ゲートを通じて魔界に攻め込んだ人間軍は敵の重要拠点を奪うも、逆に魔族の方にも人間界の拠点を奪われ、15年に渡って一進一退の攻防が続き、最前線の寒冷な南部諸王国は戦乱に疲弊し苦しんでいた。
そこへ、強力な力を持つ勇者が仲間と共に現れて、魔族を倒して世界を救おうと戦い続け、前線から離れた中央諸国の人々の希望の的となった。
しかし勇者は、何を思ってか仲間から離れて、単身で魔王の城へ乗り込む。
玉座に辿り着いた勇者が目にしたのは、見目麗しき人間と同じ姿をした女魔王だった。
魔王の姿に戸惑うも戦いを挑もうとする勇者に彼女が放った言葉は・・・
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」
勇者「断る!」
戦いよりも叡智に優れ、争いよりも契約を求める魔王は、即答で拒絶した勇者に冷静に両界間の現状を語り出した。
戦争が長引く元凶は戦争に依存する今の社会秩序であり、魔王打倒は根本的解決にならない。
戦争は両世界ごとの諸問題解決に寄与したが、どちらの勝利による終結も旧時代の逆戻りにしかならず、さらにその後は同族同士の新たな戦乱を招くだけに過ぎないと説いた。
勇者は反論するも魔王の解説に次々に論破され、その事実を認めざるを負えなくなる。
己の無知に落胆し動揺する勇者だったが、魔王は新たな未来の可能性として勇者に協力を仰ぎ、それを理解した勇者は魔王の契約を受け入れた。
そして二人は自分達の身分を隠し、一介の剣士と学者として世界改革への旅に出発した。
あの丘の向こうを見るために。
主要・脇役どの登場人物にも個人名はなく、皆何らかの肩書きや役職名、立場などで登場する。
魔王勇者陣営
勇者の元パーティーメンバー
かつて勇者と共に世界を旅し、打倒魔王を志していた仲間達。それぞれ人間の枠を半ば超越するレベルの強さを誇り、伝説的な存在として民衆の間で語り草になっている。勇者に置いて行かれたあとは半ば自然の成り行きでパーティーを解散し、世界のあちこちに散った。
当時の名前は老弓兵。元々傭兵の出身で「黒点の射手」「突然死」の異名で恐れられていたほどの暗殺の達人。弓矢のような何らかの遠隔射撃能力をもつためそう呼ばれていたが、誰も弓を持っているのを見たことはない。諜報に長けており、現在は冬の国の諜報局長を務めるかたわら、若き王子に執事兼教育係として仕えている。勇者の最初の旅仲間で、ぱふぱふをこよなく愛する変態紳士として、勇者や女騎士を(時には変な方向に)導く。実は勇者の師・老賢者の古馴染であり、世界の負債全てを、孤独なまでに強大な力と共に唯一人で背負い込まされる、『勇者』という仕組みの歪さを誰より痛感してきた人物の一人。
紅の子弟
魔王が直々に教育を施した生徒たち。魔界で気まぐれに学問を教えていた魔族の生徒と、勇者と出会ってから教育の重要性を実感し、屋敷に招いて育て上げた人間の生徒がいる。いずれも魔王のもとを卒業したのち、各々の特長を活かしてそれぞれの道で大きく活躍してゆくことになる。
商人子弟 (CV. 寺島拓篤) 人間。商家の3男坊で、内気な性格だったが、卒業後冬の国に就職、改革に伴う激務に追われるうちに逞しくなっていった。後に財務長に就任し、冬寂王のもと、様々な改革を進めてゆく。
貴族子弟 (CV. 梶裕貴) 人間。文化や芸術を愛する自称「雅の信奉者」。卒業後氷雪の国の外交特使に就任し、南部諸連合から中央諸国までを股にかけ、権謀術数渦巻く社交界でロビイストを務める。
軍人子弟(CV. 鈴木達央) 人間。貧乏な下級騎士家の出身。語尾に「ござる」と付くのが特徴。卒業後は鉄の国の軍人となり、目覚しい功績を立てて「護民卿」の称号を持つ将軍に就任した。
土木子弟 魔族。鬼呼族の若者で、大柄な体格の持ち主。仕事を求め開門都市を訪れる。そこで中年商人や火竜公女と出会い、世界の命運を左右するほどの一大建設事業に携わることに。
奏楽子弟 魔族。森歌族の少女。仕事を求めて開門都市を訪れる。そこで聖骸の噂を耳にし、真実を確かめるために人間界へと旅立つ。歌や音楽を通じ、人間と魔族の架け橋として活躍する。
南部諸王国
魔王が居を構えた「冬越し村」のある冬の国をはじめとした、魔族との戦争の最前線を支える国家群。概して気候に恵まれず貧しい国々だが、素朴で実直な気風を持つ。「冬の国」「鉄の国」「氷雪の国」「白夜の国」の4か国がある。
冬寂王 初登場時の名前「冬の王子」 (CV. 平川大輔)
エンターブレインより刊行。本編全5巻。表紙イラストはイラストレーター・toi8。
- まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
- まおゆう魔王勇者 忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀
- まおゆう魔王勇者 聖鍵(せいけん)遠征軍
- まおゆう魔王勇者 この手でできること
- まおゆう魔王勇者 あの丘の向こうに(特装版はドラマCD付き)
- 『まおゆう魔王勇者』(ファミ通コミッククリア) 漫画:浅見よう
- 『まおゆう4コマ 向いてませんよ、魔王様』(マジキューコミックスweb) 漫画:七積ろんち
- 『まおゆう外伝『まどろみの女魔法使い』(月刊少年シリウス) 漫画:川上泰樹
- まおゆう魔王勇者 外伝 まどろみの女魔法使いを一部読むことができる。
スタッフ
監督:高橋丈夫
助監督:さんぺい聖
シリーズ構成:荒川稔久
キャラクターデザイン:工藤昌史、烏宏明
総作画監督:烏宏明
美術監督:小濱俊裕
美術設定:青木薫
色彩設計:佐野ひとみ
音響監督:亀山俊樹
音楽:はまたけし
アニメーション制作:アームス
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
#1 | 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」 |
#2 | 「わたしたちをニンゲンにしてください」 |
#3 | 「いままでどこほっつき歩いていたのよ!」 |
#4 | 「そんなことになったら勇者に噛みついてやる!」 |
#5 | 「魔王っていい匂いだな」「勇者の腕の中はほっとする」 |
#6 | 「お帰りなさい、勇者!」「ああ、爺さん・・・ただいまだ!」 |
#7 | 「すぐに戻れる、すぐにまた会えるさ」 |
#8 | 「剣を取って、我が主」 |
#9 | 「わたしは”人間”だからっ」 |
特別章 | 「この物語は、駄肉だけじゃないのじゃ!」 |
#10 | 「あの人が置いた布石が、いよいよ意味を持ってくるのか」 |
#11 | 「壊したり殺したりするばっかりで、何も作ってないから」 |
#12 | 「待たせたな、わたしの勇者」「寝坊しすぎだ、おれの魔王」 |
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なんとか年内に投稿できました(笑) それと、残酷描写があるのでご注意ください。 (追記)今年もお疲れ様でした。来年もよろしくお願いします。5,314文字pixiv小説作品