人は皆、猿のまがいもの
神は皆、人のまがいもの
概要
『BLEACH』の長編である尸魂界篇と破面篇における全ての事件、その元凶である藍染惣右介が死神も虚も超越した進化の形態。あるいは世界の楔である原初の存在となった姿である。
公式名称らしい公式名称はない。ゲーム『Brave Souls』では藍染惣右介(崩玉融合)と呼ばれている。読者からの愛称は崩玉藍染など。
藍染が自らの目的を叶えるためには死神を超える方法が必要であった。彼は実在するとされていた「死神の虚化」「虚の死神化」という禁忌の方法を数百年かけて実験を繰り返しそれを達成しようと試みたのである。しかしそれは容易なことではなく、死神と虚、双方ともに無理やり境界線を破壊すれば、魂魄が滅びてしまうという問題を解決することができなかった。
それを解決する鍵こそが「崩玉」である。
当初、崩玉を開発した藍染であったが、死神の魂魄などの素材をいくら与えても完成と呼べる代物にはならなかった。
そんな折、護廷十三隊時代の浦原喜助も藍染と同じく崩玉を開発するが、彼の崩玉も完成には至らなかった。
そこで、自らの崩玉に浦原の崩玉を与えることを思いつくが、既に彼と共に崩玉は失踪していた。これを手に入れるために起こった騒動が藍染による朽木ルキア処刑の真相だったのである。
そして、崩玉を手に入れた藍染は死神も虚も超えた高次元の存在へと変貌していく…
崩玉との融合
漫画の連載が進んでいくにつれてかなり容姿もとい形態が変わっていっている。
第一の融合
胸部に崩玉を埋め込んだ状態。
恐らく、破面・空座決戦篇が開始した時点ではもう既にこの形態になっていたと思われる。
崩玉を埋め込む前との戦闘力の差があるのかどうかすら不明。
外見の変化は全くないが、虚の超速再生に似た再生能力を披露している(藍染曰く「主に対する防衛本能」)。
そして、ここから徐々に崩玉から伸びる白い膜が体を覆っていく。
技
- エル・エスクード
敵からの斬撃を薄い防壁で防ぐ技。規模の小さな「断空」のようにも見える。エスクード(Escudo)とはスペイン語で「盾」の意。
- ミジョン・エスクード
エル・エスクードの強化技。劇中では自身の背面に100万層の防壁を作り、黒崎一護からの奇襲を防いだ。ミジョン(Millón)とはスペイン語で「100万」の意。
第ニの融合
「早く次の手を打つが良い 最後の一つが潰えるまで一つずつ微に砕いていこう」
白い表皮が全身を覆いつくした蛹のような姿。砕けた表皮からは異空間が覗いており、非常に不気味。本人すら「何事も進化の途中というのは醜いものだよ」と述懐している。
その外見から読者からは「はんぺん」だの「パペットマペット」といった不名誉なあだ名で呼ばれた。
この形態から超越化が進み始め、浦原や黒崎一心といった隊長格の力を持つ一部の死神ですら藍染の霊圧を感じ取れなくなっていた(加えて右手そのものが彼の斬魄刀・鏡花水月と融合している)。
一護のみ藍染の強大な霊圧を感じており、一護は心が折れかけ、市丸ギンは一護に逃げる様に忠告していた。同時に逃げないのならここで殺すとも脅されている。
一心は一護が「霊圧を感じ取れる」所に希望を見出し、弱腰になってる息子に喝を入れ、藍染に勝つための力を伝えた。
第三の融合
「理とは理に縋らなければ生きて行けぬ者の為にあるのだ」
頭部の表皮が砕けて藍染本来の顔が現れた。
髪がかなり伸び、目も白黒反転している(アニメでは黒い部分が紫)。
時空を司る拘突を破壊するなど、理を超えた存在と化している。
魂魄が弱い者はこの状態の彼に近づいただけで爆散する。
とはいえ、一般人相手には(自ら歩みを止めたりはしないものの)「近づくな」と警告していたり、特攻を仕掛けるドン・観音寺にも「止すんだ 人間如きが私に触れれば存在を失うぞ」と制止しているところからして、あえて殺しているわけではなく「自然とそうなってしまう」らしい(これは山じいの卍解【残火の太刀】西「残日獄衣」の状態と似ているのかもしれない)。
この時点で強すぎるが故の孤独を感じられ、哀愁を感じる(平時は大抵微笑を浮かべているのに、原作409話においては表情が消えている)。
この機能は第四の融合以降の全ての形態において健在と思われる。
第四の融合
「──進化には恐怖が必要だ 今のままではすぐにでも滅び、消え失せてしまうという恐怖が」
ギンに殺されかけたことによる死への恐怖によって進化した新たな形態。
背に3対の蝶の羽根のようなものが生え、崩玉は十字に納まって眉毛と瞳孔はなくなり、額には第三の目のようなものが形成された。偶然か必然か後にその全容が明かされた霊王とよく似た姿であった。
曰く超越者としてはこの形態で一応完成したらしい。
ギンを瞬殺したものの修行後の一護には全く歯が立たなかった。
最終融合(第五の融合)
「思い上がるなよ 人間が!!!!」
「そうか やはり許せないか崩玉よ 私が 人間如きに後れを取るのは」
一護に劣っていると判断した崩玉が変形させた最終形態。
顔は割けて三つ目の黒色の化物になり、胴体には三つの孔が開き背にはそれぞれに頭部が付いた羽が六つ展開した、死神とも虚ともかけ離れた異形の姿となった。
技
- フラゴール
羽の先端についた口から霊圧の光弾を発射する。威力は相当に高く、一撃で地形を変え一護の左腕を灼く程である。フラゴール(Fragor)とはスペイン語で「雷鳴」や「轟音」の意。
- ウルトラフラゴール
フラゴールの強化技。6つ全ての頭部から放出した霊圧の光弾を繋げリング状にし、1つに集約して放つ。しかし劇中では発動前に一護に腕一本で弾かれてしまった。
神殺しの果てに
崩玉により、死神と虚から訣別した藍染。
しかし、そこに一護が立ち塞がり
永き時を費やし、一護もまた斬魄刀と融合し自らを月牙と化することにより完全虚化よりも遥かに別次元の霊力を手にしていた。それは崩玉で完全覚醒した藍染を上回るほどの強大な力、つまり霊圧を感じ取れないほどに一護が藍染以上の高みに立っている証であった。
「馬鹿な!!」「そんな筈があるか!!」「人間如きがこの私を超えるなど!!」
絶叫しながら事実を否定するも、放たれた無月を避けることができず、粉々にされる。
桁外れの大技さえも何とか再生して耐え切ったもの崩玉が一護に勝てないという心を取り込んだ為か、超越者としての姿から本来の姿に戻り、崩玉によって得た力も弱っていった(浦原は、崩玉が藍染を主とは認めていないと解釈している)。
それにより、本物の空座町を襲撃する前に別の鬼道と一緒に打ち込まれていた、浦原の開発した封印術「九十六京火架封滅」が発動、封印される結末を迎えた。
ゲームでは
私は 全てを超越する
『Brave Souls』の6周年記念で、崩玉の力と鏡花水月の力の融合で生まれた姿が実装。
詳しくは⇒藍染惣右介(崩玉融合)の当該箇所を参照。
関連タグ
※以下、アニメ未放送の内容のためネタバレ注意
実は藍染の融合はまだ終了しておらず、その後も進んでいた。
第六の融合
「ようこそ 私の尸魂界へ」
最終章・千年血戦篇で登場。一部ファンからは椅子藍染という愛称で呼ばれている。
逮捕されている為、囚人服を着ている。
浦原さん曰く、最終融合よりも更に戦闘力が上がっているらしい。
当初は黒棺で椅子の破壊を試みるも破壊できなかったが、最終決戦でユーハバッハに自分を拘束していた椅子を破壊されて戦闘を開始。近付くだけで爆散する機能は相変わらず健在。
鏡花水月とも完全融合しているらしく、斬魄刀が手元に無いのに能力を使っていたりする。
この形態で尸魂界を護ったり、一護と共闘したりなどの熱く感慨深い展開を見せた。
「────ユーハバッハ 貴方の選んだその世界には 確かに恐怖は無いだろう」
「だが、死の恐怖の無い世界で 人はそれを退けて希望を探す事をしないだろう」
「人はただ生きるだけでも歩み続けるが それは恐怖を退けて歩み続ける事とはまるで違う」
「だから 人はその歩みに特別な名前をつけるのだ」
「〝勇気〟と」