概要
奇才・美川べるの女史による、"学園ラブギャグ"を謳うギャグ漫画。
学園モノを踏襲しつつ、メインテーマは怪談や都市伝説などのオカルト分野である。
氏の作品の例に漏れずツッコミの追いつかないハイテンションなギャグが持ち味だが、
同じく代表作である『ストレンジ・プラス』と比べ、若干萌え要素に特化している傾向がある。
(それぞれの掲載誌のターゲットの相違によるものかもしれない)
月刊誌「ComicREX」において創刊号である2006年1月号より連載開始し、
同誌を代表する作品であったが、2015年2月号を以て約9年間続いた連載に幕を下ろした。
単行本は全10巻。
メインキャラクター
※声優はドラマCDのもの。
・坂神練司(さかがみれんじ)
CV:杉田智和
物語の主人公である高校生退魔師。
私立豊葦原学園2年生。身長は175cm。好物は焼肉、牛乳。
代々霊能者としての力を持つ坂神家の生まれであり、本人も退魔師としてかなりの実力を持つ。
「退魔師の頂点に最も近い」と言われる父・坂神練寂(れんじゃく)の命により、
少女・大槻凜を守るために転校してきた。
その後も「浄霊委員会」という組織の一員として、日々学園に蔓延る悪霊を退治している。
基本的に真面目な性格で、本作品におけるツッコミ役である。
異常に鈍感であり、大槻・不洞・韮沢と3名の女子に好意を寄せられるもそれらに気づく気配は微塵もなく、凜のデレ>練司のスルー(ボケ)>凜の物理的ツッコミ という流れがよく見られる。
「ラブ米神」の力を(強引に)授けられた際にも肝心の凜や寧々らとのラッキースケベは全く起こらず、一成・七緒コンビやQ子など全く関係の無い相手とばかり起こるあたり、不幸な体質なのかもしれない。
美術のセンスが壊滅的であり(この点はヒロイン・大槻凜と共通する)、
自身のカッコ良いフィギュアを作った際には呪い人形にしか見えぬ出来栄えであった。
またひょんなきっかけから同人作家としてデビューするも、瘴気を放つほどの作画は聖らに終始ツッコまれ続けた。しかも本人には一切自覚が無く、完成した作品を積極的に披露したがることも。
姓の元ネタは『学校であった怖い話』の主人公・坂上修一である。
・大槻凜(おおつきりん)
CV:植田佳奈
メインヒロインである少女。上から順に92・61・87の巨乳。
ルックスは非常に可愛らしいのだが、ミカベルヒロインの例に漏れず非常に残念である。
「凜」の字が常用漢字である「凛」とは異なる点に注意。(特にタグ付けの際)
詳しくは本人の項目を参照されたい。
・聖(あきら)
CV:石田彰
動く人体模型の霊。身長179cm。好物は大福、羊羹。
一般的な人体模型のイメージとは異なり長髪の美少年で、人懐っこく親しみやすい性格。
ただし身体の半分は当然筋肉が露出し、胸部から腹部にかけては内臓が剥き出しである。
(作者・美川べるのは本気で萌えだと思いデザインしたらしい。)
一般人には微弱な霊力により、普通の人間と同じように見せかけている。
よくQ子とフェチ談義を繰り広げたりと基本的にはボケ役だが、ツッコミ役の練司が不在である時などにはツッコミもこなす。
各内臓など身体のパーツは着脱可能で、それぞれが意思を持って一人歩きしたりもする。
・Q子(きゅーこ)
CV:折笠富美子
女性の淫霊。身長164cm。スリーサイズは99・55・88。好物はなめたけ。
淫霊というだけあり、いやらしいものが大好き。
下心を隠そうともせず男女見境無くセクハラし、現在は豊満な身体付きの凜に夢中な様子。
また本人もかなりの巨乳であり、よく全裸となりその抜群のプロポーションを披露してくれる。
聖と並ぶ本作のボケ役であり、何処からともなく現れセクハラや露出をしてはツッコまれている。だが、抵抗が出来無そうな相手には基本的にセクハラはしない。
生前の名前を「久子(ひさこ)」といい、真面目で地味な眼鏡+お下げの少女であった。
が、交通事故で他界する直前、級友であるドスケベ美男子・九戸の人生観に影響され現在のような淫霊となったという。現在も生前の性格の名残が残っており、よっちゃんへの対応がそれが出ている。
九戸本人は現在、近所では名の知らぬエロジジイとして健在である様子。
・花子さん(はなこさん)
CV:悠木碧
スクール水着姿の霊。身長110cm。好物は学食特製お子様ランチ。
学園でも最も古い部類の霊であり、トイレにまつわる力や水を操る強力な霊力を持つ。
幼い外見だが古風な口調で話す所謂ロリババア。
達観した物腰からドタバタを巻き起こす練司達の保護者のような存在となっている。
トイレに対する愛情や拘りが非常に深く、トイレ絡みの誘惑・罠にあっさりと引っかかってしまうことも。
・韮沢飛鳥(にらさわあすか)
CV:川澄綾子
オカルト大好きだが霊感はゼロのお嬢様。身長162cm。スリーサイズは81・58・80。
好物は白身魚、冷たいスープ。練司を巡りよく凜や寧々と対立する。
クラス委員長も務める秀才であり、腰まで伸びた黒髪とガーターベルト・黒ストッキングが特徴の美少女。退魔師としての実力を持つ練司に一方的な好意を寄せている。
ラッキースケベの結果、練司に胸を揉まれたことがある。
姓の元ネタはオカルト関連の著書でも知られるたま出版社長・韮澤潤一郎。
・宴夜浬鎖(えんやりさ)
CV:釘宮理恵
エリートイタコを自称する巫女娘。身長153cm。スリーサイズは74・57・80。
好物はシュークリーム。小柄なツインテールの美少女である。
飛鳥のことが大好きなガチレズで、飛鳥に近づく者には辛辣な態度で接する。
飛鳥が好意を寄せる練司に対しては特に容赦が無い。
・不洞寧々(ふどうねね)
CV:井上麻里奈
豊葦原学園の生徒会長を務める少女。身長160cm。スリーサイズは79・59・82。
何かと練司ら浄霊委員会の邪魔立てをしたがる悪役ポジションだが、同時に練司へ好意を寄せる典型的なツンデレ気質。
詳しくは本人の項目を参照されたい。
・日下部一成(くさかべいっせい)
CV:立花慎之介
・塚路七緒(つかじななお)
CV:羽多野渉
代々不洞家の者に仕え守護する「不洞守(ふどうのもり)」と呼ばれる一族。
外見は二人とも眼鏡の美男子だが、中身は変態である。
詳しくは不洞寧々の項目を参照されたい。
サブキャラクター
・蓮海耕平(はすみこうへい)
練司の担任。25歳、恋人募集中。身長180cm。好物はメロンパン。
学園の理事長の息子であるが、それを隠して先生修行をする。
頻繁に「今日は転入生を紹介する」と河童や死神、超能力者などの転校生を招き入れ、
ツッコまれてもなお「今後も紹介し続ける」と開き直った。
・小豆磨先生(あずきとぎせんせい)
家庭科で教師をしている妖怪「小豆洗い」。
小柄な老人の姿をしており、学園のマスコットのような存在。若い頃はかなりの美男子だった。
・山田さんグループ
山田愛音(やまだあいね)、鈴木観菜(すずきみな)、佐藤根子(さとうねこ)、田中小鳥(たなかことり)の
四人で構成される女子のグループ。
甘いものや可愛いものが大好きで、恋愛やお菓子などよく女子らしい話題で盛り上がっている。 セクハラを常とするQ子にも、遠巻きに見守り愛でる存在と言われる。
愛音はリーダー格で、しっかり者に見えてかなりのおっちょこちょい。
観菜はお勉強大好きな真面目っ子、すぐ赤くなってしまうのが悩み。
根子はスポーツ大好きっ子で愛音に好意を寄せているらしく、寧々が手違いで愛音へキスしそうになった際には必死になって阻止していた。
小鳥は「色気より食い気」な元気っ子+占いやおまじないも好きなちょい不思議っ子。
・よっちゃん
動く西洋甲冑。名前は本名の「ヨシュア」からと思われる。
普段は鎧を身に着けているが、素顔はかなりの美形である。
しかしかなり鬱陶しく調子に乗りやすい性格をしており、そういった性格の男が大嫌いなQ子とは犬猿の仲である。あまりにも面倒な性格ゆえ、練司や凜の怒りを買うことも。
・みーにゃ
不良男子に取り付き、凜の体を乗っ取ろうとしただんご尻尾の猫又。
非常に幼い外見をしているが、猫又というだけあり長生きしている。
動物の言葉の翻訳などができる。
後に懲らしめられて改心し、妖怪ばかりが勤めるメイドカフェで働くようになる。
・メリーさん
100キロばばあの一家との悶着の際呼び出された、都市伝説キャラクター。
小柄な花子さんよりも更に小さな金髪の幼女である。
紆余曲折を経て練司の男らしい一面に惚れこみ、自宅まで押し掛け背後を取ろうとしたものの回避され、そのまま住みつくことになる。
彼女の父は「日本中の小学生たちに"紫鏡"を20歳以上まで覚えていても死なないと言って回る仕事」をしており、練司に「それはホントに素晴らしい人だ」と評された。
・黒花子さん(くろはなこさん)
豊葦原学園に流れ着いた学校霊。身長112cm。
花子さん同様幼女の姿をしているが、一部が非常に豊満なロリ巨乳。
さらに声がN登M美子であり、その可憐な声を聞いた者は思わず言うことを聞いてしまう。
住処となる女子トイレを賭け花子さんと戦うも敗れ、彼女の意向により男子トイレに棲み付くようになる。
・人身(ひとみ)
動く人体模型(女性型)。身長160cm。黒花子さんのお友達の一人。
かなりの熱血漢。黒花子さん共々男子トイレに棲み付く。
・霊淫(れいん)
淫霊。身長163cm。黒花子さんのお友達の一人。
ほややんとした雰囲気の可憐な美少女であるが淫霊らしく、中身はQ子とほぼ同じである。
黒花子さん共々男子トイレに棲み付く。
・艶川千歩(あでかわちほ)
物語の途中で新たに赴任してきた保険医。
外見こそ巨乳美女のステレオタイプな保険医なのだが、凜に趣味でラバースーツを着させたりするなどかなりの変態である。
幽霊などを捕獲しようとチェーンソーを振り回し床をくり抜く、様々な謎の発明品を持ち出し騒ぎを起こすなど非常にアクティブで危なっかしい性格。
・河童(かっぱ)
プールの守り神として登場し、以後水絡みの話で度々登場する妖怪。
ラヴコメに対して異常なまでの嫉みを持ち、プールに訪れるカップルなどに危害を加えようとするものの、練司の周りの女性陣に目が眩み学園へ生徒として編入する。
この「登場したキャラがテコ入れとして最終的に学園の生徒となる」流れは、以後定番化することとなる。
・アリカ・アリアーラ
巨大な鎌を手にした死神少女。
「現世残留魂回収部隊長」という肩書きを名乗り(練司らには「スタイリッシュ系オカルト」と評され、恥ずかしがられた)、霊や妖怪の類を見境無く襲撃する。
しかし中身は従者のライラノート共々ポンコツで、戦闘シーンに於いても鎌をまともに使いこなせず、襲撃した女子高では鉢合わせた学園一の実力者の威圧感の前に簡単に屈した。
後にライラ共々学園に生徒として編入し、凜の入れ知恵により一気に貧乏臭くなる。
・ライラノート
アリカの従者である長身・銀髪の美男子。彼女と同じく「死神」を名乗る。
ルックスとは裏腹にやはり中身はポンコツで、よっちゃんに馬鹿にされるほど非力であったり、悪霊に攻撃され流した自らの血を見て卒倒するなど非常に頼り無い。
・御座敷(おざしき)
何時の間にかクラスメイトとして練司のクラスにとけ込んでいた、おかっぱ頭の座敷童。
突然編入してきた彼女の違和感に気付いたのは、練司たち霊力が高い者のみだった。
「普通の人間として穏やかに暮らしたい」とその力の大半を放出するが、その後もある程度の力は保っているようで、力を溜め込めば人に幸運を与えることが出来る。
友人に疫病神(女性)がいる。
・ラブ米神(らぶこめしん)
お米を大切にする練司の心意気に反応し現れた神。
ただし、文字通り新米であり、その力はまだまだ未熟な様子。
練司にエッチなハプニングを引き起こす「ラッキースケベ」の力を授けるものの、一成・七緒コンビなど同性に対しても発動したり、全くうらやましくない展開を引き起こすなど力が上手く制御できていなかった。
・鬼島和彦(きじまかずひこ)
練司のクラスに転入してきた超能力者。
自分を特別・異端な存在だと思っており、謎の組織に狙われたりもする自らの境遇に酔っているような節が見られたが、物の怪だらけの豊葦原学園においては全く珍しい目で見てもらえず、紆余曲折を経てその環境にとけ込んでいった。
自身も超能力者であるが、幽霊や妖怪などの存在に対しては否定的である。
・梶本志帆(かじもとしほ)
スクープを狙う新聞部部長。眼鏡+ポニーテールの少女。
「霊能力を持つ」と噂の練司に密着取材を試みるも、自身の持つ古典的な霊や退魔師のイメージとかけ離れた実態を「子供だまし」と一蹴した。
・佐藤史(さとうふみ)
どこかポケモン風の「持ち霊バトル」を持ちかけてくる少年。
一成・七緒コンビに挑戦するも、新キャラの噛ませ犬と思われた彼らにコテンパンにやられた上(不洞守の二人は変態だが実力は確か)、自らの使役する可愛らしい少女の姿をした「濡れオバケ」「バチバチおばけ」などをからかわれ号泣した。
結局練司が率いる河童や小豆磨先生らとの勝負に敗北したものの、結果として持ち霊達との絆は深まり勝者であるはずの練司を微妙な気分にさせた。
・小倉天音(おぐらアマネ)
「霊感女子高生」を自称する美少女。「お主」「~じゃ」など古風な口調で喋る。
しかし実際には聖に「この学園に来てここまで見えない子も珍しい」と評されるなど、
霊能力の類は全く持たず、Q子にセクハラをされても何も感じないどころか彼女を視認することすら出来なかった。自身を霊能力者と信じて憚らず、本物の能力者である練司を「特異な力に憧れる憐れな者」と言い切るなど、かなり思い込みが激しい様子。
霊感が全く無い代償として「エロハプニングフラグ立て能力」が異様に発達しているが、本人に自覚が無いので全く有効活用できていなかった。
・その他登場した妖怪・人外
・愛の神キューピッド
・妖怪すねこすり
・モスマン(UMA)
・竜人妖怪 十和田竜菜(読者考案妖怪)
・蛇女(ラミア)
・腐女子(BL好きの女ゾンビ)
・雪の精
・テニス入道
・托卵妖怪(妖鳥)
・かまいたち三姉妹
・イエティ(美男子)
・雪女(大柄・筋肉質)
・人魚
・サキュバスの愛(ラブ)
・バンパイアの相田一郎太
・赤マント(女性型)
・鮒幽霊(舟幽霊ではない)
・サークルクラッシャーの霊
・ランプの精
・終わらせ妖怪 サイシュウ怪
用語解説
・私立豊葦原学園(しりつとよあしはらがくえん)
物語の舞台となる学園。幽霊や妖怪が多く集まる。
悪霊として生者に害を為す存在よりは、人間に対して好意的で善良な者のほうが多く、中には教師として勤めている者もいる。
一般生徒の送る学園生活も至って普通であり、妖怪や霊たちも自らの存在を上手くカムフラージュして学園にとけ込んでいる。
七つの七不思議(=四十九不思議)が存在しており、勝手に演奏するピアノの霊、コの字校舎の霊、魔の三段階段などが登場した。 部外者も入居可能な学校霊用の寮が存在する。
・浄霊委員会(じょうれいいいんかい)
学園が設立した、学内の霊的トラブルの対処にあたる組織。
練司と凜は蓮海の企てにより強引に入会させられてしまうものの、以降積極的に活動している。悪霊退治を手伝っているアリカとライラが入会しているかは不明。
寧々ら生徒会から活動の証拠として、トラブル解決の度に依頼人から判子をもらうよう言い渡されたが、その存在を忘れられたスタンプシートには埃が立方体になるほど積もっている。